Cheap Trick at 武道館 AGAIN! 4/24 日本武道館ライヴ・リボート |
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私が「at Budokan」のCDをはじめて聞いたのは、そのリリースから10年経った1988年のこと。当時、既にその歴史の重みを感じさせたこの偉大なアルバムは、更に20年の年を重ねた今でも鮮烈な印象を与える音を有している。
リックの口からアルバム完全再現…と聞いた時は驚いた。オリジナル「at Budokan」でなく、「Budokan Complete」を完全再現したらそれは凄いことになりそうだが、そのCompleteのボリュームからして"Dream Police" "Voices"といった"必ず演奏しなければならない"曲の入る余地がなくなる。では、2部構成にして、1部でオリジナルの「at Budokan」完全再現、2部でそれ以外の代表曲をプレイしたら…などと、様々な想像を巡らせ、リックの「長いショウになる」という言葉も後押しして期待が大きく膨らんだ人は私だけではないはずだ。 しかし、ファンならよくご存知のように、「at Budokan」のオリジナル版は、飽くまで日本のファンの為だけのギフトとして作られたものであって、バンドがプロデュースしたアルバムではない。日本のファンの音楽嗜好を反映させた"ポップな曲を集めた"アルバムである。曲数からすれば、セットに組み込みやすいオリジナル「At Budokan」フル演奏を考えてもおかしくない…いや、当初考えたからこそ"完全再現"という話が出てきたに違いないが、実際にリハーサルしてみて、メ ンバーがライヴの構成に"ぎこちなさ"を感じたとしても想像に難くない。当然のように、オリジナル「at Budokan」の曲順は、本来のCheap Trickのライヴの流れとは別物であるからだ。 オープニングの"Hello There"から"Come On Come On"へとなだれ込み、やはりオリジナル「武道館」の再現なのか!と一瞬色めき立ったが、その期待は"Big Eyes" "California Man"と続く流れで早くも崩れることとなる。結論を先に言うと、この日のライヴは1988年以降の全ての来日公演の基本セット・リストを全て折衷したような、"いつもの"Cheap Trickのセット・リストだった。これ!という珍しい選曲もなし。スペシャル・ゲストの登場(サポートで、キーボーディストのトッド・ハワースがプレイしていたが、最後まで紹介されることはなかった)もなし。ショウ全体の長さも80分程度と、普段のセット・リストをそのまま武道館という会場に移行したような感じだった。 特別なものが何もなかったというわけではない。オープニングで、ステージ全面に張られたスクリーンに過去のPVとライヴ映像("Oh Candy" "Speak Now Or Forever Hold Your Peace" "I Can't Take It" "You're All I Wanna Do" "Carnival Game")を流した演出は悪くなかったと思うし、全18曲中11曲が、1978年の武道館でもプレイされた曲と、「at 武道館」30周年を祝うだけの当時の"空気の再現"は随所で感じるとることができた。何より会場のスケールに負けないサウンドのダイナミズムと、プレイのタイトさには、流石生粋のライヴ・バンドと思わせる説得力があった。ロビンのヴォーカルも最後まで安定していたと思う。ショウの流れも実にスムースだった。つまりは、ひとつのライヴとして見て完成度が非常に高く、十分楽しめたということなのだ。 勿論、プロモーターの宣伝内容、事前に読んだリックのメディアでのインタビューの言葉を受けるならセット・リストが"普通"であってはいけなかったのは確か。自分の予想と実際が大きく異なっていたのも確か。それでも、ああ、もう少し長く聴きたかった…と思いつつも、満足できたのは、ショウがスタートした時既に"武道館"という名前とその重みが頭から消え、ステージ〜バンドと音だけに集中していたからかもしれない。常にCheap Trickらしい音を出し続けることの凄みを感じたからかもしれない。そして、いうまでもなく30年の時を経ても、全く輝きを失わない楽曲の素晴らしさもある。 もし、これが最後のライヴだったら許さないけど、Cheap Trickの歴史はこれからまだずっと続くのだからね。 (加筆修正:2022/2/24) |
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Set List 1.Hello There 2.Come On, Come On 3.Big Eyes 4.California Man 5.If You Want My Love 6..Best Friend 7.Downed 8.I Want You To Want Me 9.I Know What I Want 10.Voices 11.High Roller 12.The Flame 13.That 70's Song 14.Surrender - encore - 15.Dream Police 16.Auf Wiedersehen 17.Clock Strikes Ten 18.Goodnight Now |
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