Disc Review
旧譜、新譜問わず、お勧めのCD/DVD作品を紹介します。
新譜(おおよそ3ヶ月以内にリリースされた作品)には
マークがついています。
は管理人のお勧め度で、星5つで最高。
2つで大体平均点と考えてください(
は1/2点)
※2003年9月以前のCDレビューはこちらです
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2005年 4月(no.179〜)
The Outfield/Any Time Now
<182>
The Outfield/Any Time Now
(import CD/2005)

★★★
  去年買い逃していたアルバムその1。ネット上でしか入手不可かと思いきや、久々に都内の大手CDショップを訪れたら運よく発見し即購入! スタジオ作としては未発表曲、レア曲を収めたコンピレーション「Extra Innings」以来6年振りのアルバムとなる。イギリスのバンドでありながら、ポップで大陸的広がりのある非常にアメリカンなロック・サウンドでデビュー作にして大成功を収めたOutfieldは、アルバムを重ねる毎に徐々にサウンドのイギリス色を強め、1992年発表の「Rockeye」アリバムではかなり意識的にブリティッシュでルーツィなアレンジをフィーチュアしていた。その最後のオリジナル・アルバム「Rockeye」からも早13年。しかし基本的な方向性はこれまでのそれをしっかり受け継いでいる。トニー・ルイスの透明感あるハイ・トーン・ヴォイスを中心に据えたポップでメロディアスなサウンド。メロディの質は爽快でありながら要所で仄かな哀愁も漂わせたもので、それが"泣き"を発散させるまでに至らないのが、彼等の日本での評価をイマイチにしているとも考えられるが、逆にいえばそれこそがイギリスとアメリカのハイブリッドである彼等の個性となっているのだ。普遍性がある反面、1stから5thまでのアルバムには必ずあった"これはヒットする"と思えるキラー・チューンが無く、ややフラットな作風になっているので新しいファンをどれだけ捕まえられるか・・・と想像するに心配になるけど。細かな注文は色々あるのだが、ひとつだけ言わせてもらうと(笑)全17曲(うち3曲はボーナス・トラック)バラエティに富んだ楽曲を書いているジョン・スピンクスの作曲センスと彼のソリッドなギター・サウンドを最大に活かすには、やはりセルフ・プロデュースを止めて外部のプロデューサーをつけるべきでは・・・?  (4/11/2005)
Vonda Shepard/Live-A Retrospective <181>Vonda Shepard
/Live-A Retrospective
(import CD+DVD/2004)
★★★★
  このアルバムも出ていることすら知らなくて、すっかり買い逃していました。あ〜(涙)  ヴォンダの恐らく初のライヴ作品は、また出ました(笑)今流行のCDとDVDのカップリング。2002年と2003年に行われたアメリカとヨーロッパで行われた5回のショウにおける音源をまとめたもの。ブックレットにオーバーダヴ等加工を加えていない完全な"ライヴ"であると記されている通り、鮮やかな臨場感を湛えてヴォンダのエモーションが伝わってくる。それにしても、このCDを聴いてDVDを見て、スタジオCDで聴くと音楽的に多彩で欠点のない反面、"これだ"という売りに欠ける"器用貧乏"なSSWという印象もあるヴォンダが、実は非常にディープで力強い声を持った素晴らしい"ヴォーカリスト"  "パフォーマー"であることがわかり感銘を受けた。曲目を見ると初期2作品(「Vonda Shepard」(1989)  「The Radical Light」(1992))の曲は"The Radical Light"たった1曲のみで、元々1stアルバムに収録されていた名バラード"Baby, Don't You Break My Heart Slow"さえも出元が1999年発表の「By 7:30」(このアルバムに収録された"Baby〜"は、Indigo Girlsのエミリー・セイリアーズとヴォンダがデュエットした別バージョン)になっているのには、最初の2枚に少なからず思い入れのある私としては残念に思ったが、ヴォンダ自身、楽曲のクオリティはいいにしても、自分の個性を最も発揮できるのは「Vonda Shepard」  「The Radical Light」におけるようなぴかぴかに磨かれた洗練されたサウンドの上ではないと認識している部分があるのかもしれない。実際、生々しく、骨太のグルーヴに彩られたライヴの"The Radical Light"はオリジナルより魅力的だし、1stのオリジナルではハワード・ジョーンズ風のライトなアレンジが特徴的だった"Baby, Don't You Break My Heart Slow"も、卓越したプレイヤー達の力を借りいまや完全にヴォンダ独自の個性として息づいている。全7曲収録されたDVDは、単なるライヴでなく、バックステージの様子やジャクソン・ブラウン、ジュリア・フォーダム、アル・ジャロウ、ミッチェル・フルームといったアーティストのコメントを交えてヴォンダの魅力を多面的に映し出している。個人的には、ここで見れるヴォンダとエミリーのデュエット"Baby, Don't You Break My Heart Slow"が本作品のハイライトだ。ああ、ふたりのコーラス・ハーモニーの何と感動的なこと!  (4/16/2005)
Nanci Griffith/Hearts In Mind
<180>Nanci Griffith/Hearts In Mind
(import CD/2005)

★★★★
  レビューを書き損ね後回しにしていたナンシー・グリフィスの最新作ですが、いや勿論気に入らなかったわけではないのです。派手さとは全く無縁の、ナンシーならではのゆっくりとした世界と時間。この素晴らしさをどう書いて伝えたらよいのかいつも考えてしまって。いや、実はただ私が言葉を持ってないだけなんですけど(苦笑) 聴くほどに心に染みてくる、味わい深いサウンド。"ジャンル分け"ももうそろそろ無視していいよね。余談ですが、2曲め"Angels"の作曲クレジットに珍しい名前を発見。1987年に"That's Freedom"の小ヒットを出したヴェテラン・ロッカー、トム・キメルだ。  (4/25/2005)
White Lion/Pride <179>White Lion/Pride
(import CD/1987)

★★★★
  何気に、聴いた回数でいうと過去に聴いた洋楽ン千枚中トップ20には入るであろう(暇だったのよ高校生の時分は)White Lionの大ヒットセカンド・アルバム。80年代終わりにレンタル屋のCDでダビングしたテープを大切にとっておいてそれをずっと聴いてきたのだが、先日中古CDが格安で転がってたので反射的に購入(笑) 初めて聴いたときはまだ聴いた洋楽アルバムの数も20枚に満たない洋楽初心者で、あまりハード過ぎる音が苦手だった("そこそこ"ハードでポップな産業ロック寄りの音が一番肌に合った)私はキャッチーなポップ・メタルが軒を並べるアルバムの中でも特にわかりやすい、"Wait"  "Tell Me"  "When The Children Cry"といったヒット・シングルが固まった"B面"を気に入っていた。そして、当時はこのアルバムの曲を聴くとき無意識的にヴォーカル・ラインを60%、インスト・パートを40%くらいの割合で意識して聴いていたように思うが、今聴くと全然聴き方が違うわ。同じアルバムでも今の耳で聴くと全然印象が違う! ほとんどヴィト・ブラッタのギターばかりに耳を集中している自分がいるものね。勿論、マイク・トランプの作曲能力と個性的な声はWhite Lionサウンドの重要な要素だが、改めて聴くとヴィトの"センスの塊"のようなギター・プレイが正しくWhite Lionの"核"になっていることに気付く。良くいわれたように、エディ・ヴァン・ヘイレン風の煌びやで滑らかなタッピングを多用したプレイがヴィトの売りになっているが、ヨーロッパ的な陰りのあるメロディはエディが持ち得ないものだし、リフやフレーズの組み立て方、転調にもヴィトならではといえるセンスが溢れている。ほんとにアルバムの最初から最後までギターが"歌って"いてヴィトのギターを聴くだけで全く飽きさせることがないのだ。で、2005年の耳で聴いた「Pride」で最も印象に残った曲はヴィトのテクニックとメロディ・センスが3分13秒の中にギュッと凝縮された"Don't Give Up"なのだった。このフレーズのセンス。ソロ。展開。素晴らしい!そのままインストの曲にしても通用するもん。このアルバムを聴くと、最強のHR/HMはツイン・ギターでなくてやはり4ピース編成にあるのではと思えてくるよ。  (4/25/2005)
Kevin Gilbert/The Shaming Of The True <87>Kevin Gilbert
/The Shaming Of The True
(import CD/2000)

★★★★★
   ああ、このアルバムについて書こうとする度、言葉を失い立ち止まってしまう凡人がひとり・・・。コンセプトはあえていうなら"アーティスト(=ケヴィン)自身の人生観"か。Toy Matinee(1990)の後に聴いたケヴィンのソロ「Thud」(1994)はジャケット・デザインも含め、Toy Matineeとはあまりに対照的な全編沈み込んだ空気がショックだった。しかし、この「Shaming Of The True」は、非常に多彩で変化に富んだ曲調が、アルバムの根底に流れる"悲痛な想い"を覆い隠し、極上のエンターテインメントとして完成されている。普通のアーティストであれば、アングリーなそして沈んだ、とことんダークな色のアルバムになってもおかしくないはずだ。"主観"と"客観"という難しいテーマについて、ケヴィンがどのような見解を持っていたかはわからないが、はっきりしているのは彼のコンポーザーとしての能力と音楽に対する愛情は何をも超越していたということだ。「TSOTT」の素晴らしいのは、これだけの情念を詰め込みながら、普遍性の高い、キャッチーなロック・ミュージックを聞かせてくれること。アルバムを聴き終えて浮かぶのは、ジャケットの裏写真にあるようなケヴィンの笑顔。シリアスなストーリーの中に、ケヴィンは人生を愛していた筈と、確信させるだけの希望も宿っているのだ。ロック史上に残る天才が遺した、非の打ち所のない名作。  (5/3/2005)
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