Music Review
旧譜、新譜問わず、お勧めのCD/DVD作品を紹介します。
新譜(おおよそ3ヶ月以内にリリースされた作品)には
マークがついています。
は管理人のお勧め度で、星5つで最高。
2つで大体平均点と考えてください(
は1/2点)
※2003年9月以前のCDレビューはこちらです
※左にメニューが見えていない方は表紙よりどうぞ

2008年 1月(no.468〜) 
 + no.473 +
The Incredible Casuals/World Championship Songs The Incredible Casuals
/World Championship Songs

(import CD/2007)

★★★★☆
 
  あのNRBQとも交流の深い、アメリカが誇る"最強ローカル・ロック・バンド"Incredible Casualsの長いキャリアにおける初のベスト・アルバム。Casualsは、ライヴを見る前と後ではガラッと評価の変わってしまったバンド。生で見なければこれだけ好きにならなかったと断言できるほど実際の姿と音の印象が強烈だったので、CDでバンドの良さを伝えるのが常々難しいと感じていたのだが、入門編として絶好のアルバムを出してくれた!  要所で染み出す古典的ブリティッシュ・ロックのエッセンス。時にポップで時にハードで、個性的な4人のメンバーが持つ多彩な音楽性を披露しながら、しかし全体的には軽快なロックンロールに仕上げている…そんなCasualsの"奥深いけど親しみやすい"音楽センスがこのアルバムにはギュっと詰まっている。1981年のデビュー・シングル"Money Won't Buy You Hapiness"が収録されていないのはかなり残念だが、各アルバムの曲がバランスよく選曲されており、また「Let's Go Summer Fun Maxi-EP」(1982)の曲や、同年にリリースされたシングル"Picnic Ape"といったCD未発表曲も収録され、マニアへのアピールも抜かりない。ああ、また来日してくれないかなあ…。  (1/25/2008)
「The Incredible Casuals」
Live Review(2006) /
Disc Review(2006)
 + no.473 +
 Karla Bonoff/Live Karla Bonoff/Live
(import CD/2007)

★★★★★
 
  何と!こんなものが昨年ひっそりとリリースされていたとは。ライヴ・レコーディングとはいえ、ソロ・アルバムとしては何と1988年の「New World」以来19年ぶりとなるカーラ・ボノフの新作である。2004年にカリフォルニア州サンタ・バーバラで収録された音源で、同名映画のサウンドトラックの為録音された未発表曲"Baja Oklahoma"のみ2005年、東京の"Duo Exchange"(行きたかったんだよなー・涙)における録音。ケニー・エドワーズ(ギター、ベース、マンドリン、チェロ、ヴォーカル)、ニーナ・ガーバー(ギター)、スコット・バーコック(ドラムス、ヴォーカル)というシンプルな編成のバンドによって全21曲(2枚組CD)、カーラの代表曲が静かに、ある意味淡々と演奏されてゆく。が、これが本当に素晴らしいのだ。そのソロ・キャリアのスタート時既に完成されたスタイルを披露していたカーラ故、50代の現在と過去が自然に繋がるのはある意味当然なのかもないが、楽曲の良さを引き立たせる"これぞ"というアレンジの上でその20代の頃と全く変わらぬ美声が舞う様は、上手な歳のとりかたしているな〜と感嘆せずにいられない。老成と成熟とは似て非なるものだが、ここでのカーラは成熟した音楽の理想的なかたちを披露している。やはり"Personally"や"Just Walk Away"は演らないんだな、とか新曲が"What About Joanne"(カーラとマーク・ゴールデンバーグの共作)1曲だけとはちょっと寂しいな、とか挙げれば不満もあるが、それも微々たるもので、全編カーラの生んできたクラシックの数々に圧倒される。  (1/19/2008)
 + no.472 +
  Mozella/I Will
(import CD/2006)

★★★★
  ジュード・コールがプロデュースしていると聞いて慌てて取り寄せた、デトロイト出身の女性SSW の1stフル・アルバム。2003年にマーヴェリック・レコードと契約して2005年に「Mozella EP」をリリース(管理人未聴)  それから更に2年の月日を経て満を持しての本格デビューというわけだが、なるほど、その内容は時間をかけただけのことはあるハイ・クオリティの作品集になっている。アラニス・モリセットのそれを線を細くして、滑らかにしたようなヴォーカル…と、アラニスを比較対象に出したのはマーヴェリックだからというわけではないが、音楽そのものはMozella独特のスタイルを既に確立しつつある。シンセサイザーを駆使したダンサブルなベーシック・トラックに、オーガニックなギターと歌い上げるヴォーカルを載せる手法は新しくはないが、Mozellaの強みはかなりリズムが強調されたバッキングでも、その繊細で哀感ある歌メロがまず伝わってくるということだ。アルバム全体のトーンは"Light Years Away"のようなアコースティック・バラードも含め落ち着いたトーンで統一され、その格調高さはとても20代半ばとは思えないほど(「Mozella EP」の時23才だったそうですから、今25才前後かな)  ジュードは2曲の作曲で共作している他、ギター、ベース、キーボード、シンセサイザーと全面サポートしているが、リンゼイ・パガーノのデビュー・アルバム(2001)に通じる、"テクノロジーを多用しつつ温かみのある音をつくる"ジュードのディレクションがここでも非常に活きていると感じる。  (12/22/2007)
 + no.471 +
Heart/Dreamboat Annie Live(DVD)
Heart/Dreamboat Annie Live
(import DVD/2007)

★★★★☆
    改めてじっくり聴いてみて、Heartの1stアルバム「Dreamboat Annie」(1976)の完成度の高さに感嘆。数多くの印象的なリフに彩られたハード・ロックに、いかにも70年代的な大らかさを湛えた土着的なロック。そして意匠を凝らしたプログレッシヴ・ロック的要素まで。これは昨年4月17日にLAで行われた「Dreamboat Annie」のアルバムまるまる再現ライヴ。ストックホルムからこのライヴの為に呼び寄せたストリングス・セクションも配したバンドは、アルバムのもつ多様性を盤面に刻まれたそれよりダイナミックに再現しながら、且つLPが持っていたA面、B面それぞれの質感の違いも表現し、実に説得力のあるリメイク作品に仕上げている。アンコールでは、"Mistral Wind、"昨年リリースされたアン・ウイルソンのソロ・アルバムに収録されたPink Floydの"Goodbye Blue Sky"、お家芸であるLed Zeppelinの"Black Dog"と"Misty Mountain Hop"、The Whoの"Love, Reign O'er Me"をプレイ。容貌はすっかり変わってしまったものの相変わらず声量十分のアンのヴォーカルも凄いが、特筆すべきはナンシーのカッコ良さで、アンと対照的に全く変わらぬスリム体形で、しなやかに動きながらギターを掻き鳴らす姿はカッコいいとしかいいようがない。オープニングに、デビュー当時のことについて回想するアンとナンシー、そして70年代に「Dreamboat Annie」をはじめHeartの諸作品をプロデュースしたプロデューサー: マイク・フリッカーのコメントが収録されているが、30年以上前に女性ハード・ロッカーの先駆者として"基礎"を作り上げた姉妹による言葉には実に重みがある。  (1/5/2008)
「Heart」
Disc Review(2004) / Music Review(2007)

「Ann Wilson」
Muisc Review(2007)
 + no.470 +
Rock And Hide/Under The Volcano Rock And Hyde/Under The Volcano
(Japanese CD/1987)

★★★☆
  Rock And Hydeは、1979年の終わりから80年代の半ばにかけてPayola$(管理人未聴)というバンドで活躍したカナダ人のボブ・ロックとポール・ハイドが結成したいわばPayolaの再編成的プロジェクトである。ボブ・ロックといえば今では押しも押されぬ大プロデューサーだが、この「Under The Volcano」はボブがエンジニアを務めたBon Joviのモンスター・アルバム「Slippery When Wet」(1986)  「New Jersey」(1988)をプロデュースしていたブルース・フェアバーンをプロデューサーに迎えている。サウンドは、この顔合わせから予想するより地味だし、音楽性も特徴的で複雑だ。シングル・カットされた"I Will"のように軽快でキャッチーなメロディを備えたポップ・ロックもあるが、ほとんどの収録曲は重厚なシンセサイザー/キーボードに彩られたミディアム〜スロウ・テンポの曲。しかし、それは80年代に全盛であった産業ロック的なフォームとも、ニュー・ウェーヴ的フォームとも異なっている。ハスキーなポールのヴォーカルと、生のバンド・サウンドを骨格に、都会的な洗練されたアレンジを施しながら、牧歌的ともいえるアーシーさも備えたエモーショナルなロック・チューンに仕上がっているのだ。外部ライターの手を借りた2曲を除き、全てボブとポールによって書かれた楽曲は非常にシビアな世界観を持った歌詞がほとんどだが、サウンドは聴いていて沈み込むような重さは希薄で、自然なポップさを備えたメロディを全編で心地よく聴かせてくれる。シングル"Dirty Water"は全米シングル・チャートで健闘。  (1/11/2008)
 + no.469 +
 The Last Goodnight/Poison Kiss
The Last Goodnight/Poison Kiss
(Japanese CD/2007)

★★★★
  クラシック・ソウルへの情景を色濃く描く軽いタッチのキーボードから入るイントロ。そしてタイトなドラム、ピアノが続き、男くささ漂うエモーショナルなヴォーカルを、AORマナーに則ったゴージャスでドラマティックなアレンジで彩ってゆく。このコネチカット州出身の新人バンドが"並の新人でない"ことは1曲めの"Poison Kiss"がスタートして30秒で分った。ロック、ポップ、ソウル、ジャズ、多様な音楽を咀嚼しつつ、洗練されたメロディアス&キャッチーなモダン・アメリカン・ロックに仕上げた手法は、確かにMaroon 5に通じるものがあるが、ヴォーカルの声質とアレンジの重厚さ(キーボーディストが2人。ギターを弾くメンバーも3人いる)もあり、Maroon 5よりもロック色が濃くタフな印象がある。そして良い意味でのサウンドの下世話さが親しみやすさに繋がっている。既に輸入盤市場では話題になっていたバンドであるが、日本版を待って良かった。ボーナス・トラック2曲、特にバラード"Now That You're Gone"がなかなかの出来だし、"Pictures Of You"のプロモ・ビデオもエンハンスド収録されていてお得。ルックスも良い。こりゃ売れるわ。  (12/28/2007)
 + no.468 + 
Status Quo/In Search Of The Fourth Chord  
Status Quo
/In Search Of The Fourth Chord

(import CD/2007)

★★★★
   とても活動歴40年を超えているとは思えない若々しく溌剌としたサウンドに満ちているが、そこには気負いは全く見られない。基本は当然ブギーなのだが、ハード・ブルーズあり、バラードもあり。楽曲はバラエティにとんでおり、そのどれもがキャッチーなメロディと爽快なギター・リフに包まれている。これだけのポップ・センスを備えた名曲群を未だ量産できるのは脅威的だ。自分たちの音楽に対する確信と、経験が生む余裕。自然体というのは、自然体になろうと思って生まれるのではなく、そういった土台があってはじめて身に付くのだという大事なことをQuoは教えてくれている。ライヴで聴いたら気持ちいいだろうなぁ、このアルバムの曲。  (12/22/2007)
 
 「Status Quo」
Music Review(2007)
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