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Disc Review |
旧譜、新譜問わず、お勧めのCD/DVD作品を紹介します。
新譜(おおよそ3ヶ月以内にリリースされた作品)には
マークがついています。
★は管理人のお勧め度で、星5つで最高。
2つで大体平均点と考えてください(☆は1/2点)
※2003年9月以前のCDレビューはこちらです |
2004年
1月 / 2月 / 3月 / 4月 / 5月 / 6月 / 7月 / 8月 / 9月 / 10月 / 11月 / 12月
2005年
1月 / 2月 / 3月 / 4月 / 6月 / 7月 / 8月 / 9月 / 10月 / 11月
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2005年 12月(no.265〜) |
+ no.271 + |
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Judas Priest/Rising In The East
(Japanese DVD/2005)
★★★☆ |
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今年の5月、日本武道館で行われた来日公演を収録したメタル・ゴッドJudas PriestのライヴDVD 私の見たツアー初日の横浜と、この武道館公演のセット・リストは"Green
Manalishi"と"Exciter"が入れ替わっているだけで他は全く同じなので宜しければライヴ・レビューを読んでからDVDを見てください。ライナー・ノーツにも書いてある通り、今回のライヴは前もって計画されたものでなく、横浜公演の盛り上がりの凄さを見て急遽撮ることになった半急造品的な作品らしい。カメラ・ワークにも構成にも特筆すべき点はなく、まさに生のライヴをそのままパッケージしたというラフなプロデューシングになっているのだが、だからこそ現在のPriestのありのままの姿が確認できる内容になっている。
正直いってしまえば、ライヴの完成度はそれほど高くなく…というかフィジカル面での負担が最も大きいロブのパフォーマンスがやはり厳しくて、横浜ではステージが遠すぎてわからなかった表情が見えて嬉しい反面、ヴォーカルの粗さに加えあからさまにプロンプターを覗きこむロブもの姿も画面でははっきり確認できてしまう。ラスト"Exciter"〜"Painkiller"で、思うように出ない声で必死にシャウトするロブの苦悶の表情には痛々しさを覚えるほどだ。が、私にとってそういった現実は決してがっかりさせられるものではない。常に自分たちであり続けようとするその全力で挑む姿勢に感銘を受けたからだ。勿論ファンとしての思い入れが強いのもあるけれど…。確かに初心者のファンに1枚薦めるとしたら、まず最初にこのDVDを薦めることはないが、でも必ず見てほしい作品であることに変わりはない。マイナス面も目を背けないでほしい。"そこにいる"だけで表現することのできるバンドの持つ重みが何より強いことが分かるはずだから。 (12/24/2005) |
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+ no.270 + |
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The Darkness
/One Way To Ticket To Hell...And Back
(Japanese CD/2005)
★★★★ |
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Queenほど大仰でも多彩でもなく、Def Leppardほどメタリックでも凝ったアレンジもなく、AC/DCほど腰のすわった重量感もない。演奏力が特別凄いわけでもない。Darknessはあくまでも楽曲のクオリティ+メンバーのもつ個性溢れるキャラクターで売る、王道を行くロック・バンドである。そして、アルバムのリリースに至るまでの、解散寸前にまで追い込まれた苦難の道程も影響しているのであろう、持ち味であるユーモアを交えつつも、シリアスな側面が強調され、より現実的で等身大のメッセージが込められた普遍性の増した作風だ。そんなわけで、1stアルバムのゴージャスさ、勢いを気に入っていたファンはこの落ち着いたサウンドに戸惑いを覚えるかもしれないが…って、いや私が最初そうだったんですけど(笑) 良いですよ!これは。ロイ・トーマス・ベイカーを引っ張ってきたのは、Queen的な重厚なサウンドを求める故、だったのかもしれないが、結果としてはよりダイレクト且つストレートな、ハード・ロックの根源的魅力の詰まったアルバムになっている。楽曲はコンパクトでわかりやすく、しかし要所では華やかなアレンジで彩る、という意味でQueenよりは、むしろロイのプロデュースしたCheap
Trickの「One On One」に通じる面を感じたりもした。日本盤ボーナス・トラック"Grief Hammer"を含めても38分という、LP時代を思い起こさせる短さであるが、楽曲が粒ぞろいでしかも各々の曲の個性がはっきりしている為、最後まで飽きさせない上、聴き終えた後一曲一曲の印象が鮮明に残る。後は、オープニングの"One
Way Ticket"で聴けるような"歌う"ギター・ソロをもっとたくさん聴かせてくれたら…と思うけど、贅沢かな? (12/2/2005) |
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+ no.269 + |
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Michael Morales/Michael Morales
(Japanese CD/1989)
★★★ |
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名前が出たところでCheap Trickの「One On One」を紹介しようとも思ったが、このアルバムはCheap Trickサイトの方でも書いているので、敢えてこのあまり知られていないロイ・トーマス・ベイカー・プロデュース作品を。テキサス州出身のSSW/マルチ・プレイヤー〜マイケル・モラレスのデビュー作。マイケルの滑らかでセクシーなヴォーカルを、Carsにも通じる重厚なコーラス・ハーモニーと煌びやかなキーボードのアレンジで聴かせる爽快なサウンドで、特に1stシングルとしてカットされ、チャートでTop
20入りする大ヒットを記録した"Who Do You Give Your Love To?"はマイケルの魅力を凝縮した名曲といってよいだろう。哀愁のメロディがたまらなく魅力的な"I
Don't Know"(3rdシングルとなり小ヒット)もかなり良い。メロディアスなアメリカン・ロックが好きな人は中古で安くみかけたら取りあえずゲットしておきましょう。Romanticsのカヴァー"What
I Like About You"(2ndシングル)も収録。また、Carsのエリオット・イーストンが2曲でリード・ギターを弾いている。 (12/2/2005) |
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+ no.268 + |
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Rick Springfield/Live And Kickin'
(import DVD/2004)
★★★★ |
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56才であれだけパワフルなんだから、リックが30代の時はどんなに凄かったのかといえば、そう、今より更にパワフルなのであった(笑) 1982年、大ヒット作「Success
Hasn't Spoiled Me Yet」に伴うツアーの模様を伝えるライヴDVD 1982年8月13日、LAで収録されたライヴで、まさに頂点に達しようという脂ののりきった時期のリックのパフォーマンスが楽しめる。ヘソ上までのチビT(こんなの似合う男子はこの人くらいだ)を着て、ステージをところ狭しと走り回るリック。そして驚くのが黄色い歓声を送る、ホールを埋めた女の子の山・山・山! が、ステージ・セットと演出は現在と変わらずシンプルで、リックがあくまでも楽曲とプレイに力点を置いていることがわかる。というか、これだけフォトジェニックなルックスしてたら、確かに余計な装飾なんかいらないわ(笑) 次々と繰り出されるキャッチー度満点のロック・チューンと、楽曲のもつダイナミズムを増幅させるリックのアグレッシブなプレイ。そしてステージを大きく使ったアクション。ミュージシャンとしての巧さと、エンターテイナーとしての巧さ。リックのヴァーサタイルな才能も自然なかたちで捉えられている。元気出るよー。 (12/29/2005) |
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+ no.267 + |
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Rick Springfield/Behind The Image
(import DVD/2000)
★★★☆ |
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輸入版しかリリースされていないのが残念な、活動初期の60年代から2000年の「Karma」アルバムのリリース期に至るまでリックのキャリアを総括したドキュメンタリー。わずか50分という長さ故、長いリックのミュージシャン/アクターとしての人生を急ぎ足で追った、少々あっさりした記録集になってしまっているが(特に↓の「Anthology」のバイオとリック本人のコメントが"充実し過ぎ"の為余計そう感じる)、既に知っている事実も改めて本人はもちろんサミー・ヘイガー、元恋人リ
ンダ・ブレアといった関係者のコメントを交えて語られるリックの人物像が鮮やかに伝わってくる。かなりの苦難を乗り越えてきている人なのだが、ほとんど悲壮感や感傷を漂わせないのがリックの良さだし、そのタフなキャラクターにこの演出は合っているのかも。字幕つき日本版出ないかなあ…。 (1/5/2006) |
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+ no.266 + |
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Rick Springfield
/Written In Rock(Anthology)
(Japanese CD/2005)
★★★★☆ |
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12月に来日を果たすリック・スプリングフィールド。13日のチケットを勢い込んでゲットしたは良いが、その日はどうしても外せない仕事があることがわかり、急遽予定を翌日の14日、追加公演に変更。などと書きつつ、14日も100%行けるとは断言できない状態なんですけどー(涙) まあ何としても行くさ!
これまで数え切れないほどリリースされているリックのベスト・アルバムだが("日本独自編集もの"も多いねえ…)、リック本人が監修したこの最新2枚組ベストが"決定版ベスト"といって差し支えないのではないだろうか。60年代末期から1971年まで在籍していたアイドル・グループThe
Zootの"Eleanor Rigby"から、ソロ最新作「The Day After Yesterday」収録の"For
No One"まで全42曲、Beatlesに始まりBeatlesに終わるという構成。 "Taxi Dancing" "Hole
In My Heart" "Like Father, Like Son"あたりも収録してほしかった…とか、Sahara
Snowの曲も聴きたかった、とかいろいろ不満も出てくるが、リックの長いキャリアで残した傑作群をCDたった2枚にまとめるなんて所詮無理な話。入門者からマニアまで納得させるアンソロジーとしては上々のバランスを持っているといってよいだろう。何はともあれ、リックによる詳細な楽曲解説が抜群に面白く、これを読む為だけにでもCDを買う価値ありだ! 「トイレで用を足している時に声をかけてきた」ある男に渡されたテープが"Affair
Of The Heart"のイントロになった…(ちなみに、"ある男"とは後にソロ・シンガーとしてデビューするダニー・テイトのこと)等々、興味深いエピソードがてんこ盛りで、聴き慣れた曲でも新鮮味を持って聴き返すことができる。音質も、私のボロいラジカセで聴いてもはっきりわかるほど向上。あ、でも"今の"リックの凄さを理解する為に「Shock/Denial/Anger/Acceptance」(2004)はアルバム買って聴きましょう! (11/28/2005) |
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+ no.265 + |
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Rick Price/Heaven Knows
(Japanese CD/1993)
★★★★ |
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ふぅ。いろいろあって、心身共疲れが限界ぎりぎりにきてしまって、音楽もなるべく気持ちの良いもの、リラックスさせてくれるものしか聴きたくない。流石にリック・スプリングフィールドに知名度ではグンと劣るけれど、このオーストラリアのもうひとりのリックの実力もかなりのものだ。1993年にリリースされた、リックのデビュー・アルバム。プロデューサー/エンジニア/ミキサーとしてクリス・ロード・アルジェを迎え、ジョン・ロビンソン(ドラムス)をはじめLAの腕利きミュージシャンが名を連ねたメロディアス・ハード/AORの逸品である。オープニングの"What's
Wrong With That Girl"こそ、やや土着的な渋めのロックだが、デビュー・シングルとしてカットされオーストラリアでスマッシュ・ヒットを記録した2曲めの"Not
A Days Go By"以降は、洗練されたポップ・チューンが続く。オーストラリアでは勿論、東南アジアやヨーロッパ諸国でも大ヒットを記録した泣きまくりのバラード"Heaven
Knows"をハイライトに、北欧系のアーティストにも通じる透明感と疾走感を備えた"Church On Fire" ミディアム・テンポのストレートなラブ・ソング"Live
Without You" アルバムの最後を飾るアコースティック・バラード"Fragile"等々…極上の哀メロを備えた名曲満載で、本当に隙がない。リックの声は、やや鼻にかかったハイ・トーンが特徴であり、パワフルさはそれほどではないが、エモーショナルで丁寧なうたは静かに、深く心を揺さぶる。そういえば「Another
Place」(1999) 「A Million Miles」(2003・共に日本盤未発売)とリック近年の作品まだ聴いていなかったんだ…いかん。あと、日本でのみ発売されたミニ・アルバム「If
You Were My Baby」(1993)は中古屋いくら周っても全然見かけませんね(涙) (12/10/2005) |
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