October 2002
Dunkan Sheik/Daylight(import)

1.Genius
2.Half-Life
3.Start Again
4.On Her Mind
5.Such Reveries
6.On A High
7.Magazines
8.For You
9.Good Morning
10.Memento
11.Shine Inside


Produced by Patrick Leonard
  あ−失敗した…。もっと早くに聴いておくべきだったDunkan Sheik。すっかりはまってしまって、あわてて旧譜も買い集めました。私も多分に漏れず、"Barely Breathing"(デビュ−作「Dunkan Sheik」(1996)からの大ヒット曲)が彼の名前を知った最初でしたが、当時アルバム購入までに至らなかったのはプロデュ−サ−がルパ−ト・ハインというのがちょっとひっかかったから。ルパ−トはSagaやRushといったプログレッシブで硬質なロック・バンドとの相性は抜群だけれど、シンガ−・ソングライタ−系(Chris de BurghとかStevie Nicks等)の作品はイマイチ、という印象が強かったのです。1stアルバムを聴いてみたら、Dunkanにはそれは当てはまらないということが良くわかりましたが。
  さて、この「Daylight」は昨年発表の「Phantom Moon」(これも非常に完成度の高い作品でした)に続く通算第4作になります。個人的には、CDストアで製作スタッフのクレジットを見ただけで、これは!と思わせるものがありました。まずプロデュ−サ−がMadonna、Elton John、Jewel等の作品を過去に手がけ、90年代初頭には故Kevin GilbertとのコンビでToy Matineeという自らのバンドを率いていたPatrick Leonard、ミキサ−にはLindsey Buckingham、Jude Cole、Elvis Costello、Peter Gabriel、Sophie B. Hawkins、Jewel、Kim Richey、Talking Heads、U2等、これまた数多くの有名ア−ティストの名作でエンジニア、ミキサ−を務めたKevin Killen。Dunkan自身がアルバムにゲスト参加し、Patrick、Kevin共に過去仕事をしたというのもありますが、Howard Jonesに近いサウンド、ブリティッシュ・ロック的なセンスを感じます。ただ、Dunkanの楽曲にはHowardのような(良い意味での)下世話さが無いのがポイント。Prefab Sproutにも通じるクラシカル(Dunkanの各アルバムではストリングスが多用されている)かつ繊細なアレンジをもってDunkanの温かみのあるヴォ−カルを聞かせる非常に構築された音世界で、あまりドラマ性を持たせすぎず、Dunkanのエモ−ションをナチュラルにとらえているのが素晴らしい。各楽曲のメロディ、フックも申し分なく、2002年を代表する1枚と言い切って良いでしょう。"On Her Mind"をDunkanと競作しているのはなんとForeignerのMick Jones。Mickはこの曲でギタ−もプレイしている。

Vonda Shepard/Chinatown(import)

1.Rainy Days
2.Chinatown
3.My Whole World
4.Lose My Way
5.Rain Or Shine
6.Downtime
7.Gyloscope
8.In July
9.The Sunset Marquis
10.7 Days
11.Promising Grey Day

Produced by Mitchell Froom&Vonda Shepard

  失礼な話であるが、90年代終りにVonda Shepardが人気ドラマ"Ally McBeal"のテ−マ曲集(「Songs From Ally McBeal」('98))で大ヒットを飛ばしたのは正直驚きだった。予想もしなかったといってよい。
  最初にVondaを知ったのは'94年ごろだったと思う。いわゆる「ジャケ買い」(笑)で「The Radical Light」(1992年発表の2ndアルバム)を手に入れたのがきっかけだった。洗練されたジャケットのデザインと、CD裏面に記されたDavid Pack、Don Was、Matthew Wilderといったプロデュ−サ−のクレジットに惹かれて購入した「The Radical Light」は、統一感という点で弱さを感じさせるものの、佳曲の揃った洗練された優れたポップ・アルバムで、当時これは掘り出しものだとかなり喜んだ覚えがある。しかし、同時にこの普遍的ではあるが押しの少ない、あくまで構築された楽曲をじっくり聴かせるタイプのこのア−ティストは、Beth Nielsen ChapmanやKimberly Frankのように、AORシ−ン(ファン)内のみでの評価で終ってしまうのでは、との危惧を抱かずにはいられなかったのも事実であった。 次作「It's Good,Eve」('96)でサウンドの"地味化"がさらに進行していた(しかしこれも良いアルバム)のもその思いに拍車をかけた。しかし…
  「By 7:30」(前オリジナル・アルバム:'99年発表)同様、Mitchell Froomをプロデュ−サ−に迎えた新作「Chinatown」 基本的な音楽性に変化はない。緻密でありながら"生"の感覚を残したアレンジの施された楽曲を、Vondaの特徴あるヴォ−カルが歌い上げるこのサウンドは決して新しさを感じさせるものではないが、Vondaならではのポップ・センスと"控えめ"なコマ−シャリズムは十二分に発揮されているといえる。楽曲のクオリティは申し分ない。美しいバラ−ドからロックした曲まで、一種独特のメロディに浸っているのが心地よくて、ついつい繰り返して聴いてしまう。今回特筆すべき曲は、'70年代ソウル・ミュ−ジック風のアレンジが施された"Gyroscope"だろう。非常にパワフルな曲で、Vondaの歌声もいつもと違ってラフに響いてくる。また、本作では名手Bob Clearmountainがミックスをしていないせいか、サウンドが「By 7:30」ほどピカピカに磨かれた感じがしないが、この"Gyroscope"等を聴くと、もしかしたら逆にそれが良かったのかなと思えてくる。ラニング・タイム40分弱。全編にVondaのナチュラルな感性が息づいた静かな名盤です。

*今月(10月)から、ついに「Allie McBeal」第5章の放送が総合テレビでスタ−トするそうです……とか言っておきながら、実は私、過去のスト−リ−、ビデオに散々録画だけしてちっとも見ていないんです(^_^; 今度1回くらいはちゃんと見ておこうっと。
 


Westworld/Cyberdreams(domestic)


1.Cyberdreams
2.When I Come Home
3.How Good It Feels
4.A Million Miles
5.What If?
6.Look To See
7.Righteous one
8.Misery Loves Company
9.I Can't Run
10.Neon Knights
11.Beautiful(Bonus Track)


Produced by Westworld
Engineered and mixed by Bruno Ravel
 
Tony Harnell(TNT) -- Vocals
Mark Reale(Riot) -- Guitars
Bruno Ravel(Danger Danger) -- Bass
John O. Reilly -- Drums and Percussion
Josh Pincus -- Keyboards


  またまたやってくれましたWestworld! 北欧メタルのひとつのスタンダ−ドをつくりあげたTNTのフロントマン、トニ−・ハ−ネル。そして25年という長きに渡り"不遇のバンド"Riotでピュアなヘヴィ・メタルを追求し続けているギタリスト、マ−ク・リ−ル。Westworldは、この二人によるいわゆる"プロジェクト・バンド"としてスタ−トしたが、ここまでくるともはやパ−マネントなバンドといって良いだろう。スタジオ録音作としては早くも3枚目だ。彼らがここで披露しているのは、とにかく"普通では終らせない"という意欲と拘りに満ち満ちたハ−ド・ロック。前作「Skin」(2000)で確立された彼らのアイデンティティ -- グル−ヴに拘ったミドル・テンポの楽曲群 -- がここにきて更に突き詰められた感がある。アルバム全体を支配する、ややダ−ク(=モダン)なサウンドのアプロ−チはトニ−とブル−ノ・ラヴェル(これまではトニ−とマ−クが全ての曲を共作していたが、このアルバムではブル−ノもかなりソングライティングに参加している)のカラ−によるものであろうが、全体として、"構成美に満ちたメロディアス・ハ−ド・ロック"として完成されているのは、トニ−、ブル−ノとマ−クの間のケミストリ−がうまく発揮されている証拠だろう。というか、だからこそプロジェクトで始まったこのバンドが長続きしているのだろう。何かとファンに評判の悪いTNTの、アルバム「Firefly」(1997)以降のモダンなサウンド・アプロ−チには多少強引さを感じるところもあったが、ここではメンバ−のキャラクタ−の中にモダンな要素が自然に溶け込んでおり、全く無理・無駄がない。トニ−も経験から学んだということか。トレ−ドマ−クのハイト−ン・ヴォ−カルを主に据えつつ、場面に応じて表情を変えるトニ−のヴォ−カル。ダ−クな曲からバラ−ドまで、メロディアスという本分を決して外れない美しいメロディ。そして多彩な要素を結びつける心地よいグル−ヴ。マ−クは特別変わったことをしていないのだが、彼の相変わらず美麗極まりないギタ−・ワ−クはWestworldサウンドの枠組みの中でまた特別な光を放っている。改めてマ−クは凄いギタリストだと思い知らされた(Riotはずっと昔に少し聴いただけで、その後はチェックしていない私ですが…) 全曲よく出来ているが、とくに"Misery Loves Company"の構成力の素晴らしさなどは筆舌につくし難い。敢えて注文をつけるならBlack Sabbathの"Neon Knights" 完成度は申し分ないのだが、これだけはど−しても聴いているとロニ−・ジェイムス・ディオの声を思い出してしまう…。「Skin」で披露したアラニス・モリセットのような、もっと意外性のあるカヴァ−にしてほしかった。トニ−の楽曲解説付の日本盤がお勧め。


Kim Richey/Rise(import)

1.Girl In A Car
2.A Place Called Home
3.Me And You
4.The Circus Song(Can't Let Go)
5.Fading
6.Without You
7.Reel Me In
8.No Judges
9.This Love
10.Good Day Here
11.Electric Green
12.Hard To Say Goodbye
13.Cowards In A Brave New World

Produced by Bill Bottrell
   とにかくこのキム・リッチ−に関しては、過去にリリ−スした3枚のアルバムのクオリティがとてつもなく高いので、ファンとしてもどうしても「普通に良い」以上のレベルを自然に期待してしまうところがある。私の記憶が確かなら、デビュ−・アルバムがリリ−スされたとき、キムは既に30代の後半だったはずだ。それまでナッシュビルのカントリ−・ミュ−ジック・シ−ンを中心に、ソングライタ−として活躍。様々な有名ア−ティストに曲を提供し,徐々にその名を広めていった苦労人Kim Richeyがアルバム「Kim Richey」でデビュ−を飾ったのが1995年。ア−ティストKim Richeyのキャリアの全てを積め込んだ「Kim Richey」の内容はさすがに彼女の"人生の重み"をそこかしこに感じさせるものであったが、十分に普遍性を備えたコンテンポラリ−なポップ・カントリ−として完成されており、この"遅れてきたア−ティスト"の第一歩としては文句なしの結果であったといえる。「Kim Richey」の路線を更に発展させた、これまた傑作「Bitter Sweet」で更に知名度を上げたのが1997年。続く3rdアルバム「glimmer」では、あのヒュ−・パジャム(David Bowie, Peter Gabriel, Police, XTC等)をプロデュ−サ−に迎え、ジャンルのワクを超えた、驚くべきポップ・ライタ−/シンガ−としての才能を披露。新作は、この大傑作「glimmer」の後であるだけに期待はいやがおうにも膨らんだ。「Lost Highway」レ−ベルからの第一弾。そしてプロデュ−サ−にビル・ボットレル(Sheryl Crow、Shelby Linne、Toy Matinee等)というアナウンスは、確実にキムが新たなステ−ジに進んでいることを伺わせたが…予想通り音はかなりロックしている。いかにもキムらしいナイ−ヴなメロディはこれまで通り受け継がれており、普通のポップ・アルバムとしたら十分合格点だろう。しかし、アルバムを聴き終えて残るこの違和感は何だろう? まず、今回は大半の曲をビル・ボットレル、ブライアン・マクレオド等と共作しているのだが、これがうまくいっているとは思えない。(最も出来が良いのは、皮肉なことにキムが一人で書いた、美しくも悲しいバラ−ド"Fading")簡単にいうと、曲のクオリティがイマイチなのである。そして前作「glimmer」の対極をいくような、ラフで"間"の多い楽曲アレンジ。これがキム・リッチ−の音楽の要である、繊細さを活かし切れていないのだ。ビル・ボットレルはかなり贔屓のプロデュ−サ−なだけに、過剰ぎみな期待を抱いていたのだが、以外に平均的な出来に終ってしまった。「新鮮さアップの、完成度大幅ダウン」 普通のポップ/ロック・アルバムとして考えれば十分楽しめる内容を備えた作品なのだが…う〜ん、残念。
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