Judas Priest at Pacifico Yokohama May, 8 2005

  ライヴ前「是非見たい」という願望を越えて、「意地でも見届けなければ」という殆んど義務感に近い気持ちに襲われたのは初めてかもしれない。しかし何しろ仕事が忙しくチケットは確保したもののスケジュールが全く立たない。来日公演の初日、5月8日の数日前に確実に休みがとれると判ったとき、既に私の中には達成感に近い感慨が渦巻いていた(苦笑)前日も遅くまで仕事で、ライヴ当日は昼まで就寝。あ〜なんかまだ眠い…家を出てしばらくしたところで、パシフイコ横浜がどこにあるのか調べ忘れたことに気付く(!)まあいいや、横浜までいけば後は何とかなるでしょ(笑)

  ステージの両サイドにはあの十字架を模した、気味の悪い独特のオブジェが鈍い光を放っている。私の座席はアリーナ36列め。ステージ向かってほとんど左端に近い席で、会場内の全景を見渡すことはできなかったが、見える範囲の席はほぼ埋まっており、"その時"を待ちわびるファンの異様な熱気が空間を満たしている。大きなPRIESTコールに引き寄せられて、メンバーが姿を現したのは開演時間を10分ほど過ぎた頃だったか。史上に残る最高のオープニング"The Hellion"のイントロで会場のテンションは一気に上昇し、無気力…ステージを無心に見つめていた私は、ステージ後方の巨大な目玉にマイクを両手で抱えたロブを確認すると、まるで身体に電気が走ったように一気に我に返った。「わかっちゃいる」けれどその光景と音を全身で受け止めるその生の感動は映像とは比較にならない。"クリア"とまではいかないものの、端っこの席にしてはロブの声も楽器もはっきり聞こえてきて、シャープ且つソリッドな"Electric Eye"の持つ独特の心地よいサウンドが広がってきた。メンバーの服装まではこの距離では良く確認できないけれど…ロブはいつものようにメタル度100%のこってりしたジャケットを着ている。なんと間奏部ではいきなりロブがワープし、ステージ左方から飛び出すトリック(に見えた。私の席からは)まで披露。サビのコーラス部分でも大合唱が起こる。皆気合入ってますな!"Metal Gods"は実は私がはじめて聴いたJPの曲だったりする(笑)革新的であると同時に風変わりな部分も多く、でも全体的には"ストレートでシンプル"という「British Steel」アルバムの個性をよく表した1曲であり、楽曲のストラクチャーにこそ強力なフックはないものの、そのタイトルとムードだけで世界をつくってしまうのが凄い。ロボットのような動きをみせるロブの動きは、遠くから見ても印象的だった。ここでロブの「ハロー横浜!Priestが戻ってきたぞ。準備はいいか!」というMCが入り、"Riding On The Wind"へ一気呵成に突入。「Screaming For Vengeance」アルバムの収録曲でも1、2を争う好きな曲だが、この曲ではロブのヴォーカルの"崩し方"がちょっとキツく残念だった。「Metalogy」ボーナスDVDの1982年のライヴを見ても、当時のロブでさえ完璧に歌いこなすのが容易ではない難易度の高い曲であることはわかるが…。サビでの高音シャウトはなかなか迫力があって良かった!ティム・リッパー・オーウェンズ在籍時に通じるダークでドライな質感を持ちつつ、初期JPにしか成しえない良い意味で奇妙なフレーズとメロディに満ちている"The Ripper"は、タイムレスな魅力に溢れたJPならではの名曲だろう。滑らかなアルペジのイントロに合わせ、オーディエンスが「ヘイ、ヘイ!」と拳を突き上げる。"A Touch Of Evil"は「Painkiller」の…というより、JPの全楽曲中個人的に最も好きな1曲である。この名曲がセットのこの位置で登場するのだから贅沢だ。荘厳な雰囲気。哀愁を帯びつつ力強いメロディ。グレンの泣きのギター・ソロ!ロブのヴォーカルは伸びやかさこそなく、ところどころ危なっかしさを感じるものの、力強い歌唱で曲の持つダイナミズムを十分に表現している。何かを暗示するような物悲しいイントロのギターのアルペジオに合わせて、「Angel Of Retribution」のジャケットを模したバックドロップが降りてくる。ステージ正面後方からせりあがって来るロヴの足元にはメラメラと燃える白い炎が…(何で出来てるのあれ!?) そしてドカドカドカという激しいツーバス。「Angel〜」の核となる曲であると同時に、現在のJPのテーマソング(=復活宣言)ともいえる"Judas Rising"の登場だ。スコット・トラヴィスのイントロは、CDではあの"Painkiller"の強力なインパクトを超えることは出来なかったが、生で聴くとそのタイトでパワフルな、しかも見栄えのするプレイに惚れ惚れさせられる。この曲ではスコットのバンドにおける貢献度を改めて実感することができた。しかし、当然というべきか新曲におけるロブのヴォーカルは昔の曲でのそれと比較して無理が少なく、自然に聞こえる(高音はやっぱり厳しいんだけども…)。本当はもっと近くでその渋いお姿を拝見したかったのだが、席の都合上、対角線のもっとも遠い位置にいたイアン・ヒルのベース・ソロからはじまるこれも新曲"Revolution"  オフィシャル・サイトで最初聴いたときは「British Steel」の楽曲をティム・リッパー・オーウェンズ時代のサウンドで焼き直したみたい…という印象を受けたが、いやこれは「British Steel」ぽさはないね。単純にティム時代の楽曲にロブのメロディ・センスを加味したような曲だ。へヴィで格調はあるがメロディに少々魅力が足りない…とCDではかなり物足りなく思えたのだが、こうして生で聴いてみるとその体の芯まで届く低音が以外に快感だ。ソロを弾くのはK.K.ダウニング。しかしこの人も若いわ。身のこなしが軽く、遠目にはとても50を過ぎたオジサンには見えない。変わらずゆったりとした動きでステージを徘徊するロブは、歌いながら、左右に置かれた十字架の上に設置された高台に順々に移動し、台の先端にこれまた十字架を模したデザインが施された大きな旗を立てた。その旗にもたれ掛かり前屈みの状態で歌うロブ。しかしあまりに前屈みの状態が長いのは、噂どおりプロンプターを見ているからであろうか? "Hot Rockin'"は「Point Of Entry」が結構お気に入りの私にとってはかなり嬉しい選曲だ。私はこれと"Don't Go"が「Point Of Entry」アルバムの2大フェイバリット・チューンなのだが、ライヴ映えということを考えればやはりこっちだろうね。しかしこの曲はイントロを聴くだけで、無意識にあの強烈なPVを連想してしてしまうのだなあ(笑) しかし"Hot Rockin'"はストレートでキャッチーで良い曲だ。おーいみんな、もっと盛り上がれいっ!(笑) 

ブレイキン・ザ・ホワット!?

"Okay, Break that law right-now!"ちゅうことで、きたきたきたぁ〜と気合も入るが…イントロの恒例の"メンバー数珠繋ぎ"…うぅ、悲しいかな私の席からは団子の塊にしか見えないっ(泣)ああ、これだけは近くから見たかったなぁ。ロブの歌が始まって、メンバーがパアっと四方に散っていくあのフォーメーションがでクールで堪らない。最近改めて「British Steel」アルバムの偉大さを再確認しているが、この"Breaking The Law"などはそのJPのアイデンティティが明確に表現された永遠の名曲といえるだろう。凄くわかりやすいけれど、そんじょそこらのバンドが一生かかっても生み出せない"閃き"と"コク"が詰まっている。"I'm A Rocker"…最近のセットリストを調べていて「なぜこの曲…?」と思ってしまった唯一の曲。正直「Ram It Down」アルバムにあまり思い入れがないというのもあるのだが。これやるなら"Freewheel Burning"…とまで贅沢はいわないけれど"Rock Hard Ride Free"あたりをやってくれても…って、やっぱり贅沢か(笑) しかし、プレイの質は高かったことは特筆せねばなるまい。元々洗練されて完成度の高い、特にロブのパフォーマンスも非常に優れているオリジナルのバージョンに、ライヴならではの奥行きと荒々しさ(特にCDではリズム・マシンぽい無機質なドラム・サウンドがスコットのプレイで聞けるのが大きい)を得て、個人的にはこの日原曲の良さを再確認することができた。こういったミディアム・テンポでじっくり聞かせる曲は、"今"のJPに合っているんだろうね。そしてじっくり聞かすといえば次の"Diamond And Rust"もそうだ。ファンの間ではやはりエレクトリック・バージョンを求める声が強かったようだが、このアコースティック・バージョンは内容的にもセットリストの位置としても悪くなかったと思う。歌唱力というよりロブの"表現力"をみせるこの曲をセットのこの位置に置いたことでライヴの流れに良いメリハリを生んでいた。いかにもJPらしいタイトルの"Deal With The Devil"は「AOR」の中でも特に気に入っている曲だ。この後で登場したHellrider同様、これぞメタルというソリッドなサウンドにツイン・ギターをフィーチュアしたアルバム中特にライヴ映えしそうな曲だが、実際そうだった(笑)私はメロディの魅力という点で"Hellrider"より"Deal With The Devil"を買っている。JPにはバラードをあまり期待していない(すみません)不届き者の私。しかし、生で聴く"Beyond The Realms Of Death"のまるで涙で固めたようなメロディの哀感と、独特の展開が生むダイナミズムには圧倒される他なかった。この「超」英国ロック的な陰な空気で会場を包んだ後、対象的にアッパーでポップでアメリカンな"Turbo Lover"で180度雰囲気を変えることができるのが、JPの引き出しの深さであり、多彩さをみせているともいえる。"Turbo Lover"はCDで何度聞いてもパッとしないのだが、逆にライヴではかなり違った感触を受けるのでは…と特に"意外性"を期待していた曲。そしてその期待は的中した。CDでは薄っぺらなハード・ポップにしか聴こえないこの曲が、ず太いリズムとダイナミックなギター・サウンドを得て、広い空間で熱いダイナミズムを発散していた。コーラスでは観客から自然に合唱が!いや〜"Turbo Lover"はライヴだとクールだね。"Hellrider"は歌メロの魅力に乏しくて、新作の中では個人的に優先順位が低いのだが、グレンとKKによるギター・バトルはCDで聴くより更にエキサイティングで熱かった。初期(特に「British Steel」アルバムあたりまで)のJPにあって、その後JPがどんどんメジャーになって失われたもの…ひとつ挙げるなら、"何だかよく分からないけれど凄い"曲の存在ではないかと思う(笑)  "Victim Of Changes"は70年代のJPにしか成し得ない超異形のロック・チューンであるといえる。摩訶不思議なメロディ、凝りまくった曲展開、そしてぶっ飛んだ歌詞。未だCDで聴く度、その時のシチュエーションで凄いと思えたり、ぱっとしなかったり印象が変わる曲だが、こうしてライヴではじめて聴いて(見て)やはり強烈なインパクトを持った曲だと実感した。「Unleashed In The East」で聴けるようなシャープさには欠けるが、そのタイトで荒々しいプレイにはとても惹きつけられた。中間部、グレンがステージ左右を行き来しながら、たったひとつのフレーズを繰り返して観客を煽るところなど、そこいらの若手ミュージシャンがやろうものなら顰蹙を買うだろう。大技を一切使わずとも、ボディ・スラムとパンチだけで試合を成立させてしまうベテランのプロレスラーにも通じる円熟味あるパフォーマンス。流石です。前の席だったら、グレンの渋い表情が見れてもっと良かったのだろうが…。サビ(といっても、この曲どこが本当のサビだかわからないのだが(笑))と、エンディングでのロブのシャウトはこの日最高とさえいえる凄まじさだった!"Green Manalishi"は私、JPのファンである以前にFleetwood Macのファンであったので、オリジナル・バージョンに思い入れがあり、テンポ以外アレンジを大きく変えたわけではないJPバージョンにはパッとした印象を持っていなかったのだが、最近やっと良く思えるようになってきた。「Unleash〜」バージョンをはじめとするライヴ・音源がやはり好きだけど、生で聴くとやはりずっと良い! イントロの”オ〜オオ〜”はファン皆で大合唱。まさにブリティッシュ・(ハード)ロックがへヴィ・メタルへと進化するその過程…微妙な瞬間をとらえた「Killing Machine」アルバムの特質を最も端的に表したのが実はこのカヴァー曲だといえないだろうか? (もちろんそれ以前に"Exciter"みたいなメタル・チューンもあったが)そして本編最後は…楽しみな反面、ある意味最も”心配”していた"Painkiller"  ロブの「It's, the, pain, killer〜!」というコールを合図に、スコットの嵐のようなドラミングがスタートする。空気を切り裂くようなギター、全霊を傾けたロブのパワフルなシャウト。この距離からは伺えないが、身体を前に傾け俯いたロブは、鬼神のような表情で声を振り絞っているのだろう。グレン、K.K.と続くソロ・パートもやはりエキサイティングだった。"Painkiller"がメロディよりはどちらかというとパワーと勢い、そして展開で聴かせる曲であるのも大きいと思うが、CDで聴くイメージを崩すことないアグレッシヴなパフォーマンスは、会場にこの日最高の熱狂を生み出した。

  アンコール……ファンの声が小さいなあ。でも、観客の平均年齢を考えると本編で力を使い果たしてしまった人が多いのかも…とかいう自分も残業疲れで、本編終盤で既に下半身がふらついてたんだけどね(苦笑: この日助かったのは、ライヴ序盤蒸し暑かったのが、中盤以降空調が改善されてとてもコンディションが良かったことである) しかし、疲れたなんて言っちゃいられない。アンコール以降は、ほとんどファンの歌声だけで演奏を成立させてしまうようなアンセムの連発だ。スモークが巻き上がり、エンジンの轟音が響く中ハーレー・ダビッドソンに乗った超合金ロブが登場! ぐぬぅ、これは間近で見たかった! 悔しい〜。僅か3分足らずの中にJPのアイデンティティをギュッと詰め込んだ、JP"ならでは"の大傑作"Hell Bent For Leather"  本当に大好きな曲だ。ステージ下手から出てきたロブはやはりハーレーにまたがったまま曲を歌い上げたが、ここはもっと動きを見せてほしかった…という後方の席のファンもいたかもしれないね。私としては気にせず楽しめたけれど。エンディングから間髪いれず、これまたファン大合唱のクラシック"Living After Midnight"  改めて、なんとJPは多彩であることか、そして「British Steel」というアルバムはなんと力のあるアルバムであることか。今日「British Steel」からプレイされたのは"Metal Gods"  "Breaking The Law"  そしてこの"Living After Midnight"というタイプの異なる3曲。「British Steel」というアルバム自体、それだけでひとつのライヴが成立してしまうようなバラエティに富んだ作品だが、"Living After Midnight"はその中でも特にキャッチーでシンプルな、普遍性を持つ楽曲といえるだろう。この歌わずにはいられないメロディ。思ったよりロブは歌を観客に預けず、自分でしっかり歌っていた。 いや〜楽しい。アンコールには最適の曲だ! 大盛り上がりで曲が終了すると、ロブは「イエイエイエ〜」「Judas F**kin' Preast Yeah!」等と観客に叫ばせるクラシックな手法で盛り上げ、トドメの"You've Got Another Thing Comin'"に突入する。シンプルなストラクチャーの中に、HM的なアグレッションと分かりやすいメロディをバランス良く盛り込んだ、JPの代表曲中の代表曲といってよいだろう。こんな曲が普通にビルボードの総合チャートに顔を出していた80年代は良い時代だった…。グレン、K.K..、イアンによる図太いギター・リフ、そしてその音圧が身体全体に響いて心地よい。サビは当然大合唱だ! 引き伸ばしたエンディングでもたっぷりファンに歌わせ、「アリガト〜」というロブの言葉とともにメンバーは去っていった。いやはや、勿論肉体的な衰えはあるけれども、それをものともしないエナジーとパワーに満ちたライヴ。本当に、とんでもなく凄いオジサン達だ。引退?まだしてもらっちゃ困るよ!

1.The Hellion 〜 Electric Eye
2.Metal Gods
3.Riding On The Wind
4.The Ripper
5.A Touch Of Evil
6.Judas Rising
7.Revolution
8.Hot Rockin'
9.Breaking The Law
10.I'm A Rocker
11.Diamond & Rust
12.Deal With The Devil
13.Beyond The Realms Of Death
14.Turbo Lover
15.Hellrider
16.Victim Of Changes
17.Green Manalishi
18.Painkiller

** Encore **
19.Hell Bent For Leather
20.Living After Midnight
21.You've Got Another Thing Comin'
Live Review
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