Music Review
旧譜、新譜問わず、お勧めのCD/DVD作品を紹介します。
新譜(おおよそ3ヶ月以内にリリースされた作品)には
マークがついています。
は管理人のお勧め度で、星5つで最高。
2つで大体平均点と考えてください(
は1/2点)
※2003年9月以前のCDレビューはこちらです
※左にメニューが見えていない方は表紙よりどうぞ

2007年 2月(no.370〜)
 + no.379 +
Patty Griffin/Children Running Through
Patty Griffin
/Children Running Through

(import CD/2007)

★★★★☆
  いやいや、マイリマシタ。早くも今年の私的no.1アルバム候補が登場…。毎回のように"傑作"と躊躇いなく呼べる作品を送り出してくるパティ・グリフィンだが、またもしっかり新機軸を打ち出しながら、名曲満載の更なる傑作を送り出してきた。パティはフォーク、カントリー、ブルーズといったルーツィなアメリカン・ミュージックから、骨太なロック・センスも隠し持っているアーティストで、どんなアーティスト?と訊かれるとなかなか伝えるのが難しいのだが、もし気になる人がいたら、是非「Children Running Through」から聴いて頂きたい。メロディの充実度、歌詞の素晴らしさはいうまでもなく、パティの持つ音楽性の多様さを柔軟なアレンジで1枚に封じ込めたこのアルバムは、パティの集大成的内容(といってもキャリアが終わってしまうわけではない!)を有しているからだ。比較的わかりやすい単語と言い回しを使うパティの歌詞は、"Stay On The Ride"(ブルーズ調)のようにまるで映像が目の前に浮かんでくるようなストーリー性、そして"I Don't Ever Give Up"(ストリングスを配したバラード…パティ版"明日に架ける橋"か!?)に代表される確かなポジティヴィティを持って、リスナーの心を深く打つ。人生に悩んだ時、辛い時の指標にしたい曲もいくつか…。もう少しシンプルなアレンジで聴きたいな、と思える部分があったので敢えて満点にはしなかったが、それでも十分すぎるほどハイ・クオリティである。エミルー・ハリスがゲスト・ヴォーカルでゲスト参加。  (2/17/2007)
 + no.378 +
Patty Griffin/Flaming Red Patty Griffin/Flaming Red
(import CD/1998)

★★★★
  パティ・グリフィンはインターネットをはじめて間もない頃に、中国人のメール友達から教えてもらった。しかし、考えてみればパティは未だに日本版が一度もリリースされたことがないんだ。彼に教えてもらわなければ、まだパティのことを知らなかったかもしれないな。この「Flaming Red」はパティの2枚めにあたるアルバム。これが私の聴いたはじめてのパティのアルバムだった為、個人的には未だに最も印象が強いのだが、パティのカタログを通して聴いてみれば、このアルバムがいかに異質なサウンドか容易に理解できる。といっても、内容が悪いわけではない。これはパティの隠された資質、エレクトリックな面、ハードな面が強調された名盤なのだ。ラウドなギターをフィーチュアして、ダイナミックに疾走するオープニングの"Flaming Red"から、シェリル・クロウをもっとエキセントリックにしたようなロック・チューンが続き、そのどれもがコンパクトにキャッチーに纏められている。ジャンルとジャンルの狭間に埋没しそうなロック・アルバム筆頭だが、逆にいうとジャンルに拘らない独自のスタイルを持っているパティだからこそ作れたアルバムだといえるかもしれない。  (2/23/2007)
「Patty Griffin」
Disc Review Jan, 2004 /
June, 2004
 + no.377 +
Edwin Mccain/Tinsel&Tap Shoes〜Live At The House Of Blues Edwin Mccain
/Tinsel & Tap Shoes:

Live At The House Of Blues
(import DVD+CD)

★★★★
 Edwin Mccainを聴くようになったのは最近ではないが、動くバンドの姿をプロモ・ビデオ以外で見たのはこの作品がはじめてである。90年代後半にアトランティック・レーベルからデビュー。"Solitude"  "I'll Be"  "I Could Not Ask For More"といったヒット曲を飛ばしたが、その後、やはりアルバムのセールス不振が響いたか(2001年の「Far From Over」はビルボード総合チャートで最高位105位)マイナー・レーベル落ち。この「Live At The House Of Blues」は、DRTレーベルからリリースした唯一のアルバム「Scream & Whisper」(2004)に伴うツアーからHouse Of Bluesでのライヴを捉えたDVD。恐らくDVDの音源を抜粋、収録した5曲入CDもボーナスとして付属(但し"Sorry To A Friend"と"Solitude"はCDのみ収録)  バンドはリード・ヴォーカル/アコースティック・ギターのエドウィン・マッケインを中心にラリー・チャニー(リード・ギター)、デイヴ・ハリソン(ドラムス)、クレイグ・シールズ(サックス/キーボード/ウィンド・コントローラー)  そして「Scream & Whisper」から参加したリー・ヘンドリックス(ベース)と、このアルバムからの参加になる(サポート・メンバー?)になるピート・ライリー(ギター/バッキング・ヴォーカル)を加えた6人編成。「Scream & Whisper」と、最新作「Lost In America」(2006)収録曲が全14曲中半数を占める構成であるが、良くも悪くも音楽性が一貫してブレのないEdwin Mccain  古い曲も新しい曲もショウの中で自然な流れを作り出している。飾り気のない男達が、飾り気のないステージで演奏するピュアで混じり気のないアメリカン・ロックなのだが、その予想を上回るプレイヤーとしての卓越したスキルに驚かされた。特に、スタジオCDには十分表現されていない、場面によって強弱を大きく使い分けるエドウィンの熱いヴォーカルと、ラリーの泥臭いフィーリングから煌びやかなパッセージまで多彩な表現をみせるギターは印象に残った。調べてみると、ラリーは70年代に音楽キャリアをスタートしたもはや30年選手(!)とのことで。ロッド・スチュワートのカヴァー"Maggie May"も、ちょいと選曲がベタすぎるのでは…と思いつつ観てみればその説得力のある演奏にやはり脱帽。  (2/23/2007)
 + no.376 +
Edwin Mccain/Lost In America Edwin Mccain/Lost In America
(import CD/2006)

★★★☆
  インディペンデント・レーベルVanguard RecordsよりリリースされたEdwin Mccainの最新作。腰に響く重いビートと、骨太のギター・サウンドを配した変わらずタフでメロディックなアメリカン・ロックを全編に渡って聴かせてくれる。今回はやや甘さを抑え、「Live At House Of Blues」にも収録されていた"My Mystery"に代表されるようにアーシーなロック色がより濃い印象。前作「Scream & Whisper」同様ギタリストのピート・ライリーが単独で書いた曲が1曲あったり、スタン・リンチが共作したアルバム・タイトル曲があったりするが、これも前作に続く参加となるマイア・シャープがエドウィンと共作した3曲のメロディ・センスが光る。全10曲、40分弱という構成が清い。  (2/23/2007)
 + no.375 +
Edwin Mccain/Messenger Edwin Mccain/Messenger
(import CD/1999)

★★★☆
  どのアルバムも平均点以上の内容であるが、逆にこれ!という突出したアルバムがない為、はじめて聴く人にどれか1枚お勧めするのは難しいのだが、迷った末1999年リリースの「Messenger」にしよう。Edwin Mccainの持つ土着的なサウンドに、程よいコマーシャリズムと洗練されたアレンジがマッチして、とても親しみやすい内容になっているから。メロディアスな"Beautiful Life"や"Promise Of You"を筆頭にドラマティックな"Go Be Young"  サラ・エヴァンスも歌ったダイアン・ウォーレン作の"I Could Not Ask For More"  泣きのバラード"Sign On The Door"とエドウィンのエモーショナルな歌唱が映える名曲が多い。マット・シェレティックとノエル・ゴードンのプロデュース。ミックスはボブ・クリアマウンテン。  (2/23/2007)
 + no.374 +
The Heights/Toys And Kings
The Heights/Toys And Kings

(Japanese CD/2007)

★★★★
  素晴らしいデビュー・アルバム。これを読む前に、管理人が運よく体験した来日公演レポを読んでいただきたいのだが、そのライヴで感じられた若さ故の勢い、ハード且つソリッドなギター・サウンド、ポップなメロディ、無骨さといったバンドの魅力がしっかりアルバムに封じ込まれている。まるで20年以上歌い続けているヴェテランのような渋みを持つオウェイン・ギンズバーグのハスキー・ヴォイス、それによって歌われる乾いたメロディは嫌がおうにも"クラシック(ブリティッシュ・ロック)"な空気を発散するが、そのソリッド且つ構築美を備えたギター・サウンドは、明らかにモダンな音楽(と、もしかしたらヘヴィ・メタルも?)を経過したそれで、懐かしくも新しい実にバランスの良い音楽性に結実している。コンパクトにかっちりまとまった楽曲の充実度といい、演奏力の高さといいとても20代前半の新人とは思えない成熟度だ。Cheap Trickが演ってもおかしくないような軽快なポップさを持つ"High As You"に、疾走感のあるハードR&R"Handlebars"と、ボーナス・トラックもとても良い曲なので、日本版がお勧め!  (2/23/2007)
「The Heights」
Live Review(2007)
 + no.373 +
Snow Patrol/Eyes Open Snow Patrol/Eyes Open
(import CD+DVD/2006)

★★★★
  既にチケットを購入していたファンの方にとっては不謹慎ですが、来日公演が延期になったのは最近ファンになった私にとってはラッキーでした。お勧めしてくれた英語の先生によれば、Turin Brakesにちょっと近いかな…とのことだったが、Snow PatrolはTurin Brakesよりもっと曲構成はストレートで、ロック色が濃く、メンバーが最も敬愛しているというU2よりもっとナイーヴで、メロディアスだ。ギャリー・ライトボディの繊細で伸びやかな歌声をフィーチュアし、時にハードに、時に静かに、そして時に荘厳に展開するサウンドは常に体温に近い暖かさがあり、メロディは泣きを帯びている。そのあまりにストレートでナイーヴな音の佇まいには驚かされるほどだが、逆に今こういった音は貴重かも。聴き終えると、何か心のもやもやが消えて、リラックスした気になるものね。4月のライヴが楽しみ!  (2/23/2007)
 + no.372 +
Fall Out Boy/Infinity On High
Fall Out Boy/Infinity On High

(import CD/2007)

★★★★
  ライヴでのパフォーマンスにはどうしても欲求不満の残るFall Out Boyであるが、スタジオ作では実に完成度の高いものを作ってくる。大ヒットした前作「From Under A Cork Tree」に続くこの新作は、演奏力が超一流でなくとも、ソングライティング力とアイディアさえあれば優れたアルバムがつくれるというお手本のようなアルバムだ。しかし、まさか階段を一段抜かしするような、これほど進化した作風になるとは予想もしなかった。「Cork Tree」同様のニール・アヴロンに加え、2曲でベイビーフェイス、1曲でブッチ・ウォーカーをプロデューサーに起用(ブッチはシンガーのパトリック・スタンプとの共同プロデュース)  ブッチ・ウォーカーは、当然のように、FOBとマッチした素晴らしい仕事をしているが、特筆すべきはレーベル・メイトのベイビーフェイスが手がけた"I'm Like A Lawyer With The Way I'm Always Trying To Get You Off(Me & You)"と"Thnks Fr The Mmrs"の2曲だろう。良くも悪くも、個性が強すぎる故ソウル/R&Bアーティストの作品では画一的なサウンドになりがちなプロデューサー・ベイビーフェイスであるが、一見異種格闘技のように思えるFOBとのコラボレーションで、見事なまでに両者の魅力を融合させたサウンドを構築している(特に、ヴォーカル・アレンジにはベイビーフェイスならではの色が)  それ以外にも、リーダー・トラックになった"This Ain't A Race, It's An Arms Race"のように、従来のスピード感、ポップ・センスを受け継ぎつつ、ハッとさせる展開・アレンジを盛り込んだ曲がほとんどで、リピートする毎に新たな発見がある。ピート・ウェンツ独特のひねりの効いた字余り気味の歌詞。そしてそれを親しみやすいメロディへ変えるパトリック、というFOBのアイデンティティを生むプロセスは"Golden Rule"のような美しいバラードでも見事に活かされている。  (2/9/2007)
「Fall Out Boy」
Disc Review Aug, 2006
Live Review(2006)
 + no.371 +
Breathe/Peace Of Mind Breathe/Peace Of Mind
(Japanese CD/1990)

★★★★
  このアルバムを最後に聴いてからもう何年経っているだろうか。久々にこのイギリス出身のトリオの音楽を聴きたくなったのには理由がある。もう音楽業界を引退したものとばかり思っていたBreatheのリード・ヴォーカル、デヴィッド・グラスパーが健在で、My Spaceで新曲を発表しているというニュースをネット友達から聞いたからだ。果たして、Breathe時代と全く変わらぬ伸びやかで透明感のある素晴らしい歌声を聴かせてくれた2007年のデヴィッド。これだけの実力の持ち主が何故シーンから消えてしまったのか…。シングル"Say A Prayer"が最高位21位、"Does She Love That Man?"が34位、アルバムが100位圏外、という結果(何れもビルボード誌)は、あまりに華々しかった1stアルバム「All That Jazz」のチャート・アクションと比較すると寂しいのは確かだが、メロディの充実度、アレンジの完成度、そしてアルバム全体のまとまりをみるとこのアルバムにこそBreatheの本質が明確に表現されていると思えるのだ。土着的な"Mississippi Water"のように、明快な進化の意志を示した曲も収録した高品質AOR/ブルー・アイド・ソウルなのだが、今思うと、音楽の成熟のスピードがファンの期待より早すぎたか?(贅沢な話だけど!)   11曲めの"Without Your Love"という曲が秀逸なメロディを持った隠れた名曲だということに今更ながら気付いた。  (2/19/2007)
 + no.370 +
Breathe/All That Jazz Breathe/All That Jazz
(Japanese CD/1987)
(import CD/1987)

★★★★
  1988年に最高位2位を記録した"Hands To Heaven"  同じく3位を記録した"How Can I Fall?"という2曲の名バラードを含むBreatheのデビュー作にして大ヒットしたデビュー・アルバム。ブルー・アイド・ソウルというよりは、ソウル色、ダンス色を持つAORといった感じで、いってしまえば当時〜1980年代後半のトレンドの音であるのだが、Breatheはソングライティングと歌唱力で頭ひとつ抜きん出ているといってよい。デヴィッド・グラスパーの甘く艶のある歌唱力もそうだが、これだけ陰影のある美しいバラード、アダルトなミディアム・チューンを10代後半〜20代はじめの青年が書いたとは驚異的だ。このアルバムにはジャケット・デザイン、収録曲が異なるバージョンがいくつか存在し、私の所有している日本版CDには1989年に再リリースされ、チャート・トップ10入りを記録したデビュー・シングル"Don't Tell Me Lies"(1985年リリース)が収録されていないが、アメリカ版には日本版に収録されている"For Love Or Money"の代わりに"Don't Tell Me Lies"が収録されている。  (2/23/2007)
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