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〜リック・ニールセン、ロック人生、30年を語る〜
 東放学園音響専門学校・特別公開講座
Feb,21 2008
Rick Nielsen
 
  武道館公演決定の興奮も冷めやらぬうちに、リック・ニールセンが単独でプロモーション来日の報が。 しかも、今回は単なるメディア露出だけでなく、東京・新宿にある専門学校、東放学園音響専門学校で"特別講師"として話をするというではないですか。在校生に加え、一般の人も限定で50人招待されたリック先生による"ロック講座"に出席して参りました!
  ステージ上に大きなスクリーンが貼られた地下のスタジオは、東放学園の生徒さん、一般のファンに加えメディア関係者で満員! 立ち見の人も多く開演前から凄い熱気(実際に場内は少々暑く、リックも温度を下げてくれとリクエストし、その後適温に下げられた)

  まず、学校で"ロック史"を担当している酒井努先生が簡単にCheap Trickの歴史を紹介したあと、挨拶代わりにスクリーンに"Never Had A Lot To Lose"のビデオが流されました。もう飽きるほど見たPVですが、この大画面で見ると実にエキサイティング!

  しかし、今日は"講義"ということで興奮は内に秘めて椅子に座ったままこの名曲に浸ります(笑) ゲストコーディネーターの我妻広己(東放学園音響専門学校・講師/音楽評論家)さんと酒井先生がCheap Trickについてひとしきり語り、いよいよリックが登場。モデルを務めているJohn Varvatosの黒いスーツを纏ったリックは、大歓声で迎えられます。BGMは"Clock Strikes Ten"のイントロ…「時計は10時を指した、土曜日の夜〜」って、"講義"のはじまりにこの曲は相応しいのか!?(笑)

  リック先生…いきなりピックをビュンビュン飛ばしてます!
   <Cheap Trickと日本と武道館について>

  
日本の人たちが他の国に先駆けてCheap Trickを認めてくれたから今の僕たちがあるんだ。1st、2nd、3rdと日本でのセールスは上昇し続け、「at Budokan」でCheap Trickサウンドの"本質"といったものを見つけることができた。

  Cheap Trick以前にもBeatlesがプレイしたり、ボブ・ディランが武道館のライヴ・アルバムを出したりしているけど、"Cheap Trickが武道館を有名にし、武道館がCheap Trickを有名にした"んだよ。
   <2007年の"Recording Academy Honors"受賞について>

  名誉なことだよ。あのグラミー賞(受賞した)アーティストKanye Westと一緒に受賞したんだからね。

 通訳のお姉さん(※J-WaveのDJの方だそうです。名前失念してしまいました)が訳している間にも、時に机のリバウンドを駆使し(笑)ビュンビュンとピックを放り続けるリック…

 酒井「(ピック投げは)1日どのくらい練習しているんですか?」

 「3時間!」

 酒井「それじゃ、ギター練習するより長いですね(笑)」

 「いや、(ギターは)練習しない!」(会場笑) 去年、Beatlesの『sgt.Peppers〜』を再現するライヴを演ったんだけど(8月のHollywood Ballのショウのこと)、この準備の為に1967年以来はじめてギターを練習したね」

  <楽器をはじめた頃のこと>

  最初にプレイしたのはドラムだった。レッスンを受けた楽器はドラムが最初で最後だね。最初に組んだバンドのギタリストが良くなかったので、僕がギタリストに移った。両親が二人ともオペラ歌手だったせいか、音感が良くて"Peter Gunns Theme"とか〜ドドドド・ドドドド(と口ずさむ)  後に"On Top Of The World"のイントロのヒントになるんだけど〜とか楽に耳コピできたよ
  <1960年代>

  
最初に聞いた音楽はブルーズだった。その後にBeatlesに出会って、地元のラジオ曲でジミ・ヘンドリックスの曲を聴いて衝撃を受けて、母親に女性の裸が載ったジャケットのアルバム(「Electric Ladyland」)を買ってきてもらったんだけど、母は恥ずかしい思いをしたろうな(笑)  
 
  <1970年代>

  1970年代中期はディスコ・ミュージック全盛で(難しい時代だった)。でも、僕はダンスができないし(笑)あくまでロック・バンドだ、という気概で活動していた。

  すると、70年代後期に反動(backlash)が起こってチャート上位にBee Geesの「Saturday Night Fever」とCheap Trickの「at Budokan」が一緒に顔を出すような状況になった。でも、今Bee Geesはどこかへいってしまったけど、僕らはまだここにいる(拍手)
  <ギターについて>

  1978年に初来日した時、雑誌(音楽専科)の企画でギター・デザインのコンテストを行って、当選したギターをグレコに頼んで作ってもらった。エディ・ヴァン・ヘイレンが出てくるより前だけど、もうギターのボディにデザインをしていたよ。今ならフォトショップですぐ作れるだろうけど、当時はなかったからチェックのデザインをつくるのに3M(マスキングテープ)をひとつひとつボディに貼って、上からスプレーして模様を作ったんだ。

  今所有しているギターは500本(驚)  あっ、もう1本あったか(笑・といって、後ろに置いてあったギターを取り出す)  ツアーに必ず持っていくのは5ネック・ギター3本と、ヘイマーのDream Policeのギター。

  ポール・マッカートニーが持っている、世界に3本しかない左利き用のレスポールは、僕が実はあげたんだ。まだお金払ってもらってないけどね(笑)  (ポールは前夫人の慰謝料で大変だろうけど)彼女にお金払う前に、僕にギター代払って欲しいな(笑)

 
  <レコーディングについて>

  まずリハーサルをしっかりやるね。リハーサルをしながら、曲の良いところ、悪いところを見極める。最近は、マッキントッシュも(曲作りに)良く活用するね。バーニーのドラム・トラックはだいたい3日で録り終えるんだけど、彼が満足して帰ると僕らも嬉しい(笑)
  <4/24・武道館公演について>

  
さっきも話したように、Cheap Trickにとって重要なアルバムである「at Budokan」からはたくさんやるし…初来日公演では"Dream Police"演ったっけ? え、演ってない?  "Dream Police"も演るだろうし、とにかく長いショウになるよ!
Rick Nielsen
 
  ここで、酒井先生が今度の武道館でもこの盛り上がりが見られるように…と、初来日時の"Surrender"の映像をスクリーンに流しました。大写しになった当時の自分を見て、恥ずかしそうに頭を抱えるリック! 

 
「あの時に比べると大分(体形が)大きくなったな!(笑)  それはともかく、ギターはかなり上手くなったよ」 
  <音楽と人生>

  
僕はバカ過ぎて、ロックするのを止められない(Too dumb to quit)んだよ(真顔で)  音楽キャリアの最後にプレイしたい曲? そうだな…長い曲をプレイしたいね。凄く長〜い曲を(笑)
 
  人に押し付けられて作るのでなく、音楽が好きだから今まで続けてこれたんだ。音楽業界でどんな仕事につくにせよ、大事なのは自分の仕事を好きになること。好きなことを続けるのが重要だね。1stアルバム(の"Daddy Should Have Stayed In High School")で、「俺は30才だけど、16才の気分」って歌ってたけど、今59才の僕は、17才の気分でプレイしてるよ!
  その後、生徒さん、ファンからのリックへの質問コーナーがあり、全員でリックを囲み記念撮影したあとイベント…じゃなかった講義は終了。更にリックは10分ほど残ってファンにもみくちゃになりながら、即席のサイン会も行ってくれました(私は、残念ながらもらえませんでした)。

  尊敬するリックのユーモア溢れる話を目の前で聞き、また優しさに触れることができて夢のようでした。東放学園の先生、スタッフ、関係者の皆様。貴重な体験をさせて頂きどうも有難うございました!
  <おまけ>
  講義終了後、スタッフ・ルームから何故かダンスしながら出てきて次の仕事に向うリック先生…この後握手してもらいました。
Rick Nielsen
+ テキスト編集協力/えりさん
(加筆修正:2022/3/1)

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