Loud Park 10
at Saitama Super Arena October, 16 2010

  2年ぶりに参戦したラウドパーク。今年は、最初に出た2バンドEngelとHoly Grail、トリのKornは都合でパスしたものの、それ以外のバンドはトイレ休息を除いてほとんどフル・セットで観戦した。Ultimate StageとBig Rock Stage、左右のステージを行き来するのはなかなか手間で、体力もいるのだけれど、体調が良かったこともあって苦にならなかった。私にとって、過去最もお腹いっぱい楽しんだロック・フェスになった。

Chthonic/Mirror Of Retribution

Mirror Of Retribution(2009)

set list
1. Introduction
2. Rise Of The Shadows
3. Bloody Gaya Fulfilled
4. Spell Of Setting Sun
- Mirror Of Retribution
5. 49 Theurgy Chains
6. Painkiller
7. Sing Ling Temple
8. Quasi Putrefaction

 Chthonic
  (12:20〜)

 最初に見たのは台湾のシンフォニック・メタル・バンドChthonic  知らないバンドだったのだが事前にYou Tube等で曲と映像をチェックし最新作「Mirror Of Retribution」を購入。その破壊力とドラマ性を併せ持った音楽性に魅了されていたのでライヴを楽しみにしていた。開演前から巻き起こる「ソニック・コール」にファンの期待度の大きさが表れていたが、バンドもその期待に違わぬ完成度の高いパフォーマンスを披露。細い身体から切り裂くような咆哮を浴びせるフロントマン・フレディのヴォーカルと、重さよりはシャープさが強調されたギター、ドラムスこそオーセンティックだが、そこにハッとさせる劇的な展開、叙情メロを加味し、更に二胡というオリエンタリズム溢れる楽器もアクセントにしたアイデンティティをしっかり発揮したショウだった。最新作からの"49 Theurgy Chains"のフレディのニ胡プレイでは思わず震えがきたほどだ。クールさとチャーミングさ(笑顔が可愛い)を兼ね備えたべースのドリス嬢は、生で見ると一層魅力的。メンバー全員テクニシャンながら、唯一Judas Priestのカヴァーではツメの甘さを見せてしまったが(特にドラムスを聴いて、スコット・トラヴィスの凄さを再認識…)全体からみればさしたるマイナスではなかった。将来ラウドパークでトリをとってもおかしくないスケールの大きさを備えたバンドだと思う。

Set List
1. Twilight Of The Thunder
2. Runes To My Memory
3. Guardians Of The Asgaard
4. Varyags Of Miklagaard
5. Asator
6. Death In Fire
7. Cry Of The Blackbirds
8. Live For The Kill
9. Pursuit Of The Vikings
 
 Amon Amarth
  (13:55〜)
 
  全く曲を知らないスウェーデンのメロディック・デス・メタルAmon Amarthを最初ステージ後方から、その後逆側のBig Rock Stage前方に移動して観戦。その安定感のあるプレイとキレの良いサウンドもあって、安心して楽しめた。特に気に入ったのが中間部に美しいストリングス・パートが挟まる"Live For The Kill" 調べたら、CDではこの曲はApocalypticaをフィーチュアしていたんだね!

set list
1. Dead Or Rock
2. Speedhoven
3. Lavatory Love Machine
4. Mysteria
5. Vain Glory Opera
6. Superheroes
7. King Of Fools
 Edguy
  (13:55〜)

  続いてこれも知識不足のジャーマン・メロディック・メタルEdguyを観戦。オープニングのイントロダクションとともに颯爽とステージに飛び出したフロントマンのトビアス・サメット(リード・ヴォーカル)に目と耳は一瞬にして吸い寄せられ、後はバンドの安定感十分の演奏に最後までリラックスして身を委ねていた。耳に残るフックを備えた楽曲の完成度も然ることながら、その曲調のバラエティとショウの構成、トビアスの観客の盛り上げ方も巧みで、短い時間の中にバンドの魅力が凝縮されていたと思う。今度CDをきちんと聴いてみたい。

Dir En Grey/Uroboros

Uroboros(2009)

set list
SE: Sa Bir
1. Obscure
2. Agitated Screams Of Maggots
3. 残
4. 激しさと、この胸の中で
絡み付いた灼熱の闇
5. Dozing Green
6. 触紅
7. Vinushka
8. 冷血なりせば
9. 羅刹国
 Dir En Grey
  (14:45〜)

  これまで聴いたアルバムは最新スタジオ作「Uroboros」のみ。楽しめるか少々心配だったが、その強烈なパフォーマンスにショウが進むほど入り込み、不思議な高揚感を味わった。序盤、音響のトラブルか何かか(因みに私はアリーナの後ろのブロックで見ていた)全体の音がフラットで、楽曲のダイナミズムが伝わってこなかったのだがそれはほどなくして改善。一曲の中に様々な展開、表情が詰め込まれたDir En Greyならではのドラマを堪能させてくれた。メンバー全員個性派、テクニシャン揃いだが、中でもヴォーカル・京の全身全霊の熱唱は圧巻。唖然としながら凝視してしまった。次回ライヴを観る時までには他の作品もちゃんとチェックしておこうと思った。

Hellyeah/Stampede

Stampede(2010)

set list
1. Goddamn
2. Cowboy Way
3. Matter Of Time
4. Hell Of A Time
5. Debt That All Men Pay
6. You Wouldn't Know
7. Stampede
8. Alcohaulin' Ass
  Hellyeah
  (15:35〜)

  最前列近くに張り付いていたら、オープニングの"Goddamn"の凄まじい轟音に吹き飛ばされそうになった。ギター、べース、ドラムスが地鳴りのように響き、チャド・グレイの張り裂けんばかりの咆哮が突き刺さる。しかし、冷静にステージの様子を眺めるとメンバーの佇まいは以外に地味だ。自分の目の前にいるトム・マックスウェル(ギター)など、あまり動かずにニコニコしながらプレイしていて、気のいいおじさんといった感じ。エネルギッシュに動き回り観客を煽るチャドが完全にバンドのチア・リーダーだ。途中で耳が限界を感じ後ろに下ったが、へヴィ・メタルを基調にしながらサザン・ロックの武骨な土着的サウンドも併せ持つスーパー・バンドのライヴは大いに楽しめた。全体的にセットにメリハリがやや不足していた感はあるが、これはある程度予測できたこと。CDを聴く限りでは昔より地味になったかな?と感じたヴィニー・ポールのパワー・ドラミングが流石の存在感を発揮していたのも嬉しかった。



Infestation(2010)

set list
1. The Morning After
2. I'm Insane
3. Way Cool Jr.
4. Back For More
5. Wanted Man
6. Nobody Rides For Free
7. You're In Love
8. Lay It Down
9. Lack Of Communication
10. Best Of Me
11. Eat Me Up Alive
12. Round And Round
  Ratt
  (16:30〜)

  ステージから3列めの位置でRattの出番を待った。この日改めて感じたのが、ライヴのオープニングの大切さだ。"The Morning After" "I'm Insane"と疾走系の曲を最初に持ってきたのは悪くなかっと思うが、前に出演したEdguyのトビアス・サメットがほんの数十秒で観客の心を掴んだのとは対照的に、冴えない表情でのっそりステージに登場したスティーヴン・パーシー(vo)の姿は、私のテンションを大いに下げた。その覇気のない姿はどうあれ、歌さえ良ければ…と思ったが肝心のヴォーカルも声量も張りもなく、曲本来の持つメロディを全くフォローできていない。ボビー・ブロッツアーの不安定なドラミングもそれに輪をかけ、バンドとしての一体感、整合感は最後まで感じられなかった。ラスト"Round And Round"でのウォーレン・デ・マルティーニとカルロス・カヴァーゾのツイン・リードのソロにやっとRattたる美点を見たがそれも後の祭り。最新作「Infestation」が大いに気に入り期待度が高かっただけに落胆は大きかった。

Accept/Blood Of The Nations

Blood Of The Nations(2010)

set list
1. Starlight
2. Living For Tonite
3. Breaker
4. Teutonic Terror
5. Pandemic
6. Restless & Wild
7. Princess
8. Metal Heart
9. Up To The Limit
10. Fast As A Shark
11. Balls To The Wall
  Accept
  (17:30〜)

  一番楽しみにしていたバンドがやってくれた!卓越したプレイ、音、そして選曲。初期の傑作「Breaker」収録のスピード・メタル"Starlight"で一気に加速し、会場全体をコーラスで団結させるアンセム"Balls To The Walls"で締める無敵の構成。新ヴォーカリストのマークの声は、予想したほどの金属的な鋭い響きがないのが意外だったが、シャウトするパートから歌いあげるパートまで「Blood Of The Nations」で聴くのと同様の多彩さを披露。また、決して派手なアクションで観客を煽ることもないのだが、前に出るところは出て、引くべきところは引くメリハリの効いたステージングでヴェテランならではの味を見せつける。楽器隊に関しても何もいうことはない。演奏が上手いのは当たり前。良い曲をどう聴かせ、魅せるか。エンターテインメントの極意を熟知した彼らは真のプロフェッショナルといえるだろう。"Fast As A Shark"でモッシュに吹き飛ばされるまではステージから3、4列めに居たので、メンバー全員笑顔で楽しんでプレイしている様子がよく分かった。そのメンバーの雰囲気が観客にも伝わり、最後までポジティヴな空気とテンションが充満した、これぞへヴィ・メタルという至福の時間だった。

 

Stone Sour/Audio Secrecy

Audio Secrecy(2010)

set list
1. Audio Secrecy
2.Mission Statement
3. Reborn
4. Made Of Scars
5. Say You'll Haunt Me
6. Get Inside
7. Unfinished
8. Your God
9. Bother
10. Through Glass
11. Digital
12. Hell & Consequences
13. 30/30 - 150
  Stone Sour
  (18:30〜)

  演奏よりも、まずコリィ・ティラーの人間性が観客の心を掴んだ…と、言ってしまうほどコリィの"いい人ぶり"が全編に溢れたライヴだったと思う。私は、アリーナ前方ブロックに行きたかったのだが場所がとれず、後方ブロックでゆったりして見ていたのだが、コリィの感情の機微が遠くからでも伝わってきた。こんな温かみのあるライヴになるとは。曲毎にファンとコンタクトをとりコミュニケーションするコリィに、もっとテンポ重視でも良いのではとも感じたが、本人がMCで語っていたように喉の調子があまり良くなかったらしく、この間はコンディションを整える意味もあったのかもしれない。しかし、プレイはそんな喉の不調を感じさせない充実したものであった。過去2作より洗練され、楽曲のバラエティも増した最新作「Audio Secrecy」をフィーチュアしたセットは、高いテクニックを備えたメンバーにより整合感のある音で披露され、文句なしに楽しめた。敢えていうと「Audio Secrecy」収録のバラード"Hesitate"も聴きたかったが、一時間強の持ち時間の中で、定番化した"Bother"〜"Through Glass"以外にスロー・チューンを組み込むのは厳しいか。単独での再来日に期待!
  

halford/Made Of Metal

Made Of Metal(2010)

set list
1. Resurrection
2. Made In Hell
3. Locked And Loaded
4. Drop Out
5. Made Of Metal
6. Undisputed
7. Nailed To The Gun
8. Golgotha
9. Fire And Ice
10. Green Manalishi
11. Diamnonds And Rust
12. Jawbreaker
13. Cyber World
14. Like There's No Tomorrow
15. Thunder And Lightning
  Halford
  (19:40〜)

  都合でトリのKornをパスした為、メタル・ゴッドが今日の私の締めくくり。最初はメンバーの表情が見えるステージ傍で見ていたが、後半はアリーナ後方に移動して観戦。心配していたロブ・ハルフォードのコンディションは悪くなかったと思う。特に最新作の曲になると歌詞を確認するためプロンプターに張り付き、前屈みになって動きが止まってしまうのはJudas Priestのライヴでも馴染みの光景だが、ヴォーカルに関しては少なくとも私が前回観た2008年のPriestの来日公演よりは明らかに声に張りが感じられた。相当な瞬発力と体力を要求されると思われる「Resurrection」アルバムの頭の3曲をオープニングに持ってきたのはインパクトがあったが、中盤の選曲は個人的にはかなりテンションが落ちた。終盤の"Jawbreaker"  "Cyber World"でかなり持ち直したものの、その前のカヴァー曲2連発がやはり面白みが感じられず、中盤で消耗したエネルギーを結局最後まで回復できなかったのが正直なところだ。あと、残念だったのが「Made Of Metal」の日本版CD発売日がライヴ前日で、新曲をしっかり予習できていなかったこと。アルバムを聴きこんでライヴに挑んだら、かなり印象が変わっていただろう。一聴した限りではサウンドのライトさとポップさに違和感を感じざるを得なかった「Made Of Metal」であるが、この日ラストに並べられた"Like There's No Tomorrow"  "Thunder And Lightning"のように聴くほどに味の出るメロディアス且つドラマティックな秀作が収められていたのだ。現在進行形のロブの自信が表れたセット・リストだったと思うが、それを現場で味わうことができなかったのが残念だ。ロブを支えるバンド・メンバーは、皆優れたテクニックの持ち主であったが、あまりパンチと個性が感じられず"上手い"以上の感想が出てこなかった。特にロイ・Z(ギター)の地味さには驚いた…。結局、ショウの大半は年を重ねてますます"いい味"出しまくりの佇まいのロブを目で追っていたのであった。
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