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3.謎のバンド"New Nazz"
Fuse解散後イギリスでしばらく過ごしていたリックは、
そこでトッド・ラングレンに出くわし、彼からNazzの元メンバー:
トム・ムーニーとロバート"Stewkey"アントニの電話番号を聞きだした。
The Nazz/Open Our Eyes〜The Anthology The Nazz
/Open Our Eyes〜The Anthology


※日本盤は、イギリスで編集された
2枚組CDに解説をつけたものが
MSIレーベルよりリリースされています)


←左から、トッド・ラングレン、トム・ムーニ−、
ストゥーキー、カーソン・ヴァン・オステン
  ※今回は出来れば「Sex, America, Cheap Trick」の解説を参照しながら読んでくださいね。

  Fuse以降、Cheap Trick結成以前。1970年代前半のCTの各メンバーの活動は、謎が多い故に逆にとても興味深い時代である。CTの歴史を語る上では外せない人物のひとり、トッド・ラングレンがバンドNazzでデビューしたのはFuseがデビューするのと同じ、1968年のことであった。1stアルバム「Nazz」は若きトッド・ラングレンのソングライターとしての資質、ポップ・センスが早くも炸裂した大変優れた作品であったが、2ndアルバムのレコーディング時にはトッドとリード・ヴォーカリスト/キーボーディスト・ロバート"ストゥーキー"アントニとの間で音楽的な対立がおこり、トッドとドラマーのカーソン・ヴァン・オステンがバンドを脱退。急ごしらえでレコーディングされていた曲をまとめた2ndアルバム「Nazz Nazz」(1969)は何とかリリースまで漕ぎ着けたものの、実質的な音楽面でのリーダー・トッドを失ったのは決定的で、結局Nazzの表舞台での活動はそこで終わってしまう。
  さて、Nazz以降のトッド・ラングレンのソロ・アーティスト、プロデューサーとしての活躍は語るまでも無いが、他のメンバーはどうしていたかというと、ストゥーキーとドラマーのトム・ムーニーはトッドとカーソン・ヴァン・オステンがバンドを抜けた後もNazzを名乗って地元フィラデルフィア周辺で活動していた。その二人に声をかけたのがリック・ニールセンだったのである。リック、ストゥーキー、トム・ムーニー、そしてトム・ピーターソンという4人で結成されたバンドの名前は"New Nazz"という。このNew Nazzの活動期間は短く、後にバーニー・カルロスが加入しバンドは"Sick Man Of Europe"と形をかえるのだが、このNew Nazz時代にもデモ音源が残されているのだ。New Nazz時代に果たして何曲の曲がレコーディングされたのかはわからない。とりあえず、今私の手元にあるのは"Ready I Am"  "He Was"  "Ain't Got You"…結局日の目を見ずに終わった3曲のデモ・バージョンだ。
  "Ready I Am"は後に「In Color」に収録される"So Good To See You"の元になった曲(「Sex, America〜」の解説によると、Sick Man Of Europe時代にはこの曲には"I'm A Surprise"というタイトルがつけられてライヴでプレイされていたよう)で、非常にヘヴィなサウンドと恐らくストゥーキーが弾いているキーボードの洒落たアレンジが印象的。"He Was"は恐らくオリジナルでしょう。荒々しいロック・サウンドとポップなメロディのコンビネーションが秀逸な、後のCheap Trickサウンドの原型を見ることの出来るような曲だ。"Ain't Got You"もまたヘヴィなロック・チューン。この曲は後にロビン・ザンダーが加入してCheap Trickの現在の編成になってから再レコーディングされている。Nazzの音源を集大成したコンピレーション・アルバム「Open Our Eyes〜The Anthology」を聴いてわかるように、Nazzは音楽的素養としてブリティッシュ・ロックの影響をベースにしたハード・ロック的サウンドも持っていたバンドであり(「Open Our Eyes〜The Anthology」の解説によると、ストゥーキーは『トッドの曲がメロウになりすぎてきたのが気に食わず』トッドと対立したそう)、ストゥーキー、トム・ムーニーの音楽的センスとリック、トム・ピーターソンのセンスがマッチしていたことはこの3曲を聴いて十分窺える。それにしても、このNew Nazzのデモと「Anthology」を何度繰り返し聴いても解せないのが、Nazz時代のストゥーキーのヴォーカル・声とNew Nazz時代のそれとがあまりに違っていることだ。(実はNew Nazzのデモはストゥーキーでなくて全くの別人が歌っているとか…いやまさか)  Nazzはヴォーカル・ハーモニーを重視していたとはいえ、どちらかというと"あっさりめ"の歌い方。New Nazzでのストゥーキーは中音域重視で、楽曲のドラマ性を増幅させる力強い歌唱だ。"Ain't Got You"を、ストゥーキーのバージョンとロビンのバージョンを交互に聴きながら、もしかしたらリックは当時からプロデューサー的な力を発揮して、歌い方についても細かい所までヴォーカリストに指示を出していたのかも…なんて考えてしまった。はっきりしているのは、数多くのシンガーと仕事をした後、めぐり合ったロビン・ザンダーこそがソングライター・リック・ニールセンの理想とするサウンド、メロディを完璧に再現できる「世界一のシンガー」であったということ。Cheap Trick以前〜70年代前半のリックの様々な経験は決して無駄ではなく、必要な時間だったに違いない。本当にロビン以外のCheap Trickのヴォーカリストって想像できないよね。
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