July, 2003

Skin/Fleshwounds
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Produced by David Kosten
  サマ−・ソニック出演ア−ティストの中に"Skin"の名前を見つけた時は、てっきり同名のブリティッシュ・ハ−ド・ロック・バンドと思っていた為(笑)、その正体が元Skunk Anansieのヴォ−カリストと知って驚いた。私は恥ずかしながらSkunk Anansieはリアル・タイムできちんと聞いていない。いや、正確にいうとたまたま所有していたサウンドトラック・アルバム「Strange Days」(1995)に収録されていた代表曲"Selling Jesus"を聴いてかなりのインパクトを受けてはいたのだが、オリジナル・アルバムを買うまでには至らなかったのだ。(お金がなかったんですな) 私が今回このアルバムを買うに至ったきっかけはサマソニに向けての予習…では実はなく、MTVで見た(聴いた)Tr.2  "Trashed"のビデオ・クリップだ。情熱的でエモ−ショナルなヴォ−カル。美しいメロディ・ライン。ロバ−タ・フラックを連想させる薄暗い浮遊感。サビで思わず目の前がサ−ッと開かれたような感覚を覚える、この曲の持つダイナミズムに一瞬にして引き込まれてしまったが、言われなければこれがSkunk Anansieのヴォ−カリストだとはまず気がつかなかっただろう。Skunk Anansieのハ−ドコアでブル−タルなサウンドを愛していた人にはこの音楽性の変化はかなりのインパクトを与えるであろうし、逆にこのUKソウル/クラブ・ミュ−ジックを貴重にしたサウンドは新たなファン層をつかむことは間違いない。歌詞だけを見ると悲壮感を悲愴感、喪失感が上回っているように思えるが、ささやきから叫びまでを自在に操るSkinのヴォ−カルから伝わってくるのは何にも立ち向かっていこうとするポジティヴィティだ。Tr.4  "Listen To Yourself"を聴いてもわかるように、ベ−スにはしっかりロックがあり、アニ−・レノックスに通じる普遍的なサウンドのセンスも感じられる。2003年を代表するラブ・ソングとして記憶に残るであろう"Trashed"をはじめとして名曲が揃っている「Fleshwounds」は、幅広い音楽ファンにお勧めできるアルバムだ。さあ、サマソニに向けてSkunk Anansieのアルバムも予習しておかないと…。
Skin Official Site

Cheap Trick/Special One
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Produced by Chris Shaw&Cheap Trick
  収録曲全11曲のうち"Sorry Boy"と"If I Could"を除く8曲が既にライヴで披露、若しくはファンの間では有名なデモ音源集の収録曲として出回っていた曲であり、この耳馴染んだ楽曲群が新鮮味という点でもの足りなさを残すのは否めない。逆にいうと、良い曲が揃っていることはわかっていた。良いアルバムになることもわかっていた。あとは最終的に楽曲アレンジがどうなっているのか、アルバム全体がどのようにまとまりを成しているのか、という2点であったが、流石はCheap Trick。こちらの不安・疑問を一掃する素晴らしい作品を届けてくれた。メンバ-も語っていたように、CT史上最もバラエティに富んだサウンド。メイン・プロデュ-サ-のクリス・ショウ以外に、1stアルバムと「Standing On The Edge」を手掛けたジャック・ダグラス、スティ-ヴ・アルビニ、ヒップホップ系のDan The Automatorとそれぞれ個性的なプロデュ-サ-を使い分け、"CTらしからぬ"このジャケット・デザインのように、多彩な色使いでベテランらしいソングライティングのセンスを見せつけてくれる。急遽日本版にも追加されたTr.10"Low Life In High Heels"の別ミックス"Hummer"と、Tr.3"Special One"の日本語バ-ジョンを除いて本編10曲という曲数は、前作スタジオ・アルバム(「Cheap Trick'97」)から6年という間隔を考えると少なすぎるのでは...という不満もあったのだが、繰り返しこのアルバムを聴くにつけ、この10曲という曲数は多様性とアルバムの一貫性のバランスを保つギリギリのラインなのだということが理解できた。実は以外にCTに無かったタイプのハ-ドロック"Scent Of A Woman"、CTならではの類まれなポップ・センスが炸裂した"My Obsession"(CTの未発表曲の中でも特にファンに人気のあった曲)、厳かなアレンジとロビンの静かなヴォ-カルが印象的なバラ-ド"Special One"、地味ながら、独特の浮遊感と引き摺るようなリズムにぐいぐい引き込まれる"Pop Drone"、テクノロジ-を駆使した最も実験的な"If I Could"(なんとなくRoxetteを想起させる)  前作CT'97の路線を引き継いだへヴィな"Sorry Boy" "Best Friend"では改めてロビンのヴォ-カリストとしての凄さを思い知らせてくれる。そしてCTのキャリアのみならず、ポップ・ミュ-ジック史上に残るであろう傑作"Too Much"(日本ではこの曲がシングル・カットされるそう)  正直アルバムとしての完成度では「Cheap Trick'97」や70年代の一連の名作に及ばないし、アレンジ面でのツメの甘さも所々気になるが、曲単体、パ-ツのひとつひとつを見れば、未だ彼らは並みのバンドでは達し得ない高みにいることがわかる。このオジさん達をナメちゃいけませんぜ!
Cheap Trick Official Site

40ft Ringo/Funny Thing
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Produced by Steve Brown & PJ Farley
  Trixterというバンドを皆さんご記憶だろうか?  1990年にアルバム「Trixter」でデビュ−。メンバ−の平均年齢が20才(当時)とは思えない卓越したソングライティングに、安定した演奏力。Def Leppard、Bon Joviといったバンドに通じるメロディアスかつキャッチ−なハ−ドロックが詰まった「Trixter」からは”Give It To Me Good” “One In A Million” “Surrender”と3曲のヒット曲が生まれ、アルバム・セ−ルスもゴ−ルド・ディスクを記録した。その後1992年に、よりハ−ドさと生々しさを増した好作品「Hear!」、カヴァ−・アルバム「Undercovers」(1994)年とリリ−スを順調に重ねたものの、バンドの勢いは1stアルバムを頂点に目に見えて失速、音楽シ−ンの変化も向かい風となり、1995年には解散してしまう。
 この40Ft RingoはTrixterのメイン・ライタ−件ギタリストであったスティ−ヴ・ブラウンと、同じくTrixterでべ−スを弾いていたPJ・ファ−レイを中心とした4人編成のバンドである。Trixterとの大きな違いは、Trixterではギタ−専任だったスティ−ヴが、ここではリ−ド・ヴォ−カルも兼任していることだ。
そして、そのヴォ−カルが堂に入っていて思ったより良い。個性と爆発力には欠けるものの、マイルドながら力強さも備えた声質で、自らが書く優れたメロディをそつなく歌い上げている。音楽性は、メンバ−のインタビュ−にCheap Trickが出てきていることからもわかるように、ソング・オリエンテッドなハ−ド・ロックだ。Trixterでの洗練されたきらびやかな楽曲アレンジ、ドラマ性を演出するフラッシ−なギタ−・ソロは捨て、あくまでも、キャッチ−なメロディと歪んだ重いギタ−・サウンドとの相乗効果で、ダイレクトかつ勢いのあるアメリカン・ロックを響かせている。元々スティ−ヴの作曲能力には定評があったが、スティ−ヴとPJは90年代半ばから曲をたくさん書き溜めていたそうで、メロディ・ラインの練り具合、冴えにはかなりのものを感じさせる。ノリの良さ、キャッチ−さ、エッジが見事に同居した"Anyway"  "Inside Your Head"  "Book Of Virtues"  "Unbroken"あたりは、40Ft Ringoの真骨頂といえるだろう。"Origami Mommy"  "Miss You Blue"といったバラ−ドもなかなかいい。が、このアルバムにはひとつ問題がある。この奥行きが無く、篭った音像のサウンド・プロダクションである。前述したように、スティ−ヴはリ−ド・ヴォ−カリストとしてかなり健闘している。しかし、このシャ−プさに欠ける土台の上で歌メロの魅力を100%表現できるまでの「強さ」は備えていないのだ。今後バンドが進化していくには、スティ−ヴのヴォ−カルの魅力を的確に音に表せるプロダクションが必要になってくると思う。苦言を呈してしまったが、「Funny Thing」は長期"潜伏"していたミュ−ジシャンの再出発としては申し分ない出来。次はもっと自身のソングライティングを輝かすことのできるサウンド作りを充実させてほしい。(やはりプロデュ−サ−が必要か…?)
40Ft Ringo official site

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