Music Review
旧譜、新譜問わず、お勧めのCD/DVD作品を紹介します。
新譜(おおよそ3ヶ月以内にリリースされた作品)には
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は管理人のお勧め度で、星5つで最高。
2つで大体平均点と考えてください(
は1/2点)
※2003年9月以前のCDレビューはこちらです
※左にメニューが見えていない方は表紙よりどうぞ

2007年 6月(no.412〜)
 + no.419 +
Saxon/The Saxon Chronickles Saxon/The Saxon Chronickles
(import 2DVDs/2003)

★★★★☆
  まだサマソニさえ1月半後という6月終わりではありますが、今から秋のメタル・フェス「Loud Park」が気になって仕方ない。個人的最大の目当ては26年振り(!)の来日となるSaxonなわけだが、是非彼らにはパワー全快のパフォーマンスでその実力を見せつけ、長きに渡る日本での過小評価を覆して欲しい!  Saxonのその"現役バリバリぶり"は近年の一連のアルバムを聴けば理解できるが、このDVDを併せて見れば、Saxonが90年代に音楽を理想的な形でアップデートさせ、それを現在に至るまで全くパワー・ダウンせずに進化させ続けている事実もはっきり確認できるだろう。普通なら徐々に体力の衰えをみせはじめる時期に、全ての面において加速度的に飛躍を遂げるSaxonの凄まじさ。本編のディスク1は2001年のW:O:A〜Wacken Open Airフェスティバルでのライヴ(97分)と、ビフ・バイフォードのインタビューを収録。ボーナスのディスク2は1995年の「Dogs Of War」アルバムのツアー・ドキュメンタリー(Espjerg Festivalでのライヴから3曲をフル・サイズ収録)、「Wheels Of Steel」(1979)から「Killing Ground」(2001)年までのPVを8曲、テレビ出演の映像集、写真集、雑誌等の記事集、バンド関連のウェブ・サイトへのリンクを収録。先ず何といっても見ものは各時代の曲を安定感抜群のプレイ/パフォーマンスで披露したディスク1のライヴ。もはやそのルックスと表情だけでも目を釘付けにするビフ・バイフォード(vo)とポール・クイン(g)のオリジナル・メンバーの存在感と、2人を刺激し隠れた力を引き出したニブス・カーター(b)とダグ・スカーラット。絶妙な相互作用によって音楽をアップデートさせたヴェテラン・バンドの自信に満ちたヘヴィな音がクラシックからこの時点での最新作「Metalhead」の曲まで全編貫かれている。(フリッツ・ランドウ(dr)も上手い!)  対照的に、ディスク2では昔の垢抜けないバンドの姿をたくさん見ることになるが、これはこれで時代性を感じさせて実に面白い。ああ、まだ内容について書き足りないけど、体裁も凝りまくっているし、ライナー・ノーツも詳しいし"楽しめない部分のない"とにかく素晴らしいパッケージである。  (6/24/2007)
「Saxon」
Disc Review(2004) / Disc Review(2004) / Music Review(2007)
 + no.418 +
Scorpions/Humanity Hour vol.1
Scorpions/Humanity Hour vol.1
(import CD/2007)

★★★★
  これは素晴らしい。楽曲、サウンド、歌詞。過去のScorpionsのイメージを一旦捨て、純粋に1枚のアルバムとして対峙すると、自然体でジャンルを超越して確立した、新たな音楽性が見えてくる。ビリー・コーガン、John 5、ラス・アーウィン、そして前作スタジオ「Unbreakable」(2004)同様Hootersのエリック・バジリアン。この多彩なゲスト・アーティスト陣の人選とその配置は、プロデューサーであるデズモンド・チャイルドの力が大きいことは疑う余地もないが、そのサジェスチョンを受けてこれだけまとまった完成度の高いアルバムをつくるScorpionsの技量には敬服するしかない。特にクラウス・マイネの衰えを知らない艶やかな歌声には改めて感服。泣きメロ、独特のメロディのクサ味、ルドルフ・シェンカーのカミソリ・リフ、スピード・メタルetc.といったScorpionsの過去のメソッドに拘る人には物足りない部分も多いだろうが、パーティ感覚を完全に排除し、重厚な音で普遍的テーマを歌うスケールの大きなハード・ロックには有無をいわせぬ凄みがある。前半ラス・アーウィンがピアノを弾く"The Future Never Dies"で最初のハイライトが生まれるが、後半7曲めの"Love Will Keep Us Alive"からラストのアルバム・タイトル・トラックまでの流れがまた凄い。  (6/22/2007)
「Scorpions」
Disc Review(2004) / Disc Review(2004) /
Live Review(2004)
 + no.417 +
Manic Street Preachers/Send Away The Tigers
Manic Street Preachers
/Send Away The Tigers

(Japanese CD/2007)

★★★★
  ベスト・アルバムの「Forever Delayed」(2002)は良く聴いたが、マニックスのオリジナル・アルバムをじっくり聴いたのは12〜13年ぶりくらかも?  ギャップが長かっただけにこの成熟した音楽から受けるショックは大きく、同時に今まで聴かなかったことへの後悔もした。その音と歌詞からは郷愁も漂わせているのだが、一方で尖った部分もしっかり残す。人生幾度かの苦難を超え、今も心に傷みをかかえている。しかし、もう一度原点に帰ってストレートな音でメッセージを伝えよう…そんな様々な感情が透けて見えるようだ。ラウドなギター・サウンドとちょっと泣きの入ったギター・リフ。ポップ・センス十分の哀愁のメロディ。一歩違えば少々疲れた三十路オヤヂによるおセンチ・ロックになってもおかしくない要素が集まっているが、決してそうならないのはこの自信と確信に満ちたパワフルな音によるものが大きい。どことなくやんちゃさを残したジェームスの張りのある声も爽快だ。とっつきやすくも、突き詰めれば奥深さも見えてくる多面的な音楽は、幅広い世代にアピールすると思う。素晴らしい!  (6/15/2007)
 + no.416 +
Michael Stanley/The Farrago Sessions Michael Stanley
/The Farrago Sessions
(import CD/2006)
★★★☆
  いたたた。昨年リリースされていたアルバムだが、つい最近リリースされていのに気付いてあわてて購入。このサイトでも度々取り上げているオハイオ出身のヴェテラン・ロッカー:マイケル・スタンリーの最新作は、マイケルのフェイバリット・ソングを歌ったカヴァー・アルバムだ。レオン・ラッセル、Human Radio、Beatles、トム・ウェイツ、Temptations、スティーヴ・アール、レイ・チャールズ、Rolling Stones、バディ・ミラー、ルー・リード(の"Sweet Jane"とジャズ・サックス・プレイヤー:ジム・ペッパーの"Wichi Tai To"を合体させたもの)、Drifters、ボブ・ディラン、ジェシ・ウィンチェスターと、60〜70年代の有名曲が中心だが、そのジャンルの幅広さ、アレンジの面白さにはマイケルの拘りを感じる。そしてアルバム全体に流れるサウンドの統一感。60年代終わりから、ソロ〜バンド〜ソロと活動の形態を変え、また様々な流行の移り変わりを見てきたマイケルであるが、その飽くまでロックに拘る姿勢は一貫して変わらなかった。土着的過ぎることもなく、洗練されすぎることもなく常に王道のアメリカン・ロックを追求してきたマイケルの音楽性がこのカヴァー集にもしっかり表現されている。マイケル自身のライナー・ノーツに(70年代にカヴァーした)"Help"がジョン・レノンにこれが私が元々意図していたバージョンだ、と褒められた話が出てくるのに、"Cry Baby Cry"が普通すぎるアレンジだったり、物足りなさを感じる部分もあるにはあるが、ボブ・ディランの"I Want You"のポップなアレンジや、意外性十分のHuman Radioのカヴァー等、マイケルが楽しみながら楽曲の魅力を引き出しているのが良く伝わってくる。  (6/9/2007)
 + no.415 +
Michael Stanley Band/Cabin Fever Michael Stanley Band/Cabin Fever
(import CD/1978)

★★★★
  80年代には、AC/DCやDef Leppardをはじめ数多くのビッグ・バンドのヒット作をプロデュースしたロバート・ジョン・"マット"・ランジをプロデューサーに迎えてウェールズのロックフォード・スタジオとロンドンのウェセックス・スタジオで録音されたアルバム。バンドがこれまで築いたアーシーでタフなアメリカン・ロックに、まだこの時点では大物ではなかったが、既に個性を確立していたマット・ランジ特有のゴージャスでポップ、且つイギリス的なウェット感も備えたサウンドを融合させた1枚だ。今聴くと、流石にそのアレンジの古臭さは否めないが、叙情的なAOR風味、ダンサブルなディスコ風味なども隠し味に加えながら、ポップでコマーシャルに仕上げたロック・サウンドは実に親しみやすく、各楽曲のクオリティも実に高い。特にドラマティックなバラード"Why Should Love Be This way"は名曲。当時きちんとプロモーションされていればアルバム共々もっとヒットした筈だ。歴史のみならずロック史を見渡しても他に類をみない音楽性の、しかし普遍性をしっかり備えた隠れた傑作である。  (6/15/2007)
 + no.414 +
Michael Stanley Band/Greatest Hints Michael Stanley Band/Greatest Hints
(import CD/1979)

★★★☆
  「Cabin Fever」とこの「Greatest Hints」がMSBがアリスタ・レーベルよりリリースされた唯一のアルバムである。どちらも予算をかけしっかりプロデュースされた内容であったにも関わらず、ヒットとは程遠い(「Cabin Fever」が最高位99位。「Greatest Hints」が148位  ※ビルボード誌)結果に終わってしまったのだが、実験的な音の中に、80年代に開花するMSB流ハートランド・ロックの原型が詰まったクオリティの高いアルバムであることは間違いない。このアルバムから、ベーシストのマイケル・ギズモンディと、次作「Heartland」で自身の書いた"He Can't Love You"をバンド初の大ヒットに導くキーボーディスト/ヴォーカリスト:ケヴィン・ラレイ(最近知ったのだがケヴィンは1952年生まれとのこと)が加入。バンドには既にキーボーディストのボブ・ベランダーが在籍していた為、ツイン・キーボード編成となるが、キーボードのフィーチュア度は「Cabin Fever」よりむしろ少なめ。ディヴィッド・ボウイ、Air Sipply、等のプロデュースで知られるハリー・マスリンをプロデューサーに迎え、ハリウッドのゴールデン・サウンド・スタジオで録音された本作は、前作よりずっとアメリカンなストレートなサウンドで、叙情味は抑え目。ポップで軽快な要素が強い。「Heartland」からそのヴォーカリストとしての能力を遺憾なく発揮するケヴィンは、このアルバムではまだリード・ヴォーカルをとっておらず、バックグラウンド・ヴォーカルのみだが、自身作曲の"Promises"をはじめ、そのメロディ・センスと美声は随所で活かされている。"Back In My Arms Again"はThe Supremesがオリジナルの60'sの名曲のカヴァー。  (6/15/2007)
「Michael Stanley」
Disc Review(2003) / Disc Review(2005)
「Michael Stanley Band」
Disc Review(2003) / Disc Review(2004) / Music Review(2007)
 + no.413 +
REO Speedwagon/Find Your Own Way Home
REO Speedwagon
/Find Your Own Way Home

(import CD/2007)

★★★☆
  オリジナル・アルバムとしては1996年の「Building The Bridge」以来11年ぶり…なんだけど、その音からは長いブランクの跡も、レイドバックした空気も全く感じられない。この「Building The Bridge」を優に上回る音の張りとパワフルさは、休むことなく続けているツアーの賜物であろうか。衰えぬ筋肉量。ライヴで助走をつけ(演奏され)、ファンの反応をみてアレンジされた楽曲群は、ヴェテランらしい味わい深いメロディに溢れている。ケヴィンとジム・ピートリックが共作した"Dangerous Combination"をはじめ、「The Earth, A Small Man〜」以前と比較するとメロディのキャッチーさ、サビのインパクトに欠ける曲が多く、アルバム全体としてやや小粒な印象は否めないが、ハードにドライブする"Smilin' In The End"〜歌メロが切ないアルバム・タイトル・トラック〜美しいバラードの"I Needed To Fall"と続くオープニングの3連発はインパクト十分だし、REOらしい爽快感のあるポップ・センス、じんとくる叙情メロディは随所で楽しめる。ケヴィンの溌剌とした歌も昔のままだ。何故かニール・ドーティ(key)がプレイヤーとしてクレジットされているのが"Smilin' In The End"のみで、他の曲ではケビンとアルバムを共同プロデュースしているジョー・バネリ(なんと、あのジノ・ヴァネリのお兄さんとのこと)が鍵盤をプレイしている。  (6/2/2007)
 + no.412 +
REO Speedwagon/The Earth, A Small Man, His Dog And A Chicken REO Speedwagon
/The Earth,A Small Man,
His Dog And A Chicken

(Japanese CD/1990)

★★★★
  1988年にアラン・グラッツアー、翌年にゲイリー・リチラースが脱退。黄金期のREOサウンドの核を一端を担ったオリジナル・メンバーを失い、大きな転換期を迎えたバンドはジェシ・ハームズ(キーボード/バックグラウンド・ヴォーカル)、ブライアン・ヒット(ドラムス/パーカッション)、デイヴ・アマト(リード・ギター/バックグラウンド・ヴォーカル)という3人のメンバーを迎え、新たなステージを迎えた。残念ながら、このアルバムは1stシングル"My Love Is A Rock"が小ヒットを記録したのみで終わってしまったが、その内容は80年代に確立した洗練されたポップ・センスを受け継ぎつつ、新メンバーの持ち味を生かしてよりパワフルにナチュラルに音楽性を進化させた、キャリアを代表する傑作であった。半分以上の曲がミディアム〜スロウ・テンポ。さらにオープニングの"My Love Is A Rock"もミディアムの為、即効性こそないが、じっくり耳を傾ければ、その音のヘヴィさ、強靭さはカタログ中随一であることがわかる。サウンド面でこれまでになく腰の据わった重量感を獲得。楽曲面ではケヴィン・クローニンお得意のキャッチーな叙情メロが冴え、またこの1枚のみでバンドを去ることになるジェシが単独で、また共作で作曲センスをみせつけ、楽曲のバラエティを増している。派手はないが、以外にバラエティに富み、ロック色も強い。まさに隠れた名作!  (6/2/2007)
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