Music Review
旧譜、新譜問わず、お勧めのCD/DVD作品を紹介します。
新譜(おおよそ3ヶ月以内にリリースされた作品)には
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※2003年9月以前のCDレビューはこちらです
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2007年 7月(no.420〜)
 + no.429 +
The Rocket Summer/Do You Feel
The Rocket Summer/Do You Feel
(import CD/2007)

★★★★★
  ロックのアルバムを聴いていて、久々に身体に電気が走るような興奮を覚えた。テキサス州出身の若きマルチ・プレイヤー/シンガー・ソングライター:Rocket Summerことブライス・エイヴァリー、メジャーのIslandに移籍しての第一弾は過去の2枚(The Early Years EP除く)を凌駕する大傑作である。元々、ほとんどのインストゥルメンツを自分ひとりで担うマルチ・プレイヤーでありながら、小さく纏まることなくダイナミックで高揚感溢れるバンド・サウンド的音楽を作る才に長けている人であったが、ここでは前作「Hello, Good Friend」(2005)の基本スタイルはそのままに楽曲、演奏、プロダクションと全ての面で大きくスケール・アップすることに成功している。Andrew W.K.ほどテンションは高くなく、デヴィン・タウンゼントほど綿密でなく、トッド・ラングレンほど陰影に富んだメロディも聴かれないが、しかしブライスにはメリハリのある徹底してキャッチーなメロディを書く才能が秀でており、程よくハードなギター・サウンドと併せて実に普遍性の高い音楽を生んでいるのだ。それにしても、溢れ出る印象的なメロディの波・波・波!  ドラマティックなバラード"Run To You"以外はほとんどアッパーなロック・チューンで攻めるが、楽曲のクオリティの高さは勿論、表現力を増したブライスのヴォーカル、ホーン・セクションのゲストを迎えた多彩なアレンジ等新生面が有機的に働き、オープニングからラストまで全く飽きさせない。ギタリスト、ベーシストを迎えた今のバンド編成でライヴをすることを念頭に置いたブライスの意図が音の端々に感じられるが、レコーディングはあくまで自分自身でするという拘り。これがブライスのアイデンティティに繋がっているのは間違いないだろう。  (7/20/2007)
「The Rocket Summer」
Disc Review(2005)
 + no.428 +
Marshall Crenshaw/On Stage At World Cafe Live
Marshall Crenshaw
/On Stage At World Cafe Live

(import DVD/2007)

★★★★☆
  過去ライヴを見逃したことを最も後悔しているアーティスト。そして最もライヴを観たいアーティストのひとり。マーシャル・クレンショウのキャリア初のライヴDVDである。1stアルバム「Marshall Crenshaw」から、今のところの最新オリジナル作「What's In The Bag?」(2003)まで。更にバディ・ホリーの歌った"Reminiscing"も挟み込んだバラエティに富んだセットが、マーシャルの声と彼の弾くアコースティック・ギターのみによって披露されるワンマン・パフォーマンスである。6年前にリリースされたアコースティック・ライヴ・アルバム「I've Suffered For My Art...Now It's Your Turn」ではマーシャルの他にベーシストとアコーディオン・プレイヤーが居て、というミニマムなバンド編成であったがこれは全くの一人。しかしマーシャルのパフォーマンスをいわゆる"弾き語り"的なものと思っちゃいけませんよ〜。目まぐるしい運指でコードとメロディを同時に弾きながら難易度の高いフレーズを弾き、メロディアスな歌メロを聴かせるマーシャルの技術はまさに"一人バンド"の趣。声には張りがあり「I've Suffered〜」同様ロック的ダイナミズムが全編で漲っているのが何とも素晴らしい。ボーナスとしてマーシャルのインタビューも収録。「アルバムを完成させるのは時間もかかるし、骨も折れる。でも音楽は楽しいからまだ数枚アルバム作るよ」とのマーシャルの言葉に思わず頬が緩む。  (7/20/2007)
 + no.427 +
Marshall Crenshaw/Life's Too Short Marshall Crenshaw/Life's Too Short
(Japanese CD/1991)

★★★★
  マーシャル・クレンショウの代表作としては、完璧なポップ・アルバムといってよい1stアルバム「Marshall Crenshaw」(1982)がやはり頭一つ抜けているが、それ以降の作品にも名作・秀作は数多い。私がマーシャルを知るきっかけになった1991年リリースのこのアルバムも、大きなヒットにはならなかったもののマーシャルのポップ・センスとソングライティングの能力がいかんなく発揮された素晴らしい内容である。マーシャルのカタログ中でも特に"ロックしている"という点では1987年リリースの「Mary Jean & 9 Others」と双璧だが、プロダクションの整合感という点ではこちらが上。プロデューサーのエド・ステイシアムとの相性の良さが伺える。「On Stage At World Cafe Live」でも披露された"Fantastic Planet Of Love"のようなクラシックな雰囲気を持つ曲も良いが、特筆すべきはオープニングの"Better Back Off"  You can't always get what you want〜というRolling Stonesの曲の引用ではじまる歌詞に励まされ、その疾走感あるサウンドと暖かなメロディに心躍らされる(ゲスト参加したピーター・ケイスがハーモニカをプレイ)  まさにマーシャル印が詰め込まれた名曲である。  (7/20/2007)
「Marshall Crenshaw」
Disc Review(2003)
 + no.426 +
Nicolette Larson/Live At The Roxy
Nicolette Larson
/Live At The Roxy

(import CD/1979)

★★★★★
  値段が少々高いのでそのうち買おう…なんて悠長に構えていたら、ライノのハンドメイドによる5000枚限定プレスということを知り慌てて取り寄せた。オリジナルは1979年にリリースされた故ニコレット・ラーソンのライヴ・アルバム。元々はラジオ・プロモーション用に作られたものでオフィシャルには「The Very Best Of Nicolette Larson」(1999)に"French Waltz"と"Baby Don't You Do It"が収録されたことがあるが、完全版のリリースは勿論初。あの名曲だらけの1stアルバムの楽曲がほとんどで、更にアルバムでプレイしていたビリー・ペイン(キーボード)、ポール・バレル(ギター)、アルバート・リー(ギター)、リック・スローサー(ドラムス)、テッド・テンプルマン(バックグラウンド・ヴォーカル)といった卓越した技量を持つミュージシャン達がプレイしている(プレイヤーのクレジットは記載されていないが、サム・クックの"You Send Me"の前にニコレットによるバンド紹介がある)のだから悪かろうはずがないが、更に素晴らしいのが音質で、とても30年近く前のそれとは思えない臨場感のあるクリアな音質で、ちょっとハスキーで愛らしいニコレットのヴォーカルとMC、1970年代後半のLAの空気を伝える朗らかで、そして哀感あるサウンドを堪能できる。オリジナル・アルバムに収録されていないアダム・ミッチェル作の"Clear Light"も素敵のひとこと!  実に嬉しい再プレスだ。  (7/20/2007)
「Nicolette Larson」
Disc Review(2004) /
 Disc Review(2005)
 + no.425 +
Kim Richey/Chinese Boxes
Kim Richey/Chinese Boxes
(import CD/2007)

★★★★★
  リリース前にマイスペースで順次アップされた新曲を聴いて、そのクオリティの高さには驚いていたが、こうして全10曲改めて通して聴くとその幹をなす名曲の連続に圧倒される。そのソロ・デビュー作から前作オリジナル「Rise」まで、常に良質の作品を届けてくれたキムであるが、この新作はキャリア屈指の一枚になるであろう。仄かに陰りのあるメロディの質感は1st、2ndの頃を想起させ、メロディのキャッチーさは「Glimmer」に匹敵。情感に訴えるヴォーカルの魅力を活かすナチュラルな楽曲アレンジが全編で貫かれ、全10曲というコンパクトさも手伝いバラエティさと統一感を同居させることに成功している。音楽性としては、フォーク風味もあり、ポップ色もあり、土着的なカントリー風味も勿論あり分類はもはや無意味だが、前作「Rise」より、より普遍的な音楽の王道のシンガー・ソングライターとして進んでいることがわかる。"Chinese Boxes=からくり箱"なんてちょっと捻ったタイトルがつきながら、メロディも歌詞も実にストレート(歌詞が全てはっきり聞きとれる!)  今これだけ真っ向勝負の音楽スタイルで独自のスタイルを築けるアーティストは希少だ。  (7/14/2007)
「Kim Richey」
Disc Review(2002) / Disc Review(2003) / Music Review(2007)
 + no.424 +
Velvet Revolver/Libertad
Velvet Revolver/Libertad

(Japanese CD/2007)

★★★★
  スコット・ウェイランド(ex.Stone Temple Pilots)、デイヴ・クシュナー(ex.Dave Navarro Band)、スラッシュ、ダフ・マッケイガン、マット・ソーラム(以上ex.Guns N' Roses)、という布陣によるバンド。3年ぶりの2ndアルバム。なかなかいいじゃないの、これ!  スコットの艶のあるヴォーカルの魅力を活かすには、スリージーでシンプルなR&Rよりは、グルーヴィでヘヴィなサウンドと叙情的なメロディを…と常々思っていた私にとっては1stアルバムは楽しみつつもどこか食い足りなさを残す内容であったが、この2ndアルバムでの音楽からは、単にAとBの組み合わせがどうのという短絡的な繋がりでなく、バンドのケミストリーがフルに発揮されたことによる表現力の拡がりがみてとれる。楽曲、スコットのヴォーカル、インストゥルメンツ…トータル面でバラエティを増したバンドの自信は、アルバムの流れを遮ることなく収まったELOのカヴァー"Can't Get It Out Of My Head"にもはっきり表れている。1stアルバム同様、骨格を成しているのはシンプルなR&Rであるのだが、スコットの表現力がぐんとアップしていることもあり、十分メリハリのあるアルバムとして結実している。贅沢を言えば"American Man"のようなメランコリックでキャッチーな曲がもっと聴きたかったかな…。日本版CDのボーナス・エンハンスド・トラックには、アルバムのメイキング映像を収録。そこでの自信に満ちたメンバーの発言を聴いてからCDを聴くべし。  (6/29/2007)
「Velvet Revolver」
Music Review(2004)
 + no.423 +
Lifehouse/Who We Are
Lifehouse/Who We Are
(import CD/2007)

★★★★☆
  ジェイソン・ウェイド率いるトリオのロック・バンド。"You And Me"の大ヒットを生んだ2005年の「Lifehouse」以来2年振りのニュー・アルバム。自分は何の為に音楽をやっているのか…との根本にまで立ち返った「Lifehouse」も音楽的に大きなステップを記したアルバムであったが、本作でのスケール・アップは驚きのひとこと。文句なしに最高傑作である。プロデューサーとして、ソングライターとして過去のアルバム以上に多くに関わったジュード・コールの影響が大きいことは間違いないだろうが、ジェイソンが単独で書いた"Broken"や"Learn You Inside Out"の秀逸なメロディと表情豊かな歌声を聴けば、ジェイソン自身の成長がいかに目覚しいかがわかる。もはやハードに決めるロック・チューンこそ"Disarray"  "The Joke"くらいしかないが、楽曲のバラエティとこの溢れ出る美しいメロディを前にしたら不満は何も出ない。最後に…思えば、昔私はLifehouseについてかなり酷いことを何度か書きました。今更ですが、心よりお詫び申し上げます。ごめんなさい。  (7/6/2007)
「Lifehouse」
Jude Cole(Disco:Related Artists) /
Jude Cole(Disco:Related Artists)
 + no.422 +
Boys Like Girls/Boys Like Girls
Boys Like Girls/Boys Like Girls
(import CD/2007)

★★★
  New Found GloryとCheap Trickを足して2で割ったような1曲めの"The Great Escape"にバンドの音楽性と魅力が凝縮されてるといってよいだろう。ボストン出身の新人5人組(平均年齢21才とのこと)バンドのデビュー・アルバムは、エモ的な疾走感とキャッチーさを持った、普遍的なポップ/ロックだ。マーティン・ジョンソン(ヴォーカル/リズム・ギター)の伸びやかで艶のあるヴォーカルの魅力を活かしたキャッチーでアッパーな楽曲は実に耳に心地よく、全くテンションを落とさず最後まで突き進む。やはり若さゆえ、であろうか。勢いはあってもバラエティに欠ける楽曲群は、繰り返し聴く度単調さが浮かび上がってくるが、大半の楽曲をソングライトするマーティンのメロディ・センスはかなりのものであることが伺えるので今後に期待。プロデューサーはPanic! At the Discoを手掛けたマット・スクワイア。  (7/20/2007)
 + no.421 +
MIKA/Life In Cartoon Screen
MIKA/Life In Cartoon Motion
(Japanese CD/2007)

★★★☆
  既にイギリスでは1stシングル"Grace Kelly"がチャートno.1を記録。メディアからも賛辞を受けている、ベイルート出身のシンガー・ソングライターMIKA(=ミーカ)のデビュー・アルバム。Jellyfish、Ovis、Aslyn(女性だけど)といったポップ・ロック・マスター達を連想させる、雑多なブリティッシュ/アメリカン・ロックの美点を無理なく繋ぎ合わせるソングライターとしての職人的センス。時にフレディ・マーキュリーを連想させる抜群の声量を持った伸びやかな声にフォトジェニックなルックスと、スターになって然るべき資質を備えている人だが、果たしてその音楽が絶対的な個性を持っているかと問われると…?  私がMIKAが影響を受けたアーティストと、MIKAに似ているアーティストをたくさん聴いているのも大きいかもしれないが、残念ながらこれだ!という売りを見つけることができなかった。優れたメロディは多いものの、楽曲のパンチにもやや欠ける。ただ、MIKAはライヴ・パフォーマンスの評価が高く、You Tube等でライヴ映像、PVを見る限りでも華やかなそのビジュアルは鮮烈な印象を与えてくれるので、CDだけでなく実際に見ることによって完成するアーティストなのではないか、という気がしている。  (6/29/2007)
 + no.420 +
Donnie Iris/King Cool Donnie Iris/King Cool
(import CD/1981)

★★★★☆
  60年代終わりから70年代にかけてJaggerz("The Rapper"の大ヒットで知られる)、Wild Cherry("Play That Funky Music"のヒットがあまりに有名)といったメジャー・バンドを渡り歩いたフィラデルフィア出身のロッカー:ドニー・アイリスの「Back On The Streets」(1980)に続くソロ第2作。これは80'sの音楽が好きな人なら是非抑えておくべきアメリカン・ロック/ポップの逸品である。ゴージャスでパワフルでポップでアッパーな、"ダサカッコいい"ドニーのキャラクターを活かした名曲がズラリ。全10曲全てグレイト。後にBon Joviのヒット曲"She Don't Know Me"を書くマーク・アブセクも在籍する専属バンド:Cruisersのメンバーと書いた楽曲群はド・キャッチーなものばかりで、シャウトからエルヴィス・プレスリー風セクシー・ヴォイスを使い分けるドニーの多彩なヴォーカルと、重厚なヴォーカル・ハーモニーはいつ聴いても快感を与えてくれる。Queenの色濃い"Love Is Like A Rock"  ニュー・ウェイヴ風の"Broken Promises"  "King Cool"  50〜60年代色が強い"My Girl"  "Color Me Blue"といった多彩な楽曲を自然な流れで1枚のアルバムに纏め上げたプロデューサーのマーク・アブセクの手腕も見事。"Sweet Merilee"  "Love Is Like A Rock"  "My Girl"と3曲のヒット曲が出て、ソロとしては商業的に最も成功した1枚になった。  (7/14/2007)
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