Apr, 2003
Daryl Hall&John Oates
/Do It For Love

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1.Man On A Mission
2.Do It For Love
3.Someday We'll Know
4.Forever For You
5.Life's Too Short
6.Getaway Car
7.Make You Stay
8.Miss DJ
9."She" Got Me Bad
10.Breath Of Your Life
11.Intuition
12.Heartbreak Time
13.Something About You
14.Love Is A Dangerous Time

Bonus track(Japanese edition only)
15.Private Eyes[live version]
  「Marigold Sky」から約6年ぶり、久々のスタジオ・レコ−ディング作だが、何かもっと時間が経っているような気がするのは、私が「Marigold Sky」をあまり聴かなかったからだろうか? 本当に1990年代はダリル・ホ−ルのソロ・アルバム2作品ばかり印象に残っていて、ニュ−・アルバムが出たら即購入していたにもかかわらず、リアル・タイムのHall&Oatesを体験したという感覚が無い。「Marigold Sky」は、個人的に"Hall&Oatesの作品中、最も聴かなかったうちの1枚"であるが、この文を書く為に久々に久々に聴きかえしてみたところ、クオリティは決して低くなかった。いや、低いどころかメロディの質、プレイ面とも「流石」と感じさせるだけの内容を誇っており、何故売れなかったのか首をかしげてしまうほどだ。しかし、同時に何故私にアピ−ルしなかったのか、すぐ理解できたのも事実。「Marigold Sky」は、あまりに"ストレ−トにロック"し過ぎているのである。いうまでも無くHall&Oatesの最大の魅力とは、ソウル/ファンク、ロック、フォ−ク etc.といった多彩な音楽的要素をブレンドした高度な音楽性を内包しつつも、抜群の歌唱力とナチュラルなコマ−シャリズムでもって、ごくわかりやすく聴かせるところにある。私はHall&Oatesへのそもそもの入り口が「Change Of Season」アルバム(1990)だったので、初めから彼らに"時代の最先端をいく音"は求めていないのだが、土台になるサウンドが「別にHall&Oatesがやらなくても…」というものではダメなのだ。
  で、ニュ−・アルバム「Do It For Love」、これは素晴らしい。1曲目がスタ−トして数十秒で、あっ、今回は違う。Hall&Oatesが戻ってきた、という感覚に襲われる。学習で無く、感覚として身についた独特の、ゆったりとしたグル−ヴ感に、憂いのある美しいメロディ。これは「Marigold Sky」に決定的に欠けていたものだ。そして、落ち着きのあるアク−スティックのセンスも活きている。(これは、自身でもソロ・アルバムをリリ−スしているBilly Mannの参加も大きいはず)  「Can't Stop Dreaming」アルバム(1996)収録の"Something About You"が自然に収められていることからもわかるように、ダリルのソロ・アルバムの延長戦上にある音楽、という感じもあるのだが、昨年リリ−スされたジョン・オ−ツの初のソロ作「Phunk Shui」にも表現されていた、ジョンならではの渋み、グル−ヴも要所でアクセントになっており、聴いていてふたつの異なるキャラクタ−が入り組みつつ、ユニットとして鮮やかな図形を描く様子が伝わってくる。ひとつわがままを言わせてもらうなら、本編、全ての楽曲が優れているだけに、ダリル、ジョン各自のソロ・アルバムのリメイク"Something About You"  "Love Is A Dangerous Time"は特に必要なかったのではないかと…。なお、ゲストにはトッド・ラングレンも参加。"Someday We'll Know"でヴォ−カルにギタ−に、らしさを発揮している。


Pretenders/Loose Screw
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Produced by Kevin Bacon and Jonathan Quarmby

1.Lie To Me
2.Time
3.You Know Who Your Friends Are
4.Complex Person
5.Fools Must Die
6.Kinda Nice, I Like It
7.Nothing Breaks Like A Heart
8.I Should Of
9.Clean Up Woman
10.The Losing
11.Saving Grace
12.Walk Like A Panther

  今でもイントロのギタ−・フレ−ズを聞いただけで痺れてしまう"Show Me"を初めとしてPretendersには思い入れのある楽曲がたくさんあるのだが、このバンドは夢中に
なるまで聴いた、という経験がほとんど無かった。そしてその理由は自分でも良くわかっていた。クリッシ−・ハインドのソングライティング、ヴォ−カルの持つ独特のあっさり感というか、ク−ルなロック・センスがいまいち私に曲の世界に入り込むことを許さない、感情移入を許さないのだ。これは良い・悪いとは全く別で、単なる趣味の問題であるのでどうこういっても仕方が無いのだが、過去、その作品のクオリティ、実力に見合うほどアメリカでPretendersが成功しなかったのもその独特のドライな感覚にひとつの原因があるのではないかと思えるのだ。80年代Pretendersがアメリカでヒットさせた曲は1曲("Thin Line Between Love AndHate")を除いて全てロック・チュ−ン。数々のトラブルを乗り越え、常に自分の音楽を追及し続けたクリッシ−の信念は賞賛に値するが、個人的には90年代以降のPretendersの方が音楽的により充実していると思う。私のPretendersへの意識が変わったのは1994年の「Last Of Independence」からだ。外部ソングライタ−ビリ−・スタインバ−グ&トム・ケリ−の力を借り、"I'll Stand By You"という初のバラ−ドの大ヒットも生んだこのアルバムには、それまでのPretendersに欠けていた叙情味とエモ−ションが注入されており、バンドが新たな段階に進んだことをはっきりと感じさせた。しかし、スタインバ−グ&ケリ−の器用で得た最大の収穫は"どんな外的な力が加わろうとも、クリッシ−・ハインドのアイデンティティは全く揺るがない"という結果が出たことではなかったか。多くのベテラン・ア−ティストがクリエイティヴィティの停滞→外部ライタ−導入→音楽性の迷走、という道を辿る中、Pretendersは本来の持ち味を全く損なうことなくサウンドを深化且つ多様化させることに成功したのである。(それを示すように、クリッシ−は前作「Viva El Amor!」、本作と続けてスタインバ−グ&ケリ−と競作している) 「Loose Screw」(むむむ…このタイトルは…)は約3年ぶりのニュ−・アルバム。90年代のPretendersの洗練された、エモ−ショナルなサウンドをフォロ−しつつ、更に鋭さを増したような内容。ハ−ドにロックしたオ−プニングの"Lie To Me"からして、ああ、このメロディはクリッシ−ならではだ…と思わされる。ただ、クリッシ−がキッとこちらをにらみつける表情がまるで頭に浮かぶようなアグレッシヴさを備えた曲は今回はこの"Lie To Me"くらいで、前作同様リズムを強調したハ−トウォ−ミングなポップ・ロックを中心に構成されている。テクノロジ−/キ−ボ−ドを駆使したアレンジも前作に近いが、本作のサウンド面でアクセントになっているのは"Nothing Breaks Like A Heart"  "Walk Like A Panther"に表れているようにレゲエだ。スタインバ−グ/ケリ−をレゲエした"Nothing...."で起用しているというのが良いじゃないか! "Saving Grace"もクリッシ−のセンスとスタインバ−グ/ケリ−のセンスが見事にブレンドされたメロディアスな佳曲である。

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