Muse
at Chiba Marine Stadium〜Summer Sonic Aug, 13 2006

Muse/Showbiz

Showbiz(1999)
  "過剰"と"大袈裟"とは似て非なる言葉。秘めたるエネルギーと感情を、恐ろしいまでのダイナミズムを持って放出したトリオのサウンドは、巨大なスタジアムをものの数十秒で別世界に変えた。ステージ上手にマシュー(マット)・ベラミー(ヴォーカル、ギター、キーボード) 下手にクリス・ウォルステンホルム(べース)  そして、Rブロックの10列めくらいに場所をとった私のからはちょっと見辛い位置〜対角線上にドミニク(ドム)・ハワードが小さく確認できる。「コンバンハ、トキオー! 」以外にあっさり始まったライヴは最新作「Black Holes & Revelations」より"Map Of Problematic"で幕を開けた。壮大なサウンドの中に、歌詞の持つ"不安"の色も見え隠れするこれぞMuseという個性を持った曲である。音のエッジとダイナミズムという点では過去のアルバムにやや劣る感のある新作だが、このドラマティック且つ即効性のあるリフを持つ曲を最初に持ってきたことで、恐らく新作にまだあまり馴染んでいないファンも一気にテンションが上がったことだろう。まだ明るさが少しだけ残る夕暮れのスタジアムに大きな波が起こる。しかし、今更ながらMuseは上手い!演奏面も。ステージングも。マシューのギター・プレイはテクニカルでありながら要所でお遊びもしっかり盛り込んだ多彩なもので、そのエンターテインメント性に満ちたステージングは最後まで一瞬たりとも飽きさせることはなかった。良くあれだけ複雑なフレーズを弾きこなしながら、これだけエモーショナルな歌を歌えるものだ。そして、その音色の多彩さではクリスも負けてはいない。まるで何かを暗示するような不気味なベース音は"Hysteria"のイントロだ。時にまるでリード・ギターのごとく派手なサウンドで曲をリードするベース・ランがMuseサウンドの核になっているのが良くわかる曲だが、ライブだとそのベースの存在感の大きさを一層感じる。Museにおけるそれは単なるリズム楽器という概念を全く超越しているといって良いだろう。3曲めは新作からアルバム・タイトル曲。曲調、メロディ、アレンジと、新たなMuseのスタイルを提示したミドル・テンポの曲。まるでプリンスを思わせる艶やかなマシューのハイ・トーン・ボイス。そしてクリスのコーラスも、鮮烈に響いてきた。Museのサウンドというと、ドラマティックさとゴージャスさがトレードマークになっているが、こういった隙間だらけの音を持ったロック・チューンをタイトに聴かせるのを見るとバンドの持つポテンシャルに改めて驚かされる。一転してアップテンポのキャッチーなハード・ロック"Bliss"  Museにしてはかなり分かりやすい部類の曲だが、マシューのあのエモーショナルな声が入るだけで一種独特の世界を生み出す。バックグラウンドのキーボードは打ち込みだろうか?  再び新作より"Starlight"  "Starlight"もMuseの曲の中では比較的シンプルな構成の部類に入る曲だろう。"Starlight"の魅力はそのメロディに尽きる。この叙情メロの扇情力は凄いものがあり、個人的に今日のライヴで最も期待していた曲の1曲だった、のだが…あら〜。イントロで、リズムに合わせマシューが観客に手拍子を要求。こういった"楽しい"盛り上げ方しちゃうんだ。しかし、やはり素晴らしいこのメロディ。サビでは自然に目から涙が…。オリエンタルなギターのアルペジオから、ジェフ・バックリーを髣髴とさせるマシューの静かな歌いだし。Museの最高傑作の1曲といってよいであろう"Butterflies & Hurricanes"だ。ふと眼前に広がる大スクリーンに目をやると、穏やかな表情で切ないメロディを歌うマシューの姿がアップに。ステージに静かに吹きつける海風。静かに揺れるマシューの髪とシャツ…思わずぞくっとするようなシーンだった。ブリッジでは各インストゥルメンツが爆発!  マシュー、ドム、クリスの技量が最大限に発揮されたこの日最大のテンションが生まれた。圧倒的なダイナミズム。そしてドラマ性。寸分の狂いもない各インストゥルメンツのコンビネーションに、パワフルなマシューのヴォーカル(特にクライマックスの絶唱は圧巻!)。中盤でマシューのピアノ・ソロ・パートを配した完璧なまでの構成美。凄すぎる。"Butterflies And Hurricanes"のアウトロは、そのままマシューの奏でる穏やかなスライド・ギターが哀愁を誘う"Invincible"のイントロへと繋がる。これもMuseの持つ叙情性がよく表れたメロディアスな名曲だ。この美麗極まりない曲に、さらりと風変わりなタッピング・ソロを組みこむマシューにはやはり並じゃないセンスが備わっているのだと思わざるを得ない。身体に染み渡った叙情メロディの余韻が消えぬうちに、再び鮮やかなピアノのイントロが折り重なり…。これも劇的な展開をみせる"New Born"では、緊張感あふれるプレイで波状攻撃をかける3人にまるで吸い寄せられるように見とれてしまった。息つく暇もなく、更に…いやMuse史上最もアグレッシヴな"Stockholm Syndrome"へ。ひゃ〜なんとエキサイティングな流れ!  アグレッシブにコードをかき鳴らしながら、ハイ・テンションのヴォーカルを聞かせるマシュー。身体を大きく揺らしながら凄まじいフィンガー・ピッキングを披露するクリス。その細い身体から想像できないくらいのパワフルなドラミングで曲の土台を支えるドム。メンバー皆まるで鬼神のようである。"Stockholm Syndrome"が終わると、そのままクリスの短いべース・ソロへと移行し…この胸が締め付けられるようなメロディは……名曲"Time Is Running Out"だ。  「Absolution Tour DVD」で見る度鳥肌が立つあのハイライト…まるで目の前がパッと明るくなるような広がりを感じるコーラス・パートでは大観衆が一斉にジャンプ。壮観な光景が既に暗くなったスタジアムに浮かんだ。ライヴはいよいよ終盤へ。"Plug In Baby"のヒステリックな、そして天才的な閃きに満ちたギター・リフ。全くもって凄い曲だ!作曲能力、演奏能力、歌唱力。全ての要素がハイ・レベルで融合したことで生まれるMuseならではのドラマが深い感動と興奮を呼ぶ。既に闇に包まれたスタジアムで、華やかなライティングも大きな演出効果をあげていた。ラストは、Museというバンドが持つプログレッシブなセンスと、ジャンルを超越した音楽性を露わにした"Knights Of Cydonia"(「Black Holes & Revelations」収録)  ウエスタン調のちょっと60年代的な風変わりなマイナー・キーのイントロから、メロウな歌がかぶさり、楽器群がパワフルに疾走(といってもテンポが速いわけではない)。マシューとクリスのコーラス・ハーモニーがまるで別れの合図のように哀感をもって響く。「壮大」という言葉が相応しいこの曲はMuseの持つ無限の可能性を示し、鮮やかにショウを締めくくった。あぁ、あっという間に終わってしまった…。何という濃密な音。何という心地よい空間。ふと気付くと、固まって、最後の一音が完全に消えるまでステージをぼうっと見つめている自分がいた。

  こんな夢なら何度でも見たい!  (8/28/2006)

Muse/Origin Of Symmetry

Origin Of Symmetry(2001)
Muse/Absolution

Absolution(2003)
Muse/Black Holes & Revelations

Black Holes & Revelations
(2006)
Set List

1.Map Of The Problematique
2.Hysteria
3.Supermassive Black Hole
4.Bliss
5.Starlight
6.Butterflies & Hurricanes
7.Invincible
8.New Born
9.Stockholm Syndrome
10.Time Is Running Out
11.Plug In Baby
12.Knights Of Cydonia
Live Review
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