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2.Cheap TrickとAC/DC
AC/DC/Let There Be Rock AC/DC /Let There Be Rock(1977)

※名曲"Whole Lotta Rosie"を収録した、
AC/DCの代表作の1枚。
  やはり会場内に響いていたのは今は亡きボン・スコットのしゃがれ声であった。2003年8月4日、Zepp仙台でのライヴ。前座のHound Dog(日本のロック・バンド)が小一時間の演奏を終了して、果たして何十分経っていただろうか。あまりにも長いステージ・セット・チェンジ。さあ、ついにCTの登場だ!という高揚感は、ライヴ前に食らったビールと共に体から抜け、集中力がだんだんと欠けてくる。昨日の仕事の疲れが…CTの出番はまだかぁ!
  …と、そんな私の意識を繋ぎとめていたのは、CTの開演前BGMにしてはややボリュームが小さめの、70年代のAC/DCの名曲群だった。ヤング兄弟によって刻まれる"Highway To Hell"の硬質かつシャープなリフが、半分眠った私の体の真にスパッと食い込んでくる。

  CTのライヴ前のBGMとしてはもはや定番のAC/DC。それも、ほとんどがボン・スコット時代の曲(つまり70年代の曲)だ。 私が見た過去のライヴでブライアン・ジョンソン時代の曲が開演前に流れたことは…いや、"Back In Black"や"You Shook Me All Night Long"を聴いた覚えはあるなあ。でも、印象としてはボン・スコット時代の曲の方が圧倒的に強い。

  既に「Let There Be Rock」(1977)  「Highway To Hell」(1979)といった70年代後期の名作で大物バンドとしての地位を確立していたAC/DCであるが、彼らがセールス/人気両面で最高到達点に達したのはヴォーカルがブライアン・ジョンソンに代わって最初の2枚のアルバム、最高傑作と名高い1980年の「Back In Black」と、全米チャートでNo.1に輝いた1981年の「For Those About To Rock」の頃である。ボン・スコットと同タイプのしゃがれ声であるが、よりソリッドで直線的、かつ強力なハイ・トーンを持つブライアンのヴォーカルと、ロバート・ジョン・"マット"・ランジのプロデュースによる洗練されたメタリックな音像が上手く時代にマッチしたこの2枚のアルバムで、彼らは一躍シーンの最前線に躍り出たのだ。

  「The Razors Edge」(1990年)が初めて聴いたAC/DCのアルバムという、完全な"ブライアン世代"の私は、洗練さに欠けるボン・スコット時代のAC/DCは長いこと苦手に(というか、食わず嫌い)していたのだが、昨年(2003年)再発されたAC/DCのリマスターCDシリーズの、70年代の一連のアルバムを買い、これまで聴かなかったことを大変後悔した。CT同様、AC/DCの楽曲も2004年の今聴いても全く古さを感じさせない、素晴らしいロック・チューンばかりだ。そして、繰り返し聴くごとに、ボン・スコット時代のAC/DCの曲の中にCheap Trickサウンドのルーツが見えてきた。
(注)「Standing On The Edge」レコーディングの際にCTはロバート・ジョン・"マット"・ランジにプロデュースを依頼した…という雑誌記事を以前どこかで読んだ覚えがあるが、あの時はCTはジョンのプロデュースしたAC/DCのアルバム〜「Highway To Hell」  「Back In Black」路線のサウンドを狙っていたのかも。言うまでもなく、これは結局実現せず、次作「The Doctor」でCTは「Back In Black」でエンジニアを務めていたトニー・プラットをプロデューサーに起用する。

  リック・ニールセンとアンガス・ヤング(AC/DCのリード・ギター)、マルコム・ヤング(リズム・ギター。アンガスのお兄さん)ではプレイ・サウンド共かなり異なるので、AC/DCとCTの類似点がはっきり表れる場面はそう多くはないが、これはわかりやすい。1977年の「Let There Be Rock」アルバム収録の
"Bad Boy Boogie"  CTのメンバーは"Girlfriends"(「Woke Up With A Monster」)を書く際にきっとこの曲を参考にしたでしょう。良く聴くと、"Girlfriends"には「High Voltage」(1976)収録の"Live Wire"という曲のアレンジがちょっと混ざっているようにも思える。

  2003年、フロリダで行なわれたCTのNew Years Eveのショウでは何とブライアン・ジョンソンが飛び入りし"Highway To Hell"を共演したそうです。羨ましいなあ〜!
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