Rick Springfield at Nihon Seinen-Kan Dec,14 2005

  先ずは、この場を借りて2年前にレビューした「Shock/Denial/Anger/Acceptance」アルバムの評価を訂正して★★★★☆にさせていただこう。確かにライヴの衝撃がが未だギンギンに残っているというのもあるんだけど(笑)、改めてリピートしてみると、いやとんでもなくパワフルで、しかもメリハリも効いていて素晴らしい内容なんですわ。さて、その「S/D/A/A」に続いてリリースされた最新アルバム「The Day After Yesterday」を引っさげてのリック12年ぶりの来日公演。「The Day After Yesterday」が「S/D/A/A」の対極をいくようなかなりレイドバックしたカヴァー企画アルバムだったので(リックの実際のライヴを知らない)私はかなり不安だったのだが、それは全くの杞憂に終わった。最初に言っておこう。生のリックは凄かった。素晴らしいエンターテインメントだった。当日は夕方まで仕事をこなしていた上、会場がはじめて行く日本青年館だった為道に迷い(またやっちゃいました(苦笑))、席に着いたのは開演10分前。私の席は会場中程よりやや後ろの右端。あれ、最後尾じゃないのに何かスースーするな…と後ろを見ると会場左後方の席はガラガラ!  追加公演だし仕方ないか…あと、どうでもいいけどハコの大きさの割にはやたらセキュリティ(スタッフ)の数が多いな…初日を見たHINEさんの情報では、"携帯で写真取りまくれる"状態になるらしいから、それを警戒しているのかな、等と考えていると照明が落ち、重々しい音のSEが流れてきた。が、ファンの年齢層の高いのは分かるがあまりに静かで反応が鈍い。ほとんど講演会会場のような雰囲気だが、構わずバンド・メンバ−はステージに登場した。おっ、やっと前方の席のファンが立ち上がったぞ!  そして黒いギターを抱えたリックが姿を現した。背が高いうえ、体格が良いので遠くからみても非常にステージ映えするのがわかる。え、もしかしてピンクのシャツの上に羽織っているのは学ランじゃ!?(驚)……このギター・リフは!?  「S/D/A/A」収録の"I'll  Make You Happy"だ!!  リックの低音の魅力を活かしたパワフルなヴォーカルといい、アグレッシヴなサウンドといい、とんでもなくカッコ良い! 本当に50過ぎてるのかリックは!?  私は1曲めにして、この敢えて新しめの曲で勝負に出たオープニングで、今日のライヴが素晴らしいものになることを確信した。"I'll Make You Happy"に続き、間髪入れず「Success hasn't Spoiled Me Yet」(1982)収録の"Kristina"へ。記憶が確かなら、リックは2曲めで既に学ランを脱いでTシャツ一枚になってたかな?  リックは最初からこんなに飛ばして大丈夫?と心配になるくらいステージを縦横無尽に歩き回り、ファンを煽る。コーラス・パートでは早くもバラの花束をピック代わりにして、花びらを撒き散らした!  腕をぐるぐると大きく回すポーズが、あの写真と映像で見たのと全く同じ!(当たり前だけど(笑))  続く、これも80年代の代表曲"Alyson"は「Rick Springfield Anthology」でリック本人が「私が大好きな曲で、ライヴでは凄く盛り上がる」とコメントを寄せている通り、非常にライヴ映えする曲で、そのキャッチーなメロディは一緒に歌わずにいられない。客席席は、開演前の静けさがまるで嘘のような大盛り上がりに包まれている。ギター・ソロはステージ下手のジョージが弾いたが、その美しいトーンとフレーズは非常に印象的で、ライヴが終わってもしばらく頭の中で思い返すほどだった。続いてキーボードの印象的なイントロが…"Affair Of The Heart"あっ、そうかこのバンドにはキーボーディストもいたんだ、と恥ずかしながらこの次点で気がつく(汗)  私の席からは、ステージ上手奥のデレク(キーボーディスト)の姿は、陰になって全く見えないのでした…。これも大ヒット曲だからして、当然大盛り上がりなのだが、その熱が冷めないうちにこれも代表曲中の代表曲"I've Done Everything For You"を畳み掛けるのだから凄まじい。サビは勿論大合唱!  エンディングではリックがギターをステージに思い切り叩きつけて破壊!  改めてホントに56才なのかこの人は!?  年齢の割りに若い、とかいうレベルじゃなく、ひとりのアーティストとしてみてとんでもなくパワフルでアグレッシヴだ。凄すぎる。続く、リックお得意のレゲエのリズムを配した曲は「Rock Of Life」(1988)の表題曲である。トップ40入りしたヒット曲ではあるが、正直「Rock Of Life」からやるなら他にもっとやって欲しい曲があるのだけど、という気持ちが一瞬過ぎったのだが…これが良い!  実は非常にライヴ映えする曲だったのだね、"Rock Of Life"は。今回リックが引き連れる4人のバンド・メンバーは、派手さは皆無ながらタイトなプレイを聞かせるテクニシャン揃いで、特にこの曲ではドラムスのロジャーのへヴィなサウンドが全体をビシッと引き締めていたように思う。個人的にスネアは固めの音が好みなので、贔屓も少し入ってしまうのだが。リム・ショットもほどほどに重く硬い音で、心地よい振動が身体に響いてきた。コーラスでのファンの"Hey! Ho!!"の掛け声もバッチリ決まった!  曲が終わった後、今日はじめてまともなMCがリックから入り、挨拶した後後方からおもむろにデジカメを取り出したリックは「Cheese!」と観客席を写し和ませる。続いて、ストラト(確か)を肩にかけたリックは思わず「あなたメタラーですか!?」といいたくなるようなフラッシーな早弾きフレーズを含む短いギター・ソロ・タイムを挟んだ後、ブルースに突入する。ひょえ〜"Red House"ではないですか! まさかこんな曲が聴けるとは。カッコいい…。リックの渋い歌声と素晴らしいギター・ワークは、この人はきっとお爺ちゃんになってもブルースマンとしてファンを感動させているだろう…と想像させるに十分だった。しかし今日は会場の音響も非常に良いなあ。これだけ音響面でストレスなしに演奏を楽しむのも久しぶりかも。(右よりの席ということもあって?)べースの音像はややシャープさが足りない気がしないでもないが、それもさして気に障るほどでもなく、各楽器とリックのヴォーカルのサウンドの大きさ、バランス、分離状態と申し分ない。"Red House"でのギター・サウンドも実に心地よかった!ライヴ中盤で良いアクセントになった"Red House"が終わると再び代表曲中の代表曲が登場。"Don't Talk To Strangers"  リックの名前を知らなくても、ある程度の年齢以上の人なら一度はどこかで聴いた事があるであろうリックの大ヒット曲の1曲だ。この曲のミドル・パートで楽器隊は演奏を演奏を一旦ストップ。リックは客席に降り、左側前方の男性(後で聞くと、警備の方だったらしい)と、左側前方の女性にそれぞれサビを歌わせた。ああ、シャイな日本人相手にこの古典的な盛り上げ方は…と、折角高まった会場の熱が冷めてしまうのではないかと一瞬心配になったが、流石は百戦錬磨のリック。その親しみやすいキャラクターと巧みなトーク、表情豊かなアクションで会場全体の視線を引きつけて決して離さないのであった。客席に戻り、再びフル・バンドで"Don't Talk To Strangers"のエンディングをキメた後、アコギを抱えたリックは"Speak To The Sky"のワン・コーラスを日本語で歌って(1972年、東京音楽祭出演の為来日した際披露した曲)歓声を浴びた後、客席前方のひとりの女性を指差し曲名を叫び、「S/D/A/A」収録の"Beautiful You"をスタートさせる。アルバム中特にメロディの煽情さが目立つ良い曲と思ってはいたが、生で聴いてあらためて曲の持つ美しさとポテンシャルに酔った。個人的にはこの日のハイライトのひとつだったな。続いては同じくアコースティカルに最新作からThe Dream Academyの代名詞的名曲"Life In A Nothern Town"  これは個人的には意外な選曲だった。リックのイメージから遠い、「The Day After Yesterday」の収録曲の中で最も演る可能性の低い曲と踏んでいたので。しかし、リックの抑え目のソフトなヴォーカルは、テンションが総じて高めの今日のショウの中で良いアクセントを生んでいた。この曲の肝であるサビのコーラス・ワークも、バンド・メンバーの卓越した技量で充分ドラマティックに再現できていた。一転して、80年代のヒット曲/代表曲を矢継ぎ早に繰り出すメドレーでアクセルを噴かすリック。"Bop 'Til You Drop"からはじまり  "Cerebrate Youth"  "Calling All Girls"  "Don't Walk Away"……個人的フェイバリットである"State Of The Heart"だけはできればフルで演奏して欲しかったのだが。聞けただけでもよしとしないとだめか(涙)  "What Kind Of Fool Am I?"  "Bop 'Til You Drop"  "Love Somebody"はリックの歌い回しが少々ラフで、"崩しすぎ"という感があった。しかし、これは後で知ったのだがリックは来日前に風邪をひき、この日もとても本調子といえる体調でなかったというではないか。 この曲でのパフォーマンスのように、オリジナルのメロディの再現という点で物足りなさを覚える部分もあったが、全体としてみれば、体調不良を微塵も感じさせないエナジー溢れるパフォーマンスで、中だるみもほとんど感じさせなかった。"Love Somebody"が終わると、リックは赤いグレッチ(?)のギターを持ち、ヘッド・セット・マイクを装着。いよいよか…という期待感が膨らむ。というのもリックはショウの後半はほとんど"観客席の中"で演奏すると聞いていたからだ。まるでゴシック・メタルのような荘厳なキーボードのイントロダクションを合図に、客席に飛び込んだリックは、フロア中央の通路まで歩を進め、リックの長いキャリアの中でも最高傑作の1曲に数えられるであろう"Jesus Saves"をパワフルに歌い上げる。このシリアスな、メッセージ性の強い曲の世界を、見振り手振りを交えながらドラマティックに表現するリックはまるで"ロック教教祖"といった趣。休む暇はないぜ、とばかりに間を空けずにロック・クラシック"You Really Got Me"をスタートしたリックは、「携帯、ケータイ!」と日本語で叫び、目の前のファンの携帯電話を奪い客席の写真をパチリ!(笑)  昨日のライヴを事前に聞いていた人が多かったのであろう、実はライヴ序盤からカメラをパチパチしているファンは大勢いたのだが、ここでついに会場中がフラッシュで一杯に!  映像を撮っているファンも多いこと!  なんてライヴだ。こんな自由なライヴはじめてだよ。私も携帯で写真トライしたんだけど、残念ながらリックは私と逆側、ステージ向かって左側にずっと位置をとっていたので上手く写す事が出来なかった。残念! 続いては「Living In Oz」(1983)のオープニングを飾った"Human Touch"   "Jesus Saves"から"Human Touch"までの間に、確かリックはなんと2度も、会場最後方のコンソール位置まで足を運び、ファンを煽った。最前列から最後方まで、止まぬ波が押し寄せてくる。凄いねリックは。会場全体を手中に収めてるよ!  "Human Touch"のキーボードを多用したアレンジはいかにも"あの頃"の空気を発散するが、そのテクノロジーに依存し取り込まれる人間(ミュージシャン)への危機感を表したテーマは、何十年経とうとタイムレスな重みを持って迫ってくる。コーラスの"We all need the human touch!"は当然会場中大合唱!  この"Human Touch"という言葉に今日のライヴ…いや、リック・スプリングフィールドというアーティストのテーマが集約されているのではないか、と思ったのは私だけかな。ここでやっとリックはステージに戻り、本編最後は永遠のマスター・ピース"Jessie's Girl"  ストーリーを語りかけるように抑え目に歌うヴァース部分に、目の前がパッと明るく開けるようなキャッチー極まりないコーラス。この完璧なポップ・クラシックをエネルギッシュにエモーショナルに歌い上げたリックはファンにお礼を言ってステージを去る。アンコールは…そうだ、まだこの曲が残っていた!  出世作「Working Class Dog」のオープニングを飾っていたエネルギッシュなロック・チュー ン"Love Is Alright Tonight"  ギターを始めたその日にもすぐ弾けそうなシンプルなギター・リフに、歌わずにはいられないキャッチー度100%のメロディ・ライン。これがリック・スプリングフィールドだ!という魅力を最後にこれでもかと観客にぶつけ、丁度1時間半のライヴは幕を閉じた。"Souls"が聴けなかったとか、「Karma」(1998)の曲を演らなかったとか選曲面での物足りなさが全くなかったといったら嘘になるし、"Love Somebody"他でのリックのパフォーマンスのラフさもケチをつけようと思えばいくらでもつけられると思うが、ライヴが終わったとき私の心は爽快感に満ちていた。これだけ親しみやすい名曲ばかりが連続し、且つショウ全体にメリハリがあり、アーティストと観客が一体化したライヴは初めてだったからだ。そして、リックが気力も体力も充実しており、スターとしてのオーラも全く失っていないことが何より嬉しかった。リック・スプリングフィールドの持つ炎は当分燃え尽きることはなさそうだ。  (12/23/2005)
Set List
1.I'll  Make You Happy
2.Kristina
3.Alyson
4.Affair Of The Heart
5.I've Done Everything For You
6.Rock Of Life
7.Red House(Jimi Hendrix)
8.Don't Talk To Strangers
9.Speak To The Sky(snip)
10.Beautiful You
11.Life In A Nothern Town(The Dream Academy)
12.Medley
Bop 'Til You Drop
〜Cerebrate Youth
〜Calling All Girls
〜Don't Walk Away
〜State Of The Heart
〜What Kind Of Fool Am I?
〜Bop 'Til You Drop
13.Love Somebody
14.Jesus Saves
15.You Really Got Me(The Kinks)
16.Human Touch
17.Jessie's Girl
Encore
18.Love Is Alright Tonight

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