Cheap Trick live in Japan 2018 live at Zepp Tokyo 10/11 |
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2018年10月11日 Zepp Tokyo |
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開演時間を5分ほど過ぎた頃、照明が落とされ「Ladies and gentleman.Boys and girls.Please welcome
to the stage The f**kin' rock band you ever seen」のアナウンスと共にメンバーがステージに登場した。代表曲をコラージュしたお馴染みのイントロダクションのBGMが好きなのでちょっと残念ではあったのだが、この不意討ち的なスタートは新鮮だった。10年前の「at
Budokan」リリース30周年記念の武道館公演では、開演前に過去の一連のプロモーション・ビデオをスクリーンで流すという演出があったが、それとは対照的なスピーディーなオープニングだ。観客は大歓声でバンドを迎えた。 |
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それにしても、メンバー全員コンディションが良さそうだ。2016年の来日では名古屋公演で見れた、黒の"Dream Police"キャップに黒のTシャツとジャケット姿のロビン、帽子を目深に被ったトム。私の位置からは姿がよく確認できなかったのだが、これでCheap Trickのメンバーとして3回目の来日となるダックス、そしてリック。バンドのタイト且つエネルギッシュな演奏に、ファンも熱狂的な歓声で応えている。ここで初めて80年代の曲が登場。リックの「もし歌詞を知っていたら歌ってくれ。もし歌詞を知らなかったら大声で歌ってくれ!」というMCが出たら、そう"If You Want My Love"だ。優しいメロディを持ったロッカ・バラードの名曲が場内を包む。「ドウモアリガト」とリックが日本語で礼を言い、骨太なリフを刻み始めた。アルバム「We're All Alright!」のオープニング曲"You Got It Going On"が再びテンションを上昇させる。全く年齢を感じさせない、バンド史上最高といってよいパワフルなアルバムのカラーを反映したこの曲は、ライヴでも鮮烈な印象を残してくれた。ここでもテイラーはギターにコーラスにと大活躍!
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「初来日の時は俺は5才だった。今は25才だよ」というリックのジョーク(笑)から、記念すべき1stアルバムのオープニング曲"Elo Kiddies"
40年経った今聴いても新鮮で、新奇さを備えた独特のリズム・パターンとギター・リフが更にテンションを上昇させる。続けて、同じく1stアルバムから"Oh
Candy" Cheap Trickでしか有り得ない、仄かな哀愁を持ったメロディが染みるロック・チューンが、場内の空気を一転させた。 「君が今25才だと、僕は20才ということになるな」とロビンが先のリックのジョークに続けると、リックが「いや、君は125才だろ(笑)」と返す。ジョン・レノンの「Imagine」(1971)収録の"Gimme Some Truth"("Give Me Some Truth")は、バンドからアナウンスがあったように来るニューアルバムに収録予定のカヴァー曲。オリジナル・バージョンに硬質なギター・リフ/ソロを加えた、骨太なCheap Trick流アレンジが秀逸だ。Cheap Trickのオリジナル曲を歌う時とは違う、言葉を一つ一つ吐き出すように歌うロビンの歌唱、そして後半のシャウト気味のヴォーカルが印象的だった。続いてジョージ・マーティン・プロデュースの「All Shook Up」より、近年ライヴで登場することが多くなった"Baby Loves To Rock" シングルカット曲でも、ヒット曲でもないストレートなロック・チューンなのだが、ライヴにおけるメンバーの表現力、スキルが良く伺える曲の1曲といえるだろう。私ははじめて生で聴いたのだが、体の芯まで響くようなトムの重いベースが心地良かった。 再びリックのMC。「次の曲はアメリカでは18週連続チャートの1位をとったんだが、日本では…笑(と、親指を下に向ける)」場内は笑いに包まれた。既にツアーでセットリストのレギュラーになっている"The Summer Looks Good On You"は、プロモーションビデオも作られた新曲。ポップなメロディ、キャッチーなコーラス・ハーモニーがCheap Trickならではの魅力に溢れた名曲であり、ここでもテイラーのサイドギターとヴォーカルが大きな力になっていた。 トムがリード・ヴォーカルを担当する"I Know What I Want"は、Cheap Trickの数多い楽曲の中で決して人気上位にくる曲ではないけれども、シンプルでダイレクトなギター・リフと、一緒に歌わずにはいられないキャッチーなコーラスが配されたとてもライヴ向けの曲だ。生で聴いて、この曲の魅力を再確認したファンも多いのではないだろうか?驚かされたのがこの後の展開。胸の奥をざわつかせる、陰りのあるフレーズを紡ぐトムのベース・ソロが導くのは"Auf Wiedersehen"…と思いきや、飛び出したのが何とVelvet Undergroundのカヴァー"Waiting For The Man"!トムのリード・ヴォーカル曲が2曲、しかも続けて演奏されるのは非常に珍しい。(ライヴ後に気付いたのだが、これはこの日の特殊なセットリストの関係上、ロビンの喉を休ませる理由もあったかもしれない) 近年、ライヴの定番曲としてプレイされているこの曲では、前回の来日公演と同様にロビンがステージ下手でアコースティック・ギターを弾きサポート。トムのヴォーカルが以前より伸びやかに響いているように感じられた。後半のリックのボトルネックによるギター・ソロも素晴らしかった。 |
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この後、終盤は代表曲中の代表曲が続けて繰り出される圧巻の展開。全米no.1ヒット"The Flame" ロビンのヴォーカルの歌唱とアコースティック・ギターの響きは、これまで生で聴いた中でもベストといえる美しさだった。"The
Flame"の時、私の位置からはテイラーの姿が見えなくなったのだが、彼はこの曲ではステージ奥でキーボードとコーラス・ハーモニーでロビンをサポートしていた。"I
Want You To Want Me"では、ハイテンションが続いていた会場の熱気が更に高まり、"Cryin' Cryin'"のコールとともに突き上げられる観客の腕でステージが見えなくなるほど。会場は残念ながら武道館ではなくなったけれど、この盛り上がりはきっと初来日の時と比べても遜色なかったのではないかな?! "Dream Police" オリジナル・バージョンのバン・Eのドラムスが特徴的で、楽曲のカラーを決定付けていたが、ダックスの重厚なサウンドが今やすっかりフィットしていると感じる。前回、前々回の来日公演で演奏された"Gonna Raise Hell"でのドラム・ソロのように、今回はダックスの目立った見せ場こそなかったが、今のCheap Trickの推進力になっているのはダックスのタイトなドラミングであるのは明らかだ。中間部のギター・ソロのパートで、クルーが半身のロビンの肩にDream Policeのジャケットをかける演出はなくなっていた。 凄い盛り上がりのうちに"Dream Police"は終了「Thank you! Thank you! Thank you! 僕らがCheap Trick。忘れないでくれよ」というロビンの言葉に本編終了を悟るが、メンバーはステージから去らず。リックの「ドラムスはダックス・ニールセン!彼が、あと数曲プレイできると言ってるんだ」とMCした後、いきなり"Clock Strikes Ten"に突入したのには驚嘆した。この時点で、演奏した曲数は21曲と、既に通常のロングセットの上限に達していたのだが、バンドはペースを緩めることなくこのシンプル&ダイレクトなロック・チューンで猛然と突っ走った。ロビンの喉もここへきても全く疲れを感じさせることなく、声がしっかりと出ている。パワフルな演奏に呼応して、激しい盛り上がりで応える観客(フロアー前方の観客は皆ジャンプしていた) その勢いを保ったまま、バンドは更にヘヴィな、これも70年代のCheap Trickを代表する名曲である"Auf Wiedersehen"で畳み掛けた。ずしりと響く、トムの12弦ベースの荘厳なサウンドもCheap Trickならではの持ち味だ。それにしても、ライヴ終盤でより加速していくこのパワフルさ!長年Cheap Trickのライヴを見てきたが、呆気にとられてしまった。当然、ラストは永遠のロック・アンセム"Surrender" ヘヴィさ、ポップさ、キャッチーなメロディ、ユーモア・センスとCheap Trickの魅力が凝縮された名曲から"Goodnight Now"へと繋ぎ、満員の観客に別れを告げたバンドは、2時間に亘る楽しく、濃密なライヴを締めくくった。 |
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近作からの曲は「We're All Alright!」収録の"You Got It Going On"と、"The Summer Looks Good On You"のみ。代表曲と、近年のバンドのライヴ・フェイバリット中心のセット・リストでありながら非常に新鮮で、インパクトのあるライヴだった。24曲というロングセットで、過去に殆ど記憶がない珍しい曲順と構成。アンコールをカットし曲間を詰めたスピーディな展開。装飾、小細工なしにありのままの自分達を出して楽しませる、というのがCheap Trickがデビュー以来徹底してきたことであるが、この日のライヴは日本のファンのために、40周年を祝うために特別に組まれたことがはっきりと伺える内容だったといえる。自然体で、さらりと凄みを見せつける…。世界屈指のライブ・バンドの力が遺憾なく発揮された素晴らしいパフォーマンスに、感動で震えが止まらなかった。 (10/14/2018) |
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- set list - 1.Hello There 2.Come On,Come On 3.Lookout 4.Big Eyes 5.Ain't That A Shame 6.On Top Of The World 7.If You Want My Love 8.You Got It Going On 9.Voices 10.Never Had A Lot To Lose 11.Elo Kiddies 12.Oh Candy 13.Gimme Some Truth 14.Baby Loves To Rock 15.The Summer Looks Good On You 16.I Know What I Want 17.Waiting For The Man 18.The Flame 19.I Want You To Want Me 20.Dream Police 21.Clock Strikes Ten 22.Auf Wiedersehen 23.Surrender 24.Goodnight Now ※下線のある曲名は、クリックするとブログの曲解説のエントリーに飛びます |
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