Disc Review
旧譜、新譜問わず、お勧めのCD/DVD作品を紹介します。
新譜(おおよそ3ヶ月以内にリリースされた作品)には
マークがついています。
は管理人のお勧め度で、星5つで最高。
2つで大体平均点と考えてください(
は1/2点)
※2003年9月以前のCDレビューはこちらです
2005年
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2006年
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2006年 12月(no.349〜)
 + no.358 +
Army Of Anyone/Army Of Anyone
Army Of Anyone/Army Of Anyone
(import CD/2006)

★★★★
  その昔、Stone Temple Pilotsがデビューした時に評論家から、またリスナーから多くのバッシングを浴び"オリジナリティのないトレンド・バンド"の烙印を押されたことは未だ記憶に鮮明だ。が、STPの全カタログ、1997年に1枚だけアルバムをリリースしたプロジェクト・バンド「Talk Show」、そして本作「Army Of Anyone」を聴いて改めて思ったのは、ロバート(べース)とディーン(ギター)のディレオ兄弟の志向する音楽性はブレが少なく、時流がどうあれキャリアを通じて一貫しているということだった。ディレオ兄弟がFilterのリチャード・パトリック(ヴォーカル)、レイ・ルツィアー(ドラムス)と組んだニュー・バンドの1st。 ディレオ兄弟が全ての曲を書き、リチャードが歌詞を書いたこのアルバムでもディレオ兄弟の美学はしっかり貫かれている。ダークな、しかしキャッチーなメロディ・ライン。そしてアグレッシブでズ太いギター・リフ。印象的なリフをつくり、いかに"ソリッドなHR的センスを保ったまま"グルーブを生んでいくか。その点が往年のLed Zeppelinと通じる部分でもあるのだが、ディレオ兄弟からは、長年のパートナーシップで培われた独特のアンサンブル(押し引きが絶妙!)が感じられて、それがどのバンドにおいても特徴的な色を発散しているのがわかるのだ。残念ながらFilterをきちんと聴いたことがないのでFilterと比較はできないが、リチャードもパワフル且つ瞬発力のあるヴォーカルで楽曲の持つダイナミズムを高めている。正直いうと、STPやTalk Showが要所でみせたようなもっとポップな曲も期待していたのだが、アコースティック・ギターを随所で活かしたアレンジは良く練られており、バラエティを生もうとするメンバーの意識は十分伝わってくる。1stシングルの"Goodbye"もクールだけど、私のフェイバリットはLed Zeppelinが現代に蘇ったらこんな曲を演っているかも?などと想像させる"Disappear"  これは格好いい!  メンバーとアルバムを共同プロデュースしているのはかのボブ・エズリンだ。  (12/2/2006)
 + no.357 +
Dixie Chicks/Taking The Long Way Dixie Chicks/Taking The Long Way
(Special Edition: import CD+DVD/2006)

★★★★☆
  アルバム本体についてのレビューはこちらを参照。このスペシャル・エディションはその「Taking The Long Way」の全く同じバージョンに、DVDをプラスしたものだ。またこういう後出し商売を…とぐちを漏らしそうになりつつ、DVDの素晴らしさに見終えたときには、ああ、やっぱりChicksは凄いとため息が漏れているという(笑)  気になるDVDの内容だが、メインはAOL"AOL Sessions"で流れた(ている)スタジオ・ライヴから5曲(The Long Way Around/Easy Silence/Voice Inside My Head/Truth #2/Wide Open Spaces)  1曲め"The Long Way Around"の美しいコーラス・ワークと、タイトで華のあるインストゥルメンツに引き込まれたら、そのまま最後まで一気に見てしまう!  退屈な表現だが、Chicksが目の前にいるような、そしてその熱がこちらまで伝わってくるような非常に密でエモーショナルなパフォーマンスだ。クラシックの"Wide Open Spaces"  "Truth #2"は言うに及ばず、新曲3曲の持つポテンシャルに驚かされた。やっぱり「Taking The Long Way」は素晴らしいアルバムだわ。さらに"Not Ready To Make You Mine"のPVと、Chicksとアルバムのプロデューサー・リック・ルービン(←久々に動いてる姿見た)の対談も収録。残念ながら、私の英語力では100%聞きとれたとはいえないが、はっきり分かったのはこの作品を作るうえでの大きな原動力になったのが、Chicksとリックの互いへの大きな敬意と、メンバーの現実をしっかり見つめる意識の高さであるということ。"Not Ready To Make Nice"のプロモ・ビデオも収録。買ってよかった。お腹いっぱい、充実の内容だ。  (12/18/2006)
 + no.356 +
Kyler England/Kyler England Kyler England/Kyler England
(Japanese CD/2006)
★★★★
  相互リンクしている某サイトで教えて頂いたノースカロライナ州出身の女性SSWカイラー・イングランド。これは、「How Many Angels?(2001)  「A Flower Grows In Stone」(2003)  「The Green Room Sessions」(2006)という、カイラーが過去インディーズ・レーベルよりリリースした3枚のアルバムから選曲された日本独自のベスト・アルバムである。今年8月のリリース。アコースティックとエレクトリック、新しい面と伝統的な面が上手く融合したメロディアスな音楽。概して静的なサウンドではあるが、エモーショナルな歌から染み出る"熱さ"が力強さをアピールする場面も多く、以外にライブではロック的な要素が強く出るのかも、と想像もした。曲毎に、曲の随所で、そしてカイラーの歌い回しに様々な女性アーティストを連想させられるのであるが、それは一瞬で、比較対象はカイラーの透明感のある伸びやかな声と叙情的なメロディに上書きされてゆく。音楽性はロックでもポップでもカントリーでもあり中庸的なのだが、どのパターンにおいても実に魅力的なメロディを紡げる人で、リピートしているうち自然にカイラーの個性が印象付けられている。最初のインパクトこそ弱いが、聴きこむうちいつの間にかその世界に入り込んでしまう不思議な魅力を持っているなあ。"音楽は極端に走らずとも、個性は確立できる"のをはっきり証明するようなアルバムだ。歌詞も、広義の意味でのラブ・ソングがほとんどだが、そのテーマは多彩で、そして深い。インディーズ制作とは思えないほどプロダクションもクオリティが高く、コマーシャリズムも自然なかたちで備わっている。一度生でライヴが見てみたい!  (12/2/2006)
 + no.355 +
Hooters/One Way Home Hooters/One Way Home
(Japanese CD/1987)

★★★★★
  80年代の音楽を聴くとまるで条件反射のように10代の頃の記憶が蘇る。いや、その記憶は概して辛い思い出ばかりなのだが…。まだ「洋楽」という存在があることをやっと知ったころにほとんど刷り込みの状態で飛び込んできたHootersの音楽を一時期聴くのを避けていたのはそのトラウマが一瞬にしてフラッシュバックしてくるからなのかも?(笑) ともあれ、20年近く経って、やっとHootersを冷静に楽しめることができるようになった気がする。そして、風化しない内容の素晴らしさが更に際立って今の自分に響いてくる。ルーツを重んじながらも80年代という時代をしっかり音に投影し、しかもコマーシャリズムと遊び心も備えたHootersにしか成し得ない極めてハイ・レベルなバランス感覚! アルバムからのリーダー・トラックになったポップな"Satellite"から、アッパーで凄い高揚感を与えてくれるハード・ロック"Engine 999"まで全曲素晴らしい。この傑作が売れなかったのは悲劇だが、臆せず更に意欲的かつマーケットに媚びない内容の次作「Zig Zag」を作ったHootersはやはり素晴らしかった。さて、果たしてリユニオンHootersはいつか日本に来てくれるだろうか…?  (12/8/2006)
 + no.354 +
Benny Mardones/Never Run Never Hide Benny Mardones
/Never Run Never Hide

(Japanese CD/1980・1989)

★★★★
  先日中古CDショップでベニー・マードーンズのライヴ・アルバム「Live Sides」(LP・未CD化)を見つけた。かなりそそられたが、プレイヤーを持っていない為結局購入はしなかったのだが…。このアメリカン・ロッカーが並みのシンガーではないということは、1曲め"She's So French"のイントロのシャウトを聴けばすぐわかっていただけるであろう。「このアルバムに収められたことは、全て現実のことなんだ」  様々な困難を乗り越え、そして今も戦い続けているベニーの2ndアルバム。くさい表現だが、このアルバムには彼の人生そのものがが詰め込まれているのだ。1980年に全米シングル・チャートトップ20入りするヒットを記録し、1989年に再びリバイバル・ヒット(このアルバムは、そのヒットをきっかけに再発された1989年リリース版)した名バラード"Into The Night"  恐らく並みのシンガーなら、ここまで心打つ出来にはならなかったであろう、ベニーの感情の機微がそのまま凄まじいドラマをつくりあげた"Crazy Boy"  前述した、ベニーのまさに慟哭といえる絶唱が聴ける"She's So French"…等々、名曲・名演揃いだ。ベニーのパワフルな歌唱に負けじとテンションの高いバンドの演奏も素晴らしく、単なるシンガーの"サポート・バンド"とは一線を画する全てが一体となった密度の濃い音が胸の奥底まで響いてくる。これがこのアルバムを名盤たらしめている大きな理由のひとつだろう。
  ベニーのことを書く上で、彼の近況を調べていて今年9年ぶりのニュー・アルバムをリリースしていたことを知った。これは購入予定なので後日改めて紹介したいと思う。そしてもうひとつ信じられない事実。ベニーが病に冒されているということが…。  (11/25/2006)
 + no.353 +
Benny Mardones/Let's Hear It For Love Benny Mardones
/Let's Hear It For Love

(import CD/2006)

★★★☆
  ベニー・マードーンズの後にエディ・マネーを取り上げたのは、同じアメリカのタフなロックンローラーとしてふと連想したからに過ぎないのだが、2人に接点があることを知って驚いた。そのエディがソングライティングに参加し、サックスをプレイしたアルバム・タイトル曲を含むベニーの新作。"She's So French"のような、インストゥルメンツに呼応して力の限り吼えるような躍動感溢れるロック・チューンはここにはなく、ミディアム〜スロウ・テンポで穏やかに進んでいく曲がほとんどだが、ベニーの歌声には決してさらっと流して聴くことのできない"熱さ"が込められている。現在パーキンソン病という難病と戦っているベニー。ブックレットには多くの医師に対する感謝の言葉も。このシンガーは、聴き手にポジティヴィティを与えてくれる。  (12/22/2006)
 + no.352 +
Eddie Money/Playing For Keeps Eddie Money/Playing For Keeps
(import CD/1980)

★★★★
  ネット上でベニー・マードーンズのインタビューを読んだ。ベニーはエディ・マネーと一緒にライブをするのが好きだという。しかし、まだツアーを一緒にしたことはないそうだ。同じ1940年代後半の生まれ。1960年代のロック・ミュージック黎明期に10代を過ごした似たバックグラウンドを持つロックンローラー、しかしヴォーカリストとしてのスタイルはかなり異なっている。ブルージーな渋い声質は同様だが、エディはベニーほど声に張りとパワーを持ってはいない。エディは魅力十分のシンガーではあるが、決して器用なシンガーではないのだ。まず、その声域とヴォーカルの質にぴったりマッチした楽曲があってはじめて魅力が発揮できるアーティストなのである。
  この一般的評価が低い、そして恐らくファンの間でもフェイバリットに選ぶ人は少ないであろう本作がエディの個人的ベストの1枚になるのは、楽曲のクオリティも然ることながら、エディの声質と楽曲の方向性のマッチングが素晴らしいから、というのがやはり大きい。ロン・ネヴィスンのプロデュース。1st、2ndよりも骨太なロック色が薄れ"AOR調"と呼んでも差支えない穏やかさが支配しているが、曲のバラエティはエディのアルバム随一で、またどの曲もよく書けている。"Take me back, take me back"というリフレインが郷愁を誘う名曲"Trinidad"をオープニングにレゲエの"Running Back"  これも哀愁たっぷりのメロディとエディのエモーショナルな歌唱がたまらない名曲"When You Took My Heart" ヴァレリー・カーターとデュエットしたバラード"Le'ts Be Lovers Again"  そして要所で"Get A Move On"  "Satin Angel"  "Nobody Knows"といったタフなロック・チューンが全体をビシッと引き締める。何でこんなに人気がないのかなぁ〜、このアルバム?  (11/29/2006)
 + no.351 +
Eddie Money/No Control Eddie Money/No Control
(import CD/1980)

★★★★
  ドラッグ絡みのトラブルで、一時は再起不能の危機も噂されたという80年代初頭のエディであったが、名匠トム・ダウドをプロデューサーに迎えたこの快心のヒット・アルバムで見事な復活を果たした。「Playing For Keeps」のメロディ・センスと楽曲のバラエティを残しつつ、よりソリッドにロックしたサウンドは実に爽快で、エディの真骨頂といえるものだ。全米トップ20入りするビッグ・ヒットになった"Think I'm In Love"(ラルフ・カーターのドライヴするべース・ギターが最高に格好良い!)を筆頭に、これもヒットを記録したライヴでの定番曲"Shakin'"  メロディアスなミディアム・チューン"Runnin' Away"  エディのしゃがれた声によって歌われる哀愁のメロディが切ない"Hard Life"  恐らくエディ本人のことを歌っているのであろうブルージィなアルバム・タイトル曲  Bon Joviの"Runaway"にそっくりな"Take A Little Bit"(しかし、つくられたのはこちらが先!)  ヘヴィ・メタリックな"Drivin' Me Crazy"等々、聴きどころは実に多い。エディというと、そのカタログも多くまたヒット曲も多いため、代表曲は知っている…、ベスト盤なら持っている…という人も多いのではないかと思うが、できればこのアーティストはオリジナル・アルバムで聴いて頂きたい。何故なら、一連のヒット曲からは窺い知れない"隠れた名曲"にもエディの素晴らしい魅力が溢れているからだ。このアルバムにおける知られざる逸品はエディひとりで書いた静かなバラード"My Friends, My Friends"  センチメンタルなメロディと歌詞が胸に染みる。  (12/2/2006)
 + no.350 +
Eddie Money/Where's The Party? Eddie Money/Where's The Party?
(import CD/1984)

★★★
  「No Control」で第一線に返り咲いたエディであったが、その勢いは続かず。再びトム・ダウドをプロデューサーに、またスティーヴ・ファリス、ミッチェル・フルーム、アラン・パスクワ他一流セッション・ミュージシャンを迎え「No Control」以上に抜かりのない、手堅いサウンドになっているのだがどうも楽曲にフックが足りず印象に残らない。ヒットした"Big Crash"や"Club Michelle"のような爽快なロック・チューンに、ライヴでの主力ナンバー"Where's The Party?"と良い曲もあるのだが、概してメロディ・ラインがあっさりしすぎで、またいかにも80年代的なテクノロジー過多なアレンジがパワーとライヴ感を削いでしまっている。が、プレイヤーを途中で止めるのはちょっと待った! ラストに凄い曲が控えているから。"Backtrack"……この曲はヤバい。やはり当時のエディの心情を映し出しているのだろうか。鬼気迫るような緊張感と冷たさを持ったドラマティックなエディ史上に残る名曲(エディ自身の作曲)   エディを洗練されたポップ・ロックを歌う売れ線ミュージシャンと思っている方には是非"Backtrack"を聴いて頂きたい。が、このアルバム長いこと廃盤なんだけどね(泣)  (12/2/2006)
 + no.349 +
Eddie Money/Unplug It In Eddie Money/Unplug It In
(Japanese CD/1992)

★★★
  リッチー・ズィトーをプロデューサーに迎え、コンテンポラリーな産業ロック・サウンドにシフト。全米トップ10ヒット"Take Me Home Tonight"を筆頭に"I Wanna Go Back"  "Endless Nights"  "Walk On Water"  "Love In Your Eyes"とヒット曲を連発した1986年の「Can't Hold Back」以降のエディも決して嫌いではない。が、そのあまりにかっちりまとまり過ぎたスリルのないサウンドは、「Where's The Party?」以前のエディほど深い思い入れを許さないというのも正直なところで。「Can't Hold Back」が★★★ 1988年の「Nothing To Lose」が★★  1991年の「Right Here」が★★☆というところかな。「Right Here」は私がはじめてリアルタイムで買ったエディのCDで、良く聴いたものだけれど、ダイアン・ウォーレンの古い曲"Run Right Back"を演ったり(恐らくレーベルの指示だろう)、どこか自由になりきれないエディに煮え切らなさも感じていた。
  そして1992年にリリースされたアコースティック・ライヴ・アルバム。当時は"猫も杓子もアンプラグド"というくらいアンプラグド流行りだったので、最初は「エディよ、おまえもか!?」と思ったのだが聴いてみるとこれが良い内容でびっくり。1stアルバム「Eddie Money」(1977)より"Save A Little Room In Your Heart For Me"  "You've Really Got A Hold On Me"(スモーキー・ロビンソン作のクラシック)  "Two Tickets To Paradise"の3曲。2ndアルバム「Life For The Taking」(1978)より"Gimme Some Water"  「Playing For Keeps」より"Trinidad"  「Right Here」より"She Takes My Breath Away"と"Fall In Love Again"(この曲のみスタジオ・ライヴで、シングルカットされヒット)という全7曲のミニ・アルバムだが、どの曲も余計な装飾が取り除かれ、ロウ(生)なサウンドの上でエディのソウルフルな声の魅力とメロディの素晴らしさが際立っている。どのパフォーマンスもオリジナルのスタジオ・バージョンを凌ぐ仕上がりだが、特に"Trinidad"の美しさには参った! (12/2/2006)
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