Cyndi Lauper at Orchard Hall, Tokyo March,9 2012

From Memphis With Love

From MemphisWith Love
「メンフィスより愛を込めて」
(DVD・2010)
  定時を10分過ぎ、ステージに現れ挨拶するシンディは既に半泣き。何とエモーショナルな人なのだろう。無事行われるのか、中止になるのか。心配、不安が渦巻く状態で行われた来日公演から1年、早くもシンディは戻ってきてくれた。

  シンディの日本への想い、日本人への想い。そのオープニングのシンディの挨拶をはじめとして、曲間にMCで語られる様々なエビソードにも表れていた。心から日本を愛している。シンディの気持はファンに確実に届いたと思う。

  さて、そんな感情に押し流されてしまいがちなライヴでもあったが、今回は昨年とちょっと印象が違った。5列めという、シンディとバンドの表情が はっきり見える好位置で観たのも大きかったかもしれないが、まず感じたのは演奏の素晴らしさ、シンディ、バンドのプロフェッショナリズムだったのだ。昨年も良かったけれど、今年は更に見どころの多いライヴだった。

  演奏が上手い、歌が上手いのは当然のこと、会場全体を巻き込みながら盛り上げるシンディのテクニック。"完璧"というと、時に機械的に構築されたそれを想像するがそうでなく、観客の表情をみながらメリハリをつけて徐々に加速し、何度も山場をつくってゆく。選曲と構成もよく練られていた。昨年が最新作
「Memphis Blues」をフィーチュアした内容だったのに対し、今年はより"ベスト・オブ・シンディ"的なセット・リスト。バンド・メンバーは昨年と同じ5人に、 ハーモニカのチャーリー・マッスルホワイトが加わった編成であったが、バンドの技量の高さは昨年以上に凄みを持って伝わってきた。80年代の一連のヒット曲に、「Brink Ya To The Brink」(2006)、「Memphis Blues」(2010)とい
う全く性格の違う近年のアルバムの楽曲を挟みこみ、ごく自然に流れを生んでゆく。"Set Your Heart" "Lyfe"といったダンサブルな曲が、このバンドにこんなにハマるなんてね!「Memphis Blues」からの選曲が、"Just Your Fool" "Down Don't Bother Me"という特にノリの良い2曲だったのも良かった。

  シンディの歌唱も素晴らしかったことを記しておきたい。序盤"What's Goin' On"で唯一少し発声に苦しそうな表情を見せたシンディであったが、その後はどんどん声に力が増してきて、高音のパートもほぼ完璧に響かせていた。ステージをアグレッシヴに行き来しながら伸びやかな声を聴かせるシンディには、会場から何度も感嘆の声が浴びせかけられていた。

  ラストは、昨年シンディと素晴らしいコラボレーションを見せてくれたToku(※11日の同会場でのライヴでは、シンディのラブコールがあり急遽ゲスト参加したそう)に変わり、チャーリーを迎えた"True Colors" シンディもMCで語る1986年の初来日時の観客の反応が、シンディの心を日本に結びつけたように、この美しい歌は両者の繋がりをより深くしてくれたように感じた。

  曲の半分ちかくの時間を、ファンの間で歌った"Girls Just Wanna Have Fun"を含め、今回も何度も客席まで降りてファンとコミュニケーションをとったシンディ。色々な意味で、これだけファンと近いスターは他にいるだろうか? この愛らしいアーティストは、また私達に笑顔と涙を届けてくれた。
(3/16/2012)
Cyndi Lauper
- Vocal,Dulcimer

Steve Potts
- Drums

Michael Toles
- Guitar

William Wittman
- Bass

Steve Gaboury
- Keyboard

Archie Turner
- Keyboard

Charlie Musselwhite
- Harmonica
Set List:
1 She Bop
2 Set Your Heart
3 When You Were Mine
4 What’s Going On
5 Lyfe
6 Just Your Fool
7 WA SU RE NAIWA
8 Down Don't Bother Me
9 All Through The Night
10 Time After Time
11 I Drove All Night
12 Change Of Heart
13 Money Changes Everything

Encore:
14 Goonies 'R' Good Enough
15 Girls Just Want to Have Fun
16 True Colors
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