Summer Sonic 2004 「半日一周」強行軍レポート | |
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<The All-American Rejects set list> 1 Happy Endings 2 My Paper Heart 3 Time Stands Still 4 Eyelash Wishes 5 Your Star 6 Swing, Swing 7 The Last Song |
Part.1 -- The All-American Rejects うくぐ…どうしても片付けなくてはいけない仕事があって、朝それを仕上げていたら家を出るのが遅れてしまった! JR海浜幕張駅に着いたのがマリンステージのオープニングAll American Rejectsが始まる15分前--10時45分。間に合わんだろなーと思いつつスタジアムまでダッシュ。リストバンド交換所に並んでほどなくすると、スタジアムの外に轟音が響いてきた!あいたたた、始まっちゃったよー。オレンジ色のバンドを巻いてもらったら再び自分のトシを忘れて(苦笑)スタジアムの中までダッシュ! う〜やっとメロディの輪郭が確認できた。これは"Time Stand Still"かな? アリーナは7割方埋まっているようだ。今年は去年と反対側。Lブロックに入り、ステージから30メートルくらいの場所に位置を確保すると、あの印象的なキーボードのフレーズが聞こえてきた。AARの代表曲であり大ヒット曲である"Swing, Swing"だ。良かったあ。この曲が聴けて。いやしかし、音を聴いて数十秒でわかったが、このバンド生で聴くとCDを聴いて感じる線の細さは全くなくて、タイトでサウンドは凄く力強い。タイソン・リッターはまだハタチの青年らしい初々しさを残していたものの、ニック・ウィーラーはルックスも立ち振る舞いももはや風格さえ感じる(といっても彼もまだ22才だ!)ほど。"Swing, Swing, Swing"と会場が一体になって合唱し、タイソンの「Bury Me!」という叫びが潮の香りのする広い空間に響く。「最後の曲はそれ用に(ライヴで最後に演奏するよう)故意に書いた曲」とタイソンのMC。あ〜もう終わりかあ。勿論締めは"The Last Song"この親しみやすいポップ・センス。覚えやすいメロディ・ライン。ソリッドなギター・サウンド。そして予期しなかったダイナミズム。メタル・ファンや80年代の音楽を未だ追い求めている人ももっと注目してもいいんじゃない? たった3曲でしたが、単独公演があったら是非みたいと思わせるに十分の密度の濃い音とパフォーマンスだった。 Part.2 -- Dirty Americans AARを見終えるとDirty Americansを観る為に幕張メッセへ徒歩で移動。サマソニは2回目だが、去年はずっとマリンスタジアムにいたので屋内ステージはこれが初めて。先ずはハイネケン(500円)を一気飲みして気合を入れる(笑) へぇ〜ロック・ステージとマウンテン・ステージってお互いの音が漏れて聞こえるんじゃないかと思ってしまうほど接近してるんですね。あれ、ロック・ステージ3割くらいしか埋まってないぞ…果たして盛り上がるのかしらこれで。まあいいや、折角空いてるんだからと、ステージ向かって最前列の後ろ(つまり2列め)にポジションをとる。ステージ・セットは、バンドのロゴが入ったバックドロップを吊るしただけの至ってシンプルなもの。司会の前説の後、ほぼ定時にメンバーがぞろぞろと登場。お〜マイロン(vo.)はいいガタイしてるなぁ。雰囲気としては、ブルース・ディッキンソンとザック・ワイルドを足して2で割った感じ(?) ギタリストのジェフ・パイパーはフィル・コリン(Def Leppard)とダニー・カーワン(Fleetwood Mac・分かりにくくてごめん)を足したような風貌。ジェフはいきなり上半身裸だ。一番近い位置で見れたベースのピート・ビーヴァーは長髪が顔に垂れ下がっていたので、あまり表情は伺えなかったのだが、その笑顔はトム・ピーターソン(Cheap Trick)そっくりだった。ジェレミー・ピルビームは見栄えするダイナミックなプレイをするドラマーで、そのタイトなプレイは間違いなくDirty Americansサウンドの要になっていた。Tシャツにジーンズというラフなファッション。だが、それだけではない何ともいえない「雰囲気」をこのバンドは発散している。タフで男臭くて、飾り気のない本当のカッコよさ。70年代のバンドって皆こんな感じだったのかなあ。「サケベー」と日本語で叫び、手を振りかざして煽りながら、プロモCD(CDシングル?)をファンに向かって放り投げるマイロン。(その後もショウの中で3回くらいCDをばら撒いていた。欲しかったよ〜)オープニングはアルバム「Strange Generation」同様"No Rest" 重い、腰の据わった重厚なサウンドだ。メタル的なシャープなサウンドでなく、これぞアメリカン・ハードロックたる芯の太い、身体にズブズブ食い込んでくるような音の壁。未だアルバム1枚しかリリースしていないバンドとはいえ、ミュージシャンとしてのキャリアは十分な各メンバー。演奏力は非常に安定している。マイロンのヴォーカルはCDで聴く通り、ソウルフルでありながら伸びやかで艶のある、耳に心地良い響きを持っており、重いインストゥルメンツとの絶妙なバランスがDirty Americansのアイデンティティを形成している。タフなサウンドとメロディアスな歌。1曲めでいきなり観客の心を掴んだAmericansは、間髪入れず"Control"へ。ジェフのシャープなギター・リフが心地良い。サウンドのバランスもなかなかだ。続く"Burn You Down"も70'sのフィーリングに満ちた、Dirty AmericansらしいストロングなHRだ。思わず一緒に口づさんでしまうコーラスが印象的。Dirty Americansの覚えやすい楽曲群は、ライヴになるといっそう映える。ダイナミックな演奏と会場のエネルギーで、元々持っているポテンシャルが倍増するのだ。それは4曲めに演奏された"Give It Up"に顕著に表れていた。サザン・ロック風の(もしかしたらメンバーはLed Zeppelinを意識しているのかもしれないが)静かなギターのイントロから始まり、コーラス・サビで爆発。ファンは腕を振り上げ飛び跳ね熱狂。それに引きずられる様に、バンドのプレイも熱を帯びパワー全開のクライマックスへ。これまたサビのコーラスがメロディアスでいいんだなあ。Dirty Americansの持つ多面性がうまく封じ込められた曲だ。しかし、ライヴでこんなに盛り上がるとは思わなかった。知らぬうちに首振りまくってる自分自身に向かって思わず、いや〜俺なんだかノリノリ(死語)なんてつぶやいちゃったよ。Dirty Americansの歌詞には基本的にメッセージはなくて、「物語の中に比喩がある」そうだが、"Chico"はその音楽の持つストーリー性と独特のメロディが上手く合わさった佳曲だといえるだろう。濃密なサウンドに身を委ねていると、何だか曲の中の世界に入り込んでしまうような感覚を覚える。6曲めは"Time In Space"〜この展開の手法は決して新しいものではないが、その浮遊感と陰りのあるメロディ、そしてダイナミズムはやはり圧倒的で、自然に身体を揺らしている自分がいる。続く"Dead Man"にもへぇ〜こんな良い曲だったのか、と唸らされた。ギター、ドラムス、ベース、ヴォーカル。各パートが一体になって生み出す音の塊。一度聴いたら忘れられないサビのコーラス・ハーモニー。(コーラスはジェフがとることが多かったように記憶している) 中間のギター・ソロ・パートでマイロンは一旦ステージ後方に引っ込み、ライヴを見守っていたSilvertideのヴォーカリスト、ウォルト・ラフティと酒を飲みつつ会話を交わしていた。ジェフのちょっとサイケ風味を加えたギター・ソロが、会場内に70年代の匂いを充満させる。最後の2曲のファンの盛り上がりは凄かった。このころになるとSilvertideの出番待ちと思える人が後方に詰めかけ、会場は6割方埋まっていたが、最初ステージ前方だけの盛り上がりだったのがどんどん後ろまで波及し、会場の前半分では大きな波が起こっていた。"Car Crash"〜派手さはないが、優れたメロディを持ったストレートなロック・チューンで、個人的にも好きな曲。やはりCDよりもダイナミズムが強調されてえらくカッコいい。ていうか、まさかこの曲で会場がこんなにヒートするとは驚いた! そしてトドメは勿論、Dirty Americansのアイデンティティが全て注入された名曲"Strange Generation"! マイロンは歌詞の最初の部分"This dusty old town"を"Tokyo Town"と変えて歌った! 時代性も流行も蹴散らす、アメリカン・ロックの核の部分だけを煮詰めたような濃密なサウンドと迸るメロディ。ファンの興奮も最高潮に達し、皆サビの"It's Alright!"に合わせて腕を突き上げる。エンディングではついにマイロンが客席へ突っ込んだ! どこを切ってもクールなバンドによる、破壊力抜群のライヴだった。単独公演が絶対見たい! Part.3 -- The Wildhearts 正直言うとここ何年もWildheartsは聴いていなかったのです。最初に買ったWHのアルバムは「Don't Be Happy...Just Worry」(1992) "Turning American"のヘヴィさと皮肉っぽさ。"Weekend"のポップ・センス。楽曲のスタイルには統一感が無くて、方向性がまだ定まっていない印象を受けたけれど、サウンドは確かに私好みで、何かやってくれるんじゃないかというポテンシャルを感じたのだ。そしてその3年後には傑作「P.H.U.Q.」(1995)リリース。"I Wanna Go Where The People Go"を初めて聴いたときに受けた衝撃は今でも忘れられない。しかし、90年代後半になるとWH、そしてジンジャー周辺に対する興味は段々薄れてくる。サウンドの変化うんぬんというだけじゃなくて、年取ると「音楽面以外のこと」に気をかけるのがうっとおしくなってきちゃうんだよね。そう、WHって、ついていくのに何かストレスを感じるバンドになっていたのだ、私にとって。昨年リリースされた「The Wildhearts Must Be Destroyed」は今年に入ってから手に入れたことを白状しなくちゃならないし、「Riff After Riff After Mother Fucking Riff」に至ってはDarknessの代打がWHだと決まったその日〜つまりサマソニ前日に買って聴いて予習したくらい。こんな予習不足の状態で楽しめるかなと思ったけれど、いや、でも凄く嬉しかったんだ。今でも、もしDarknessの代わりがWH以外のバンドだったら…と考えるとゾッとする。Dirty Americansのライヴ終了後、マウンテン・ステージでHope Of The States、ロック・ステージでSilvertideを少し見てから再びマリン・ステージへ戻る。アリーナはまだそれほど埋まっておらず、結構前の方の好位置をゲットすることができた。司会のMCもほどなくして、ステージ奥を見ると……おやっ、ジンジャーがデジカメで観客撮ってるよ!(笑) 余裕あるなあ。日本では確固とした人気を確立しているとはいえ、今回はDarknessの代理。WHを知らない人も多いだろうし、"つかみ"にファストな曲を持ってきて、あとはポップでノリのよいR&R中心の選曲でいくのでは…という予想は、外れではなかったが当たりでもなかった。このバンド、というかジンジャーというアーティストはやはり何かが違う、この日他に登場したバンドとは立っている場所が、向かっている方向が違う。Lブロックの私の目の前にギターのCJ、反対側にスキンヘッドがトレードマークのベーシスト、ジョン・プール。中央には勿論ジンジャー。スティディは良く見えないので大スクリーンで確認するが、どのメンバーも皆機嫌が良さそう。「Tokyoに戻ってこれて嬉しいよ」 1曲めは初期の代表曲の1曲"Greetings From Shitville" "Nexus Icon"あたりでくるかな〜と簡単に予想していたビギナーの私は、ミディアム・テンポで、落着いた感じ(といっても、メタリックなギター・リフは恐ろしくパワフル)のオープニングに意表をつかれたが、マニアの方には嬉しい驚きだったようで、周りからは「おぉ〜」という感嘆の声も聞こえた。演奏は急遽参加が決まったとは思えないほどタイトでシャープだ。音のバランスも悪くない。欲をいえばジンジャーのヴォーカルがもっと鮮明に聞こえたら…とも思ったが、元来「歌い上げる」タイプのヴォーカリストではないジンジャー。きっと普段のライヴでも各楽器との音量のバランスはこんな感じなのでしょうね。「2年前のSummer Sonicで俺たちを見たやつはいるか?」というジンジャーのMCに続き、最新作「The Wildhearts Must Be Destroyed」から"Top Of The World"がプレイされる。世の中に"Top Of The World"と名のつく名曲は数あれど、この抜群のポップ・センスを持ったWildheartsバージョンもその名曲リストに名を連ねる資格を十分に備えた曲であるといえる。続く"Vanilla Radio"もシンプルな構成と歌詞を持ったとても親しみやすいロックンロールだ。「全て準備するのに24時間しか時間が無かったんだ。24時間前は雨の降るイギリスでビールを飲んでた。そして今、こうやって日本の晴れた空の下ビールを飲んでいる」(笑)とジンジャーはMC。会場のコンディションは、昨年と比較すると暑さは変わりなくめちゃくちゃ暑いものの、空は雲がかっているので、直射日光の攻撃を受けない分"まし"に思えた。(アルコールも手伝ってテンションか上がっていたとはいえ)ここで前に来過ぎていたことに気づいた私。ヤバい!この後仕事だし、無理したらだめだ(そう、この日はWHを見終えたら職場へ直行の予定だったのです(苦笑))などと考えていたが遅かった。ジンジャーのイントロダクションと共に怒涛の勢いで"Suckerpunch"がスタート! ぎゃあああ! モッシュ・ピットに吸い込まれる!! 後ろから100キロはありそうな巨漢の男と、タトゥー兄ちゃんが連続して突っ込んで来たが、すんでのところでかわし、ずるずるっと後退。広いスペースに戻り、ポジションを確保する。いやしかし、このファストチューン生で聴くと凄まじいインパクトだわ。WHの曲にはイントロにインパクトのある、"即効性"のある曲が多いがこの"Suckerpunch"といい"Vanilla Radio"といい、出だしのギター・リフでいきなりテンションが急上昇するので凄い。ジンジャーが曲の間にMCを入れてくれるのが年寄りには助かります(笑) 5曲めは、これが聴きたかった。これを聴かなきゃ帰れない名曲中の名曲"I Wanna Go Where The People Go"「"I Wanna Go Where The People Go"て歌うんだよ。わかる? わからなければ"@*?%&#$"て適当に歌ってくれ」とジンジャー(笑) この日のショウでは殆どの曲と曲の間にジンジャーがMCを挟むので、リハ不足で慎重になっているのかと思いきや、これはWHのライヴではどうも普通のことらしい。コーラスもサビも、観客が一体となって大合唱。へヴィネスとメロディが完璧な調和を成すこの名曲を初めて生で聴けた喜びと、ファンとこの空間を共有できた喜び。来て良かった! 続いたのは再び「Must Be Destroyed」からポップでちょっと切ないメロディ・ラインに、美しい歌詞が印象的な"One Love, One Life, One Girl" 緩急自在の何とも心憎いセット・リストである。イントロのCJのギター・トーンが素晴らしい。それにしても、「Must Be Destroyed」には名曲が多いなあ。帰ったらもう一度聴き返さないと。7曲めは再びアグレッシヴでファストな「Riff After Riff〜」の……え〜っと曲名が思い出せない(汗・後に"O. C. D."と判明)ちゃんと前もって「Riff After Riff〜」買っておけば良かったなあ。曲名が思い出せなくても、コーラスの"Wow-Yeah"は一緒に合唱する(笑) これもクールな曲だ。後半ではヘヴィ・メタル的な展開美を見せる。いや〜こういった"仕掛け"をさらっと盛り込むことが出来るのがWHの凄さです。インタビューを読むと、最新アルバム「Must Be Destroyed」は難しい、トラブル続きの中で制作されたそうだが、内容的にはポップで親しみやすいメロディを持った(しかし、歌詞の内容は"明るさ"とは程遠いものがほとんどだ)名曲が多く、非常に充実した内容になっているが、"Someone That Won't Let Me Go"もアルバムを代表する名曲であるといえるだろう。そのメロディ・センスも然ることながら、ジンジャーの作詞家としての才能が炸裂した類稀に美しい歌詞との調和が成された"Someone That Won't Let Me Go" "One, Love, One Life, One Girl"といった楽曲は既に「クラシック」と呼べるまでの完成度に達しているとさえ思える。そして"Someone〜"の持つ力強さと優しさは、このだだっ広いマリン・スタジアムの空間でも見事に表現されていたのだ。ジンジャーが「ジャアネ。サヨナラ!」という愛らしい日本語MCでショウの終わりを合図する。ラストの曲は「P.H.U.Q」より"Caprice" ……これには本当に度肝を抜かれた。空間を一瞬にして切り裂くかのような各インストゥルメンツの重く歯切れの良いサウンド。一分の狂いもないプレイ。プログレ的展開が脳みそを揺さぶり、メタリックなギターとパワフルなドラムが全身に波状攻撃を仕掛けてくる。なんて凄いバンドなんだWildheartsって! 多彩を極めた楽曲と、それを支える演奏力。そして全てをジンジャーの信念とエモーションがひとつに繋ぐ。"Caprice"が終了すると、緊張から開放された脱力感と、ライヴの満足感で一瞬放心状態になってしまった。 「マタネ!」 再来日楽しみにしてるよジンジャー。次回までにはちゃんとアルバム復習しておくから!(笑) |
The All-American Rejects /s.t.(2003) |
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<Dirty Americans Set List> 1.No Rest 2.Control 3.Burn You Down 4.Give It Up 5.Chico 6.Time In Space 7.Dead Man 8.Car Crash 9.Strange Generation |
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Dirty Americans /Strange Generation (2004) |
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<The Wildhearts set list> 1.Greetings From Shitville 2.Top Of The World 3.Vanilla Radio 4.Suckerpunch 5.Wanna Go Where The People Go 6.One Love, One Life, One Girl 7.O.C.D 8.Someone That Won't Let Me Go 9.Caprice |
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The Wildhearts /The Wildhearts Must Be Destroyed(2003) |
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