The Answer/Philip Sayce
at Shibuya AX Mar, 27 2007

- Philip Sayce Set List -

1.One Foot In The Grave
2.Powerful Thing
3.Dream Away
4.King Of New Mexico
5.Are You Ready?
6.Angels Live Inside
7.Slipaway
8.Gimme Some More
9.Take You away
10.Daydream Tonight
11.Morning Star
12.Let The Love In
13.Spanish Castle Magic
(Jimi Hendrix cover)
- Philip Sayce -

   会場への到着が少々遅れ、急いで荷物をロッカーに預けた私は、デビュー・アルバム「Peace Machine」のオープニングを飾る"One Foot In The Grave"の強烈なビートが響く中ホールに飛び込んだ。チケットの売れ行きがいまいちと聞いていたが、会場の8割は埋まっているよう。それでもフロアは前方でもまだスペースにが点在しており、フィリップの表情もしっかり伺える右より7、8列めくらいのポジションを確保することができた。ところで、元々お目当てがThe Answerだった私がフィリップのデビュー・アルバムを手に入れたのはライヴたった1週間前。予習するにはあまりに時間がなさ過ぎたが、まだ荒削りなところはあるものの、インパクト十分なその音楽を聴いて、これは凄いものが観れるかも…という期待が膨らんだ。果たして、ライヴはこの手の音楽を決して主食にしていない私でも大変楽しめる内容であった。いや、もしかしたら主食にしていないから寧ろ楽しめたのかもしれない。ジミ・ヘンドリックス、スティーヴィ・レイ・ヴォーン、etc.  フィリップのバイオグラフィで比較対照される偉大な先人達の名前を見るにつけ、まだまだ力と勢いで押す場面の多い実際のフィリップに物足りなさを覚えた人もいたかもしれない(いかにも"品定め"といった感じでじっとステージを凝視するヴェテランのロック・ファン、結構見えたなあ…)、が、フィリップ、ケニー・アロノフ(ドラムス)、ロジャー・ブエノというトリオは、ブルース・ベースのハード・ロックという視点からみれば、実に楽しめる音を出していたと思うのだ。「Peace Machine」収録曲を中心に、この翌日リリースされる2ndアルバム「Silver Wheel Of Stars」の楽曲を織り交ぜたライヴは、フィリップの、ストラト独特の太いサウンドが縦横無尽に暴れまくる実にタフで熱のこもったショウで、ケニーの身体の芯まで響くような重いスネアの音も"ハード・ロック"的イメージを増長した。フィリップがMCで「偉大な人物」と何度も表したケニーは、経験豊富な大ヴェテランである。はじめて生で観る彼のそのパワー・ヒッターぶりには驚いたが、実際はバリエーション豊かなプレイヤーであり、ここではフィリップのサウンドに合わせたバージョンを見せているに過ぎないのだと思う。まるでストラトと格闘するようなアグレッシヴなギター・プレイ(腕全体で大きくX字を描くように、時にネック中央でもやるカッティングがスゴい)を披露する一方で、"Dream Away"や"Daydream Tonight"といったバラードでは抑えたトーンで、くしゃくしゃの顔で泣きまくりのエモーショナルなソロを披露。勿論、ピュアなブルーズ・ソロ・パートもフィーチュアされていた。更に特筆すべきは、フィリップの凄まじい歌唱力。ただでさえラウドなインストゥルメンツのサウンドに全く負けない抜群の声量を備えたソウルフル・ヴォイスは最後まで衰えることがなかった。ギター・ソロが冗長だった…といった意見もネット上でいくつか見かけたが、個人的にはギター・ソロの長さはともかく、リフに魅力がやや欠けるような気がした。ジミ・ヘンドリックスのような意外性と構築美のある…とまではいわないが、もっと印象的なギター・リフをつくり、曲の土台にバリエーションを持たせることでその歌唱力も、メロディも、そしてソロ・パートももっと生きてくると思うのだ。最後に、フィリップ、ケニーと比較すると地味な印象ながらも、ロジャーも非常に安定感のあるプレイで曲を支えていたことを記しておきたい。  (3/31/2007)
Phillip Sayce/Peace Machine

Peace Machine
(Japanese CD/2006)
1.One Foot In The Grave
2.Save Me From Myself
3.Slipaway
4.Powerful Thing
5.Angels Live Inside
6.Dream Away
7.Sweet Misery
8.Blood In Your Hands
9.Cinammon Girl
10.Over My Head
11.Alchemy
12.All I Want
13.Morning Star
14.Peace Machine
- The Answer Set List -

1.Come Follow Me
2.No Questions Asked
3.The Doctor
4.Never Too Late
5.Keep Believin'
6.Always
7.Sometimes Your Love
8.Under The Sky
9.Preachin'
10.Into The Gutter
11.Sweet Emotion(Aerosmith cover)
12.Memphis Water
13.Be What You Want
The Answer/Rise

Rise

(Japanese CD/2006)
1.Under The Sky
2.Never Too Late
3.Come Follow Me
4.Be What You Want
5.Memphis Water
6.No Questions Asked
7.Into The Gutter
8.Sometime Your Love
9.Leavin' Today
10.Preachin'
11.Always
12.I Won't Let You Down *
13.Some Unity *
14.So Cold(Live Version) *
* Bonus Tracks
- The Answer -

  フィリップ・セイスの後〜アルコールを摂取し一息いれた私はフロアやや右(下手)寄り、最前列から5列めの更にステージをみやすいポジションへ…。20分ほどのセット・チェンジの後、ロック・クラシックのイントロダクションが流れる中(有名な曲…曲名ド忘れしてしまいました)The Answerのメンバーが登場。ヴォーカリスト:コーマック・ニーソンの「We're The Aahhhnswer!」というシャウトで"Come Follow Me"がスタートする。オープニングは"Under The Sky"かな…という予想(というか期待)もあったのだが、"Come Follow Me"も景気づけの一発にはもってこいのガッツィーなHRで、テンションは一気に上昇する。このウェールズ出身のニュー・アクトに私は、音楽性もそうだが、偉大な先人バンド達が持っていたカリスマティックな雰囲気を無意識のうちに期待していたのだが、これは期待すること自体が否、というのがライヴが始まってすぐに理解できた。といっても落胆したわけではない。デイヴ・キング(Fastway〜Katmandu)をもっと男くさくしたようなコーマックの佇まいと、ロバート・プラントからの影響が顕著なそのしなやかなステージ・アクションは目を惹き付けずにはおかないし、意外な程小柄だったギターのポール・マホンとベースのミッキー・ウォータース、そしてドラムスのジェームス・ヒートレイも華やかさこそ欠けるものの、そのクールな立ち振る舞いはこれぞミュージシャンという魅力に溢れている。そして何よりユニットとしての一体感がある。個々の音をとってみれば、コーマックのヴォーカルは思った程のディープさはなく、随所で強力なシャウトを響かせていたフィリップ・セイスと比較するとインパクトに欠けたし、ジェイムスのドラムスも、キレと重さを兼ね備えていたケニー・アノロフの後だと少々分が悪かった。しかし、バンドとしてみると、各インストゥルメンツと歌が、一点に向かって集中し独自の世界を作り上げているのがはっきりわかる。突出したものを持っていなくとも、力を合わせてアイデンティティを表現できる…これこそロック・バンドの醍醐味といえるだろう。その各メンバーのプレイヤーとしてのスキルも然ることながら、"Under The Sky"  "Never Too Late"  "Into THe Gutter"といったハード・ロッキン・チューンから、"Preachin'"  "Memphis Water"といったブルーズ・オリエンテッドな曲、そして"Always"のような甘いバラードまで、巧みなライヴ・アレンジと構成の妙でバラエティを表現していく手腕には、完全に新人離れしたものを感じた。バラード"Always"から間をあけず"Sometimes Your Love"へ繋ぐスリリングな流れ。"Under The Sky"のイントロダクションのブルージィなアレンジ(コーマックがブルーズ・ハープをプレイ)。ラスト、一際エモーショナルなミディアム・チュン"Be What You Want"から、ジャム・セッションへ繋ぐエンディングのドラマの作り方…そのメリハリある75分間のショウには、バンドの持つ多彩さとスキルがしっかり表現されていた。また、生で触れたThe AnswerはCDを聴いて少々疑問に思った、クラシック・ロックとの類似点を意外な程気にさせなかった。The Answerは間違いなく大きな発展性を秘めたバンドだ。早くも、Fuji Rock参加の為再来日が決まっているそう。  (3/31/2007)
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