June, 2003

Kim Fox/Return To Planet Earth
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Produced by Linus of Hollywood

(Japanese edition)

  このKim Foxというシンガ−・ソングライタ−/キ−ボ−ディストは1997年に「Moon Hut」というアルバムでデビュ−を果たしている。バイオを読むと、親もミュ−ジシャン(50年代に活躍したドゥ−ワップ・グル−プNorman Fox & The Rob Roys)という音楽的に恵まれた環境で育っている。また、なんとプロのカメラマンとしての顔も持っているそう。「Moon Hut」リリ−ス後、Kimはインド、ネパ−ルといった国を旅して周ったそうで、それから経験したこともこの「Return To Planet Earth」に反映されているようだ。私は「Moon Hut」を持っていないので、この5年間の変化をとらえきることが出来ないのが残念。しかしこの「Return To Planet Earth」、Kimのことを知っていようといまいと、音楽好きなら楽しめること請け合いのとても親しみやすいポップ・アルバムである。どこかカ−ラ・ボノフを連想させるジャケットのKimの横顔は涼しげで、"清楚"  "知的"といった言葉が浮かんでくるが、以外やまずアルバムを聴いて残る印象は"かわいらしさ"だったりする。30才半ばという年齢を感じさせない、キュ−トなヴォ−カルの魅力を活かすメロディアスな楽曲が軒を並べるが、ただ甘く耳馴染みが良いだけでなく、陰影のあるしっとりとしたラブソングも聴かせてくれる。Kimの弾く繊細なタッチのピアノをフィ−チュアした曲から、打ちこみのリズムを全面に出した曲、アコ−スティック・ギタ−を活かした曲まで、Kimの感情の機微をしっかり支える多彩なアレンジが見事。かたちとしてのポップ・ソングを自分の色で真にソウルフルに表現できる人だ。日本盤ボ−ナス・トラック"Jaded"はなんとAerosmithのカヴァ−。エリック・バジリアン、ポ−ル・ギルバ−ト、ロジャ−・マニング他がゲスト参加。
Kim Fox Official Site

Worry Stones
/You Don't Know What You're In For

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Produced by Ted Comerford

(Import)
  もし"アメリカン・ロック"というジャンルの地図を描くなら、その最も真ん中に位置するのは、こんなサウンドなのではないかとふと考えてみたりする。聴く度にこちらの知覚を刺激するパ−トが増えてきて、聴く度に好きな曲が増えてきて、気づいたときには全曲お気に入りになっていた。全10曲。40分。全くといって良いほど無駄のないアルバムである。Worry Stonesはキ−ボ−ディストを含む5人組。ル−ツ・ロックを基盤にしつつ、80年代、90年代のメインストリ−ム・ロックに通じるポップ・センス(+少々のモダン・ロック風味)を備えた、全く奇を衒ったところのないサウンドは無意識のうちに"普遍的"と評したくなるが、このシンプルな枠組みの中に詰め込まれた要素はとても広く濃く、メンバ−がまだ皆20代とは思えないほど芳醇で研ぎ澄まされている。アルバム2枚めにして、彼らがお手本にしているであろう(というか、実際にライヴでカヴァ−のレパ−トリ−にしていたそうですが)Counting Crowsの一連のアルバムのレベルに匹敵するクオリティの高さ。"ソウルフル"とはいかないまでも、適度な渋みをもってメロディを大切に歌い上げるTim Metzのヴォ−カル。楽曲には十分なポップさもあり、且つインストゥルメンツ・パ−トも聴かせる。(特にJay Rapoportのピアノ/ハモンド・オルガンに注目)  暖かみと爽快さが同居した名曲が揃っている。 ※このバンドについて詳しく知りたい方はお友達のMOTOさんちへ!
Worry Stones Official Site

Train/My Private Nation
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Produced by Brendan O'brien

(Japanese)
  出世作となった前作「Drops Of Jupiter」のアルバム・タイトル曲は"ロマンティック"なんていう言葉を久々に思い出させてくれた。ピアノの静かなイントロに、パット・モナハンのエモ−ショナルなヴォ−カルが被さり、ストリングスと多声コ−ラスを絡めた劇的な曲展開がリスナ−に得もいわれぬ高揚感を与える。美しいメロディと歌詞に、Trainの確固たるアイデンティティが注入された名曲だったと思う。その「Drops Of Jupiter」では、1stアルバム「Train」のル−ツ・ロックとオルタナティヴ風味が混然となった中途半端な音楽性を一掃したアメリカン・ロックのメインストリ−ムをいくサウンドが提示されていたが、この3rdアルバムはその2ndの方向性を更に推し進めた印象。"Drops Of Jupiter"のような突出した楽曲がない為、人によってはややまとまりが良すぎるように思えるかもしれないが、曲の粒は間違いなく前作よりも揃っており、アルバムとしての完成度は非常に高い。このアルバムを聴けば、むしろ"Drops Of Jupiter"はTrainとしては異質な曲であり、彼等の本質が最近のCounting Crowsと同様‥‥ア−シ−な感覚はCounting Crowsよりずっと少ないものの‥‥ル−ツ色をべ−スにしつつ、ポップ・センスを活かしたアメリカン・ロックにあることがわかるはずだ。(そういえば、このアルバムの2曲めは全収録曲の中でもとりわけキャッチ−な"All American Girl"という曲だけれど、Counting Crowsの最新作の2曲めもシングルカットされた"American Girl"というポップなロックンロ−ルでしたね)  前述した"All American Girl"を含め、1曲めからポップ且つメロディアスなハイ・クオリティの曲が次々と繰り出され、全く飽きるということが無い。5人編成ならではの厚みのあるサウンドの上で、核となるメロディを伝えるパット・モナハンのヴォ−カルは、特徴的でありながら、エモ−ションの機微をしっかり表現している。タイトな演奏面、ブレンダン・オブライエンの的確なプロデュ−シングも文句なし。
Train Official Site

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