Disc Review | |
旧譜、新譜問わず、お勧めのCD/DVD作品を紹介します。 新譜(おおよそ3ヶ月以内にリリースされた作品)には マークがついています。 評価の★は5つで最高。2つで大体平均点と考えてください(☆は1/2点) ※2003年9月以前のCDレビューはこちらです |
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2003年 10月 / 11月 / 12月 2004年 1月 / 2月 / 4月 / 5月 / 6月 / 7月 / 8月 / 9月 / 10月 / 11月 / 12月 |
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2004年 3月(no.63〜) | |
<69>The Outfield /Voices Of Babylon(1989) |
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もし"世界で最も爽快感のあるロック・チューン"というものを1曲選ぶなら、私は真っ先にこのアルバムに収録された"My
Paradise"を挙げるだろう。一度聴いたら忘れない"キャッチーさの塊"のようなメロディ・ラインに、広大な平原を連想させる広がりのあるギター・サウンド。"スティングとジョン・アンダーソン(Yes)を足して2で割ったような…"と評されたトニー・ルイスの伸びやかなヴォーカル。次作「Diamond
Days」(1990)以降かなりブリティッシュ・ロック(特にBeatles)のエッセンスを楽曲に注入し始めた彼らだが、この3rdアルバム「Voices
Of Babylon」ではまだ1st、2ndの流れを汲んだアメリカン・ロックのメインストリームを行く作風を提示している。このバンドの代表作としては、"Your
Love" "All The Love"という2曲の大ヒットを生み、300万枚を超えるセールスを記録したデビュー・アルバム「Play
Deep」が外せないが、アルバム全体のまとまり、サウンドの完成度という点ではこの3rdアルバムがキャリアの頂点であろう。特に、浮遊感のある幻想的なメロディが印象的なオープニングの"Voices
Of Babylon"(1stシングルとしてリリースされ大ヒット)から、2曲めの"My
Paradise" そして3曲めの"Part Of Your Life"と続く流れは秀逸で、何度聴いてもその瑞々しいメロディの洪水には圧倒されてしまう。 1987年頃、Outfieldの3人が雑誌「FM Fan」のインタビューに答えていたのを覚えている。イギリス出身のバンドでありながら、その純アメリカンなサウンドで、新人にしてアメリカでビッグ・ヒットを飛ばしたOutfield。その内容は、2ndアルバム(「Bangin'」(1987年))がリリースされたばかりというのに、既に母国では1stアルバムが廃盤(!)になっていたという驚くべき人気格差の事実であった。アルバム終盤の"Makin' Up"でOutfieldがネタを拝借しているのは、同じくイギリスから出てきてビッグ・アーティストになったDef Leppardの"Pour Some Sugar On Me"だ。しかし、残念ながらOutfieldは未だDef Leppardのような「ワールドワイド」な成功を手中にしてはいない…。 ★★★☆ |
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<68>Jason Mraz /Waiting For My Rocket To Come(2003) |
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きっかけになったのは、MTVでたまたま目にした"The Remedy(I Won't Worry)"の楽しいビデオ・クリップ。考えてみると、ビデオを見てアルバムを買ったのは久し振りかも。生で見たジェイソンはすらっとしていて顔も小さくて、そしてトレード・マークのキャップがとても似合っていて。ファン層の多くが若い女の子というのも納得。楽曲、歌の素晴らしさは勿論だけれど、みんなこの典型的ロック・スターとは違う、「隣のお兄ちゃん」的なキャラクターに親しみを覚えているに違いない。生でジェイソンの歌を聴いてしまうと、このアルバムの整合感のあるサウンドは物足りなく感じるけれど、音楽の多様性と実はとても機知に富んだ歌詞(深いです!)を洗練されたアレンジでくるんで、幅広い層にアピールする普遍的なポップ・ソングに仕上げた才能は評価したいと思う。ジェイソンはまだ20代。これから沢山の傑作を作ってくれるはず! ★★★☆ | |
<66>Daryl Hall, John Oates /Private Eyes(1981) |
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「昔僕が影響を受けた曲」とコメントして渋谷O-Eastでジェイソン・ムラーズが歌いだしたのは、Hall&Oatesの1981年の全米no.1ヒット曲"I
Can't Go For That"だった。Hall&Oatesは大好きな私だが、実はこの曲に関してはブライアン・マクナイトのカヴァー・バージョン(アルバム「Brian
Mcknight」(1991)収録)を聴いて初めてその良さに気づいた。深いエモーションを湛えるヴォーカルに、優しいグルーヴ。実に素晴らしい解釈だったと思う。ジェイソンのヴォーカルは勿論ダリル・ホールのそれほど深みは感じさせないし、B・マクナイトほどソウルフルでもないが、それでも堂々たる歌唱で原曲の持つメロディの魅力を堪能させてくれた。会場を埋めたファンの7割方は、オリジナル・バージョンがヒットしていた頃はまだ生まれてもいない世代のように見受けられたけれども…(笑) "I
Can't Go For That"をはじめ"Private Eyes" "Did
It In A Minute" "Your Imagination"とヒットが続いた「Private
Eyes」はHall&Oatesの全盛期の代表作の一枚。当時のふたりの日の出の勢いが伺える隙のない傑作だ。 ★★★★☆ |
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<65>Lauren Christy/Lauren Christy (1994) |
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ジェイソン・ムラーズのヒット曲"The Remedy"にジェイソンと共に作者としてクレジットされているローレン・クリスティと旦那さんのグレアム・エドワーズ、そしてスコット・スポックの3人はThe Matrixというプロジェクト名で、多くの大物アーティスト(アヴリル・ラヴィーン、クリスティーナ・アギレラ 他)の作曲・プロデュースに関わっている話題の人たち。イギリス出身のローレン・クリスティは、元々シンガー・ソングライターとして活躍していたきれいなおねえさま。映画「薔薇の素顔」のメイン・テーマ曲"The Color Of The Night"を含むこのデビュー・アルバムが、日本盤もリリースされていたという事実を知る人は少ないかもしれない。いかにも映画のサウンドトラックといった感じのドラマティックなバラード"The Color Of The Night"を初めとして、透明感のあるローレンの美しいヴォーカルをフィーチュアしたポップ・ソングが詰め込まれた佳作だ。個人的にはTr.3の"You Read Me Wrong"のキャッチーなセンスがとても好きです。この3年後、ローレンは2ndアルバム「Breed」(日本未発売)をリリースするが、これがアラニス・モリセットとへザー・ノヴァを足して2で割ったような没個性的な音楽性のアルバムで、大して話題にもならず、いつの間にか表舞台から姿を消してしまうのである。しかし、この才能をシーンは放っておかず、「裏方」として大成功! 良かった、良かった。でも、クリスティ自身のアルバムも聴いてみたいなあ。なにせ、これだけ歌える人なんだから。 ★★☆ | |
<64>Billy Mann/Billy Mann (import・1995) |
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ジェイソン・ムラーズの曲を初めて聴いた時に真っ先に連想したのが、このビリー・マンというアーティストだ。R&Bをベースにしながら、アコースティックなセンスを随所で活かした音楽性に、ハイ・トーンもらくらくこなすソウルフルなヴォーカル。(確かこの人には、階段の踊り場で弾き語りをしているところをレコード会社の人にスカウトされた、というエピソードがデビュー時に話題になっていたような…) このセルフ・タイトルのアルバムはビリーのデビュー作。"Tossing Pennies(In A Well)" "Killed By A Flower" "Turn Down The World"と続くオープニングの名曲3連発が凄いが、他にもバラードの"Won't Let You Go"など聴きどころは多い。この人もめちゃくちゃ歌が上手いんだよなあ。いつしか名前を聞かなくなってしまったビリーだが、ローレン・クリスティ同様、近年「裏方さん」として超のつくビッグ・アーティストに! ジェシカ・アンドリュース、アマンダ・マーシャル、マルティナ・マクブライド、Pink…関わったアーティストには大物の名前がずらりと並ぶ。ビリーはHall&Oatesの最新作「Do It For Love」(2003)にもギターとソングライティングでゲスト参加している。これでジェイソン・ムラーズ、Hall&Oates、ビリー・マンの3アーティストが1本の線で繋がった!(笑) ★★★★ | |
<63>Indigo Girls /All That We Let In(2004) |
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前作「Become You」がIndigo Girls史上最高作といってもよい素晴らしい内容(特にメロディの充実度が凄い!)だったので、流石にあれを超えるものをつくるのは難しいだろう…なんて考えていましたが、いやはや、またやってくれました。このニュー・アルバムも「Nomads,
Indians, Saints」 「Rites Of Passage」 「Become You」といったアルバムと並んで、IGの代表作として語り継がれることになるだろう。"Heartache
For Everyone"(エイミー作)のような性急なスカ・ビートを取り入れたやや異色の試みもあるものの、全体的には「Become
You」同様、エイミーとエミリーの優しく、エモーショナルなうたをピーター・コリンズが的確にプロデューシングしたアコースティックなサウンドで統一されている。そしてミックスは巨匠ボブ・クリアマウンテンですもん。心地良い筈です! 最も印象に残った曲はエミリー作のスロー・チューン"Free
In You" Love is just like breathing when it's trueというフレーズを聞いて、改めてエミリーって素敵だなあと思いました。IGならではの透明感あるコーラス・ハーモニーが映える"Rise
Up"で終わる構成も秀逸。限定版についているDVDには、「All That We Let
In」から4曲と、"Galileo" "Kid Fears"の全6曲を収録したライヴ映像を収録。これも必見! ★★★★☆ ※「All That We Let In」の日本盤はエピック・ソニーより4月21日に発売されます。 |
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