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1988〜

Lap Of Luxury Lap Of Luxury(1988)
Produced by Richie Zito
「アルバム全体がま〜るく仕上げっているけど、
意外にリックさんのギターも良いと思うんだけど」
マンタロウ


「チープは押し付けられた曲でも、彼ららしさを発揮するという・・・
やはりプロフェッショナルですよね」
ユタカ
Kyota(以下K):
トムが復帰。メンバーの本意ではありませんでしたが、外部ライターの力を借りた楽曲を中心に構成したレーベルの作が見事に当たり"The Flame"はno.1ヒットに! 見事な復活を果たしました。
個人的には、フェイバリットにこそなりませんが、このアルバムは生まれてはじめて買った洋楽のCDで、それこそCDがぼろぼろになるほど聴きまくったので嫌いにはなれません…(^_^;)


ただ、"Through The Night"とか"You Want It"とかメンバーの書いた名曲が見事にカットされてしまったのは返す返すも残念です。
"Never Had A Lot To Lose"が最もCTらしさが発揮されている曲かな…?


ユタカ(以下Y):
当時はレコードからCDへと移行する時期でしたから、CDプレイヤーがうちにない僕はどうしよう・・と思いましたよ。でも日本盤発売の前に、運良くアナログの輸入版を買うことが出来たんです。


マンタロウ(以下M):
ハートを復活させた人がEPICに移ってチープトリックを再びトップ・バンドに引き上げたんだよね、たしか?レコード会社のプロモーションって大事だよねぇ。ベスト・ヒット・USAでトムが居る"The Flame"のPVを観た時には感涙しました。

K:
私は24時間テレビでCTの"Flame"を観て、それでガツンとハマりました。今見返すと、ロビンが思い切り歌詞間違えて歌っているんですが…(^_^;)

Y:
あれだけの力作"Standing On The Edge"がスマッシュ・ヒット止まり、でも復活を充分期待させてくれたものだった。サントラ"Mighty Wings"も思い切り産業ロックサウンドだったけど、ロビンのカッコよさをアピールするには充分だった。でも直後のリリース"The Doctor"は・・・さすがに僕も当時「もうダメかも・・」と思いましたよ(涙)。こんなはずはない、とチープの過去のアルバムを繰り返し聴き狂っておりました。そんな矢先に「トム復帰」のニュース・・。今でも「トム復帰?」という記事をミュージック・ライフもしくは「Burrn!」で立ち読みして驚いたことを憶えています。

K:
私はこのアルバムではじめてCTを知った人間なので、オリジナルのラインナップで復活! といってもその重大さを十分理解していなかったのですが、既に長い間CTを聴いてきたファンの方にとって、このアルバムを聴いた時の印象はどうだったのでしょうか?

Y:
当時はポップス全盛だったので、リッチー・ズィトーのコンテンポラリーなサウンドに「おお、イケてる!これなら売れるかも・・!」というマネージャーのような心境(ファンの思い入れは恐ろしい・笑)でしたね。なので、産業ロック路線はさほど否でもなかったです、当時は。チープは押し付けられた曲でも、彼ららしさを発揮するという・・・やはりプロフェッショナルですよね。

K:
今は、何故か当時あまり好きでなかった"Wrong Side Of Love"が
かなりお気に入りです。"Never Had A Lot To Lose"と併せ、やっぱりこの4人でないと〜と実感させられる曲なので。

M:
アルバム全体がま〜るく仕上げっているけど、意外にリックさんのギターも良いと思うんだけど。


K:
はい!(^-^) 次の「Busted」もそうですが、意外にリックのギターが「リックらしい」音で鳴っているんですよね! "No Mercy"なども、曲自体はそれまでのCTと全然違うけど、ギターはとてもリックの個性が出ていて…。


Y:
ギター・サウンドはとてもよいですよね。リッチー・ズィトーさんいい仕事してると思います。

"The Flame"は今ではさすがに・・という感じですが、当時この曲を聴いた時は"Wherever you go,I'll be with you..."という歌詞に「そうか、俺にはチープが何処へでもついていてくれるんだ!」と涙しながら感動しておりました。そして感動の再々来日・・世代的に「at武道館」を知らなかった僕がこれまで想像でしかなかったバンドへの思いの丈をぶっつけた瞬間でしたね・・・・おっと、やや興奮気味。


K:
最近のCTのライヴのセット・リストをみてみると"The Flame"が復活していますが、ユタカさんにとってはこの曲どんな存在ですか? 私は、やはりCTを知るきっかけになったなので思い入れは深く、特に1988〜1989年頃は狂ったように聴いていましたが、何故か次第にピンとこなくなり……あれ、なんで私この曲あんなに好きだったんだろう?という(苦笑)

しかし、暫くライヴで聴いていないせいか、久々に生で聴いてみたいな…と思っている自分がいます(^^)


Y:
確かに時代と共に風化してしまった感はありますよね、今聴くと。
まず、ドラムが打ち込みであるということ。シンセもそれに追い討ちを
かけている。早い話が、もともとチープらしくないサウンドだった、ということでしょう。リックは当時からそれに気づいていて、レーベルやプロデューサーと戦っていたんですね。


K:
リックは"The Flame"のデモを最初に聴いた時、イントロがSpiritの名曲"Nature's Way"を連想させて良く思わなかった…というエピソードがありますね。デモをアレンジして、Cheap Trickらしい曲に仕上げるのは大変だったとか。一番最初にメンバーに渡された"Flame"のデモがどんな感じだったのか…是非聴いてみたいものです(ほとんど違う曲になっていたりして(笑))
Busted Busted(1990)
Produced by Richie Zito
 
("Big Bang" produced by Cheap Trick)
「『The Doctor』よりも当時聴きこんだ回数が
少なかったと思います」
ユタカ


「チープトリックと言うロック・バンドの良さが
消されちゃってるのがとても悲しいです」
マンタロウ
K:
…大ヒットを再び!との思いが特にレーベル側には強くあったでしょう。再びリッチー・ズィトーをプロデューサーに起用しましたが、セールスは「Lap Of Luxury」には遠く及ばない結果に終わってしまいました。


Y:
ホントにエピックの思惑がより強く出ているような。で、それと戦うリック・・・。"The Doctor"よりも当時聴きこんだ回数が少なかったと思います。

「エピックは俺たちをマライヤ・キャリーみたいなクラシック・ロック
・バンドに仕立て上げようとしていた」というリックの発言から
このアルバムの背景が見え隠れしているような・・。


K:
"I Can't Understand It" "Busted"あたりは非常にCTの持ち味が出ていると思いますが如何でしょう…? "Wherever Would I Be"なんて、よくメンバーが妥協してアルバムに入れることを認めたな、という気がします(^_^;)


Y:
確かに"Wherever Would I Be"はひどい。彼らが演奏する必然がまったくない曲ですね。やはり彼ら自身が書いた曲が最高。"Can't Stop Fallin' Into Love"はスティングやロッド・スチュワートが絶賛したとか、当時話題になりましたね。この曲だけは結構ヒットした記憶が・・。

K:
"Can't Stop〜"は1990年にビルボードのシングル・チャートで12位まで上昇しています。CT最後のメジャー・ヒットといってよいかもしれません。スタジオに遊びに来たロッド・ステュワートが、自分が歌いたい、と言ったとか…(^^)


M:
Lap of〜の成功をもう一度って感じだったんでしょうね、EPIC。AORアルバムって感じだもんね。チープトリックと言うロック・バンドの良さが消されちゃってるのがとても悲しいです。で、このアルバムのツアーが最後の"ブドーカン"になっちゃうんだよね。


K:
うあ〜このツアーが武道館ラストなんて嫌だーっ!(苦笑)


M:
満員にならなかったんだよね、この武道館公演。フォリナーよりは入ってたけど…

Y:
(武道館公演で)リックがアンクル・ディックの股間から指を出して、「スミマセン・・・チ○ポ!?」と言ったのを今でも憶えてます(笑)。

K:
え〜と、私の知る限りではこの卑猥なせりふは某ラジオ番組で、当時筋肉少女帯の大槻ケンヂに入れ知恵させられました( ̄∀ ̄;)汗


Y:
リックが大槻ケンヂのラジオに出演したんですか〜…聴きたかった・・。ところで、"Can't Stop Fallin Into Love"についてなのですが、あの曲は元はインストゥルメンタルだったとか。彼らの曲作りがどのように行われているのか興味あるところです。

昔、買った「蒼ざめたハイウェイ」の楽譜の解説によれば、「メンバー全員ピアノが弾けるらしく、キーボードで曲を作ることもあるのではないか・・」「トムの12弦ベースは3本の弦の和音がひとつになっている点ではピアノと一緒である。」などと書いてありました。

僕の推測だと、ギター1本でサラサラッと仕上げることもあるでしょうし、このまずガッチリしたインストを作ってからリックもしくはロビンがヴォーカルのメロディを入れて行く・・というツェッぺリン・スタイル(?)で曲を作っていく・・というのは、この"Can't Stop〜"だけではないでしょうね。

K:
このCTの曲作りのプロセスというのは、私も非常に興味のあるところで、よく勝手に想像しながらCDを聴くことがあります(笑)  "Surrender"はギターで書いた曲だろう、とか"Anytime"はバーニーのドラム・パターンが基になった曲かも、とか"I Want You Want Me"は全然想像つかない(笑)とか…。

「Busted」は特にキーボードの比率が高いので、他のアルバムと比較して作曲方法がかなり異なっていたことも想像できますね。"Can't Stop Falling Into Love"もCTの他のどの曲にも似ていないOne And Onlyの曲といえますし…。

Y:
ブート"Radio Lover"に収録の"I Got Lover"、"Can't Stop〜"に雰囲気似ていると思いませんか?コード進行は導入部分がマイナー調でちょっと違いますが。"Can't Stop〜"もきっとこんな風に作られて、あとからヴォーカルのメロディをつけたのではないでしょうか?

K:
"I Got Lover"って私音源持っていたかな…後でチェックしてみます!
Cheap Trick(1997) Cheap Trick
(1996/1997)

Produced by Cheap Trick and Ian Taylor
「ジャケットのモノクロのイメージが
バッチリお似合いの、久々の"黒"CT・・・。
誇り高きアルバムだと思います」
ユタカ


「このチープトリックならではの暗さがカッコ良いんだけど…」
マンタロウ
K:
アルバムたった1枚でワーナー・ブラザーズを契約解除になり、自主レーベル"Cheap Trick Records"を設立。バンドがレコーディングの実権を握った上で製作されました。

このアルバムの曲はアルバム・リリース前に4曲が来日公演で披露されましたが、"Anytime"をライヴで聴いて、もしかしたら凄くヘヴィなアルバムになるのかも…と思いきや意外な程全体的にバラエティに富んだ、しかもかちっとまとまりのあるアルバムで驚いた記憶があります。このアルバムも「過小評価され過ぎ」の感があって残念なのですが、お二人は如何でしょうか?


Y:
"Wrong All Along"、"Anytime"、"Shelter"...あと何演奏しましたっけ?(※管理人注:あと"It All Comes Back To You"をプレイしました)とにかくあの時の来日公演もすごく良かった・・。
"Anytime"をあの来日公演で初めて聴いたときのゾクゾク感を思い出すなあ・・。一緒に行こうと約束した友人が遅れてきて、「なにやってたんだよ!チープの今度の新曲はすんげえぞ!!」と興奮して叫んだのことも憶えてます。

ジャケット(日本盤と米盤で異なりますが)のモノクロのイメージが
バッチリお似合いの、久々の"黒"チープ・・・。誇り高きアルバムだと思います。

K:
1996年の来日公演良かったですよね! 私は簡易保険ホールで3日間観たのですが、初日に"Anytime"を聴いて〜おぉ、今度のCTはやたらヘヴィだな…。2日めに聴いて〜ん、この新曲(曲名が分からなかった)いい曲だな…! 3日めにまた聴いて〜うあーやっぱり凄い曲だ! 今度のアルバムは傑作に違いない!! と期待感がライヴによって大きく膨らみました。

ただ"Anytime"はあまりにヘヴィ過ぎたのか、会場で固まったまま微動だにしないファンも多く見受けられた記憶があります(^_^;)


M:
Anytimeのヘビィさはグランジ・ロックなどの影響も多少受けたりしてたんでしょうかねぇ。モノクロジャケットのようにサウンドも少し暗すぎて、今ひとつ受け入れられなかったのかなぁ。このチープトリックならではの暗さがカッコ良いんだけど。


K:
う〜ん、そうなんですよね。この暗さがCTの魅力なのですが…何故そのアルバムのクオリティほど受け入れられなかったのか…。私にとってはほぼ満点に近いアルバムです。

唯一、個人的にアルバムで最もインパクトが弱かった"Wrong All Along"を、その後結構長い間ライヴで好んでプレイされているのが不思議でした。多分、シンプルでノリが良くてライヴ向きの曲だからとは思うのですが。でも1999年の来日で"Wrong All Along"を再びプレイするなら、"Say Goodbye"とか"Hard To Tell"とか他の名曲を…と思ったのはきっと私だけではない筈(笑)


Y:
いやいや"Wrong All Along"は歌詞といい、展開といい、チープにありがちな曲のようで、そうではない・・・相当ユニークなロックンロールだと思いますよ。「ずーっと間違ってたんだから、仕方ない!こうなったら楽しんじゃえ!」というのは、聴くものも「おおそうだ!そうだ!」って共感して盛り上がれますし(笑)。オチ(?)みたいなエンディングも最高。


K:
う〜ん、ユタカさん勉強になります! "Wrong All Along"もう一度聴きかえしてみます。歌詞があのような内容ですし、演奏していてメンバーも気持ちよいところがあるのかもしれませんね。


M:
Wrong All Along 演奏すると楽しいんですよ。(経験談(^-^))

K:
いや、もう絶対そうだと思いました(笑)  CTのメンバーもやっぱり演奏してて楽しいから長い期間(最近も?)プレイし続けているんでしょうね。


Y:
セールス的にはイマイチだったんですか?このアルバム。発売当時、ライターたちの評価はかなり高かったですよね。チープのファンは皆このアルバムに高い評価を与えていると思います。セールスだけでよいアルバムかどうかの判断は出来ませんよ。

K:
全くです! 評論家を含め、CTファン以外の音楽ファンにあまりに評価が低いので悲しいですが、同意していただけると何かほっとしますね(^_^;) CTのファンには概ね高評価な理由のひとつは、私はこのアルバムの音が実際のライヴでのCTにかなり近いからではないかと考えています。"Anytime"なんて、音も迫力もほとんどライヴそのものといった感じですし…。

ユタカさん、「CT'97」も決してセールスは良くなかった筈です。「Busted」以降、果たしてその内容に見合った十分なセールスをあげたアルバムがあるのでしょうか…。

「俺たちはいつだって貧乏だよ」というリックの言葉もありましたが…(涙)
Music For Hangovers Music For Hangovers(1999)
Produced by Cheap Trick and Harry Witz
「すごく臨場感があって良いライブ・アルバムだと思う」
マンタロウ


「チープの重厚なサウンドを再現するのは、
ホント容易じゃないと思います」
ユタカ
K:
1998年、「at Budokan20周記念ツアー」のシカゴ・メトロにおいて4日連続行なわれたアルバム完全再現ショウの音源からセレクトされた曲を収録したライヴ・アルバムです。

M:
4日間の寄せ集めライブ盤だけれども、すごく臨場感があって良いライブ・アルバムだと思う。このメトロのライブに行った友人の話では、ミスをした何曲かはライブの後に演奏しなおしたらしいです。僕もNYのアルバム・ショー(3 Days)を観に行ったんだけど、リックさん、結構ミスってました(^-^)

K:
確かに、臨場感抜群で凄くCTの生に近いサウンドですよね。私は「Budokan」よりこっちの方を聴きこみました(^_^;)  特に気に入っているパフォーマンスは"The Ballad Of TV Violence"です。たまりません…この迫力満点のパフォーマンス

M:
そうなんだよね、チープトリックのライブの音にスゴく近いんだよね。

K:
2001年のGold Wax誌を久々に読んだら、マンさんこのアルバムをコピーする際の音源に活用しているとインタビューで仰っていますね(^^)

手元に、ロンドンのアルバム・ショウのセット・リストはあるのですが、1st〜3rdそれぞれのアルバムの曲をプレイし終わった後の選曲がまたなかなか
美味しいんですよね("Stop This Game"や"Walk Away"なんてプレイしてる…)。きっとNYやシカゴも似たような選曲の最初から最後までたっぷり楽しめる
セットリストだったのでしょうね。本当に羨ましい!

Y:
僕もこのアルバム、聴き返しましたが、いいですよね。チープのライブを一度も経験していない人にとっては「武道館」以来のライブアルバムということになる訳でしょうけど、これを聴いたら、さぞ驚いたでしょうね。

あとなんといっても"Gonna Raise Hell"でのバーニーさんのドラム・ソロ、凄いですね。


M:
"Gonna Raise Hell"や"Need Your Love"でのバニーのドラムとトムのベースは最高にカッコ良い! 最近は演奏してないみたいで残念だけど。

K:
"Need Your Love"や"Gonna Raise Hell"は、他のCTの曲と同様に他のバンドがもっとカヴァーしてもおかしくないと思うのですが、あまりないのはあの楽器のサウンドの質感とロビンのアグレッシブなヴォーカルをコピーできないからではないでしょうか? この2曲の発するエネルギーには凄いものがありますね。


Y:
まったくご指摘の通りだと思います。チープの重厚なサウンドを再現するのは、ホント容易じゃないと思いますから…。
Special One Special One(2003)
Produced by Chris Shaw & Cheap Trick
Tr.3 by Cheap Trick & Jack Douglas
Tr.6 by Cheap Trick, Chris Shaw & Steve Albini
Tr.10 by Cheap Trick & Steve Albini
Rockford Rockford(2006)
Produced by Cheap Trick
"Perfect Stranger" Produced by Linda Perry
Executive Producer Bill Edwards
「『Special One』も『Rockford』もいいアルバムなのですが・・
この2枚は実に対照的なアルバムに思えます。
ユタカ


「『Rockford』を聞いてると、メンバーが凄くリラックスして
レコーディングしたんじゃないかなぁって感じがする」
マンタロウ
K:
「Special One」は非常にバラエティに富んだ作風が印象的なアルバムです。"Scent Of A Woman"だけは、ライヴで生で聴いたらあまりに強烈で、CDでは物足りなさを感じるようになってしまいました(^_^;) この曲は是非今後もライヴのレパートリーに加えていて欲しいです。そしていつか、ライヴ・バージョンを正規にリリースして欲しい…。Summer Sonic 2003の"Scent〜"は本当に凄かった!

Y:
そうだったんですか・・観にいけば良かった・・。しかし、ライヴを観てない僕でも、この"Scent Of Woman"の迫力はCDからも感じ取ることが出来ますよ。じわじわ盛り上がってくるこのナンバー、これまでのチープにないものだと思います。

K:
そうそう、それまでのCTになかった新しいタイプのストラクチャー、サウンドの曲が多いのがこのアルバムの特徴ですよね。いや、多いというよりほとんどの曲…? これだけ新しいことにトライして、全体的にはしっかりCTらしさを感じさせる…これがベテランならではの妙というものでしょうか?

一方最新作の「Rockford」  こちらは、CTのポップな部分が強く打ち出された、コンパクトにまとまったロック・チューンが多いですね。

Y:
朝、目覚めると"Everynight Everyday"が頭の中で鳴っているのは何故だろう・・?  この曲、これまでのチープにあったようで、なかった曲かもしれませんね。リックは「The Who風に作ろうとして、そうならなかった曲」みたいなことを発言してましたが・・。
個人的にはTerry Anderson(Georgia Satellitesの"Buttleship Chains"の作者としても有名)の書く曲によく似てるなあと感じました。いずれにせよ良い曲。


K:
「Rockford」にも、これまでのCheap Trickに"ありそうでなかった"曲が収録されてますよね。キャリア30年を数えてこれだけの新鮮さを生んでいるのは素晴らしいと思います。"One More"も最初聴いてオッ、新しい…と思いました。リックのギターもライヴ的なアグレッシブさを持っていてとても印象に残りますね。

M:
「Special One」は良いアルバムだよね。僕はPop Droneが大好きなんです。「Rockford」は聞きやすくて良いんだけれども、心地よいヘビーさと言うか重さがもうちょっと欲しかったかなぁ。

K:
そうですね。私も「Rockford」にもし不満があるとするなら、実際のCTのライヴのようなヘヴィさ、アグレッシブさに欠けているということですね。もう少し1stアルバムや「Cheap Trick'96」のような生々しさがあれば…。

"Pop Drone"私も大好きです。あの独特の浮遊感がたまりません(^o^)/

M:
Specia One とRockfordをシャッフルして聞くと意外と良いだす(^-^)

K:
(笑)マンさん、私も試してみます。オリジナルの曲順でCDR作ってみようかな。

Y:
この件に関しては僕もじっくり語りあいたかったのです(笑)!"Special One"はいいアルバムです。 そして今回の"Rockford"もいいアルバムなのですが・・ この2枚は実に対照的なアルバムに思えます。マンさんのいう「2枚をシャッフルして聴くと意外とよい」と いうのはそれを反映しているからなのではないでしょうか。

例えば"Give it Away"のような曲は"Specal One"のリストから外されても当然のような気がする訳です。このアルバムに入れるには"Give It Away"はポップすぎた(この曲"Busted"のタイトル曲を連想しますね!もちろん大好きですが)。

「Special One」には存在感のある、どっしりした曲がズラリと並んでいる。へヴィな曲ばかりと言ってもいいかもしれない。"Scent Of Woman"を聴き終えた後は「おおーっ・・」と思わず感動の声が出ましたよ。 とにかくどの楽曲もクオリティが高い。傑作だと思ってます。なので「前作はイマイチだったけど、今回は良い」という意見には僕も声を大にして、「意義あり!!」です。

今回の「Rockford」は前作の反動なんでしょうか。かなり軽いですね。選曲もメンバーの投票で行った、なんてリックが発言してましたけど。まあ、イージーでノリノリのチープ、というのも彼らの魅力な訳ですから、これはこれで良いと思います。 でも"C'mon C'mon C'mon"や"Dream The Night Away"
入れるなら"Radio Lover"とかも入れてほしかったなあ。

おっと。長くなってしまった(笑) すみません。

K:
わかります、わかります。たとえば、"Give It Away"も"Scent Of A Woman"もCTならではの"ポップさとハードさ"を持った曲であることには変わりないんですが、"Scent Of A Woman"の方がユタカさんの仰るように重量感重視。ダイナミズムも"Give It Away"より上ですよね。言い方を変えると"Scent Of A Woman"が7000人以上収容のアリーナ向けとすると、"Give It Away"が中野サンプラザや渋谷公会堂クラス向けというか…(笑)

「Special One」の時は何故"Give It Away"収録しないのか、と少し不思議に思いましたが「Rockford」を聴くとなるほどと納得できる部分もあります。レビューでも書きましたが、ポップでコンパクトな曲がほとんどなのは、「Special One」の反動が出ているのでしょうか?

それにしても、確かに"Radio Lover"は何時になったら正式にアルバムに収録されるのでしょうか…。30年のキャリアで、未だ"最高傑作"と呼べる曲を隠し持っているのは逆にある意味凄いですが(^^;

M:
「Rockford」を聞いてると、メンバーが凄くリラックスしてレコーディングしたんじゃないかなぁって感じがするなぁ。その辺がアレンジなんかにも表れてるような気がする。

「前作はイマイチだったけど、今回は良い」なんて言ってる人は,初来日からのファンですと言いながら、"I Want You To Want M"e, "Dream Police"と"Surrender"の時だけ大騒ぎするようなファンじゃない(経験談)(^-^)

K:
私もCTに関してはどうしても熱くなってしまうので、批判を目にするといつも落ち着けと自分に言い聞かせるのですが(いい年して恥ずかしい・(苦笑)) 特に気になるのがポップな曲は良いけどヘヴィな部分は×という短絡的な意見と、あとリックのギター・プレイに対する低評価と批判! リックのギターが大したことない、ワン・パターンでつまらないという人は一度ギターを持って"I Want You To Want Me"(ライヴ・バージョン)"とか"Hot Love"(←これは私も弾けませんでしたが・汗)をプレイしてみなさいっ!と言いたい。リックは曲そのものを活かす構築されたフレーズをつくれるギタリストなんですよと。こんなことマンさん、ユタカさんの前で語るのは恐れ多いですが…( ̄◇ ̄;
ごめんなさい、また熱くなってしまいましたm(_ _)m

Y:
確かにマンさんの仰るとおり、「Rockford」はリラックスして作った感じがありますね。「♪ほのぼの感」すらあります(笑)。 なんだか"Standing On The Edge"の後に出した"The Doctor"を 聴いたときの印象に近いですね(笑)。へヴィなアルバムの後に ポップなアルバムを出す・・という。

リックのギターは「ワン・パターン」ではなく 「ワン・アンド・オンリー」なんだと思います。 リックのギターは情感があって、喜怒哀楽を表現できる数少ないギタリストだと思います。 そんなギタリストはなかなか存在しません。
しかし誰でしょうね、そんな批判をする奴は!? 怒っちゃうよ、俺!

K:
なるほど。マンさん、ユタカさんの仰られるようにRockfordは「リラックス感」というのがひとつのキーワードになっているかもしれませんね。ユタカさん、プレイ面のことは雑誌で見ることもありましたが、私が一番良く聞いたのがライブ終了後です!せっかくライブの余韻に浸っているのに、台無しにするような言葉が耳に入ってくるとがっかりしますね。まあ、良いパフォーマンスを見てもケチつけるような人は所詮「ファン」ではないのでしょうが…(`・ω・´)

Y:
ああ、居ますねェそういう人・・。まあそういう人は無視しましょう(笑)
しかし、「パワーポップ」だなんてレッテルだけでバンド やってる連中(僕も含む・苦笑)でチープのようなサウンドを出せるバンドがどれだけ居るでしょう?・・皆無です。 彼らに批判的な発言をする輩どもは、失った時に気づくのです。 まさに"Didn't Know I had it till I through it away"ってやつでしょうかね・・。

K:
おっ。ユタカさんから言葉が出たので書きますが、私この「パワーポップ」というジャンル分けあまり好きじゃないんですよ…。自分のサイトのレビューでもこの言葉は過去数えるほどしか使ったことないです。凄く曖昧に定義されたジャンルだと思います。CTのデビュー・アルバムちゃんと聴いたら「パワーポップの元祖」なんて言葉出てこないですよね!私は正直CTもMovin' Jellyも「パワーポップ」と思ったことはないです。(明らかに「パワーポップ」と呼べる曲もあるのかもしれませんが)CTもMJも私からすれば「グレイトなロックバンド」!ダメですか…?f^_^;

Y:
そうなんですよね〜僕も「パワーポップ」とか「モッズ」とか「パブ・ロック」とか・・形式先行型の考え方はどうかと思ってます。要は良い音楽かどうか、あとは「心意気」。 これに尽きますね!予備知識が必要な音楽なんて、ホント 煩わしいですよね。。

K:
ある程度のジャンル分けは必要と思いますが、あまり細かく定義づけて人に間違ったイメージや先入観を与えてしまうのはちょっと考えものですよね。
>「パワーポップ」「モッズ」「パブ・ロック」
…Movin' Jellyは全部入っていると思いますが(笑) 更に"Baseball Girl"のライヴなんてCheap Trick並のヘヴィ・ロックですし! 本当に良いバンドはジャンルを超越しちゃいますよ!!

M:
チープトリックをパワーポップと呼ばれるのはどうも馴染めないんだよねぇ。ロックンロール・バンドだよね(^-^) 素人評論家は無視だすよ。

K:
賛成ですー!私にとってはCTは世界最高の「ロックンロール・バンド」のひとつです(^o^)/

Y:
俺も賛成!ロックンロールが最高さ!! すなわちチープは最高さ!
ところでラモーンズ主演のあの映画「ロックンロール・ハイスクール」(1979)って最初はラモーンズじゃなくて、 チープ・トリック主演で、という話で進められていたそうです!実現したら最高だったろうな・・。

K:
そうだったんですか!その話ははじめて聞きました。 でも、実現していたらCTもかなりハマっていたと思いますよ!流石にRamonesほど音楽スタイルが一貫していると話は別ですが、CTも超王道R&R賛歌たくさん書いてます(カヴァーしてます)し!(^^) "California Man" "Baby Loves To Rock" "Rock All Night" "Rock'N' Roll Tonight"…

Y:

そうそう、そのあたりの曲で構成してね! チープも当時は相当な人気だったでしょうし、その映画が実現してたら、今の評価も微妙に違ったかもしれませんね・・。映画といえば「初体験・リッチモンドハイ」で登場人物の男の子が女の子をチープのコンサートに誘う場面がありますね。 でも「子供向けじゃない?」って断られるんですが(笑)。 (そのセリフがCD"Sex,America,Cheap Trick"に収録されてますね)

K:
あっ、そういえばそんなシーンありましたね!(笑)フィービー・ケイツが出ていたんでしたっけ? 確かどこかに録画したビデオがあったはず…帰宅したら探して見てみます!

Y:
そうそうフィービー・ケイツ出てます。 あと若きショーン・ペンも出ていますよ(能天気なサーファー役)。


Through The Night




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