Disc Review
旧譜、新譜問わず、お勧めのCD/DVD作品を紹介します。
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※2003年9月以前のCDレビューはこちらです
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2004年 10月(no.133〜)
Vanessa Carlton/Harmonium
<139>Vanessa Carlton/Harmonium
(Japanese CD/2004)
★★★☆
  どんな音が最も強く心に響くのか。どんな言葉がもっとも鮮烈に印象に残るのか。ヴァネッサ・カールトンは音の一音一音の大切さを本能で理解している人だと思う。"Thousand Miles"のインパクトがあまりに強すぎたせいか、リンジー・バッキンガムがゲスト参加した先行シングル"White Houses"を聴いたときはかなりインパクト薄に思えたのだが、アルバムを聴いたらその完成度の高さに思わずほぉ〜と溜め息が漏れた。ソングライティング、プレイ、歌唱、全ての面において劇的とまではいかないが、着実な成長が感じられる。1stアルバムのそれほどあからさまでないものの、要所でトーリ・エイモス他のモダンな女性SSWとの共通点がみてとれるが、リンジーに会って「心臓マヒを起こすかと思った」ヴァネッサの本質はあくまでもトラディショナルなアメリカン・ポップスにあるのだ。基本はあくまでも美しいメロディとうた。構築美を持った楽曲は年季の入った音楽ファンに自然に受け入れられ、歌詞はヴァネッサと同世代の女性の共感を呼ぶだろう。2曲め"Who's To Say"のイントロはなんだかU2っぽいなぁなどと思っていると、後半U2の大ヒット曲"Where The Streets Have No Name"(ボーナス・トラック)が飛び出してきたりして(笑)  デビュー作の"Paint It Black"同様ややもすると「ベタ過ぎ」ととらえられないこともない選曲だが、この素直さこそがヴァネッサの良さであり、またその普遍性を生んでいるのだ。ドラマティックな"San Francisco"はQueenのファンあたりにも聴いて欲しい名曲だ。  (10/31/2004)
Michael Stanley Band/Fourth And Ten
<138>Michael Stanley Band
/Fourth And Ten(import CD/1984)

★★★★☆
Michael Stanley And The Resonators/Instant Live
<137>Michael Stanley
And The Resonators
/Instant Live(import CD/2004)

★★★★
Michael Stanley And Friends/MS-Live 2K
<136>Michael Stanley And Friends
/MS-Live 2K(import CD/2004)

★★★
  過去に何度か紹介したオハイオのヴェテラン・ロッカー〜マイケル・スタンリーのライヴが一度に3枚届けられた。
  「Fourth And Ten」はMSBの人気が全盛にあった84年に録音された、バンドにとって2枚目のライヴ作品。ツイン・ヴォーカル、ツイン・ギター、ツイン・キーボード+ドラムス&サックスというこのバンドの特性が活かされた重厚且つ多彩なサウンドが全編に渡って活かされており、80年代のヒット曲、代表曲の数々がよりダイナミックに、よりパワフルに表現されている。本編(全8曲)の音源は、全て90年代にRazor&TieレーベルからリリースされたEMI-America時代のCD(「Heratland」(1080)、「North Coast」(1981)、「MSB」(1982)、「You Can't Fight Fashion」(1984))にボーナス・トラックとして収められており、希少価値という点では低いのだが、こうしてきちんとした形で聴くと格別の味わいだ。更に、嬉しいことに貴重なボーナス・トラックが5曲追加されているのだ。うち4曲は「MSB」アルバム収録曲のデモ・バージョン。"And If You Love Her"という曲は完全な未発表音源と思われる。
  「Instant Live」は今年の6月にマイケルの地元クリーブランドで収録された、彼の今のバンドResonatorsの3枚組ライヴCD。これが凄い。マイケルの70年代初期のソロ・アーティスト時代の曲から、最新ソロ・アルバム「THe Ground」の曲まで、自己のキャリアを網羅した選曲も驚きだが、特筆すべきはケヴィン・ラレイ(キーボード、ヴォーカル)、マイケル・ギズモンディ(べース)というMSBの元メンバー2人を迎え、ある意味"Michael Stanley Band再結成"の様相を呈していることだ。"He Can't Love You"  "Someone Like You"  "When Your Heart Says It's Right"といったMSB時代のケヴィンの持ち曲は勿論、ケヴィンのソロ・アルバムに収録されていた"Moonlight On Water"まで演っているんだからたまらない。「Fourth  And Ten」と比較すると流石にスピード感とダイナミックさで劣っているが、その分ヴェテランらしいタイトなプレイと味わいのあるアレンジで楽しませてくれる。メロディアスでタフなアメリカン・ロック好きの方は是非!
   「MS Live-2K」は1999年のニュー・イヤーズ・イブから2000年1月1日にかけてクリーブランドのOdeonというクラブで録音されたもの。元々はこの日のライヴに参加したファンのみに配布された完全なコレクターズ・アイテムだったのだが、Line Level Musicがオリジナル音源を複製。簡易な紙パッケージも再現し、今回の生産限定リリースが実現した。"Unchained Melody"  "Red House"のカヴァーも含む全10曲収録の本作は、選曲的にはややマニアックで初心者には薦められないが、マイケルのソロ・アルバムの曲、MSB時代の曲からマイケルのプロジェクト・バンドThe Ghost Poetsの"Broken Radio"まで、遊び心十分の演奏が聴いていて楽しい。  (10/31/2004)

Scorpions/Eye To Eye <135>Scorpions/Eye To Eye
(Japanese CD/1999)

★★★★
  先日の来日公演以降、Scorpionsも持っていなかったアルバムを中古で買い集めて聴いとります。この「Eye To Eye」アルバムは、スコピファンの間でも最後に聴くべきアルバムの一枚と見なしている人が多いのでは…というか、好きじゃない人が大多数なのではないかと予想するが、

が。

控え目にいってもこのアルバムは「素晴らしい」 ルドルフ・シェンカーの切り裂きリフ+クラウス・マイネのハイ・トーンが生み出すソリッドなメタル・サウンドこそがスコピであるという人は、オープニング・チューン"Mysterious"のチャカポコしているリズムを聴いただけで「さようなら〜」という感じだろうし、間違ってもこれをスコピの代表作と呼ぶつもりはない。しかし、とにかく曲が良いのだ。ピーター・ウルフ、マーティ・フレデリクセンといった優秀なスタッフをプロデューサー/共同ソングライターとして迎え製作した"HMのワク"に拘らないバラエティに富んだ楽曲は何れも超キャッチーな魅力的なメロディに溢れており、飽きさせるということがない。クラウス・マイネのヴォーカルも、曲調の多彩さに合わせ表情を大きく変え、そのポテンシャルを見せつけている。これだけの実験にトライしながら、全く違和感を感じさせず普遍的なポップ・ソングの名曲を(それもたくさん)生み出したScorpionsの作曲センス、アレンジ・センスはもっと評価されて然るべきではないか。ドイツ語で歌った"Du Bist So Schmutzig"を全く自然に聴かせてしまうのも流石スコピといった感じだ。バラード"Obsession"  "A Moment In A Million Years"も文句なしの名曲。ゲストでForeignerのミック・ジョーンズが参加。"Mysterious"の作曲クレジットに名を連ねているJ M Byronというのは昔TOTOに一瞬だけ参加したあの人だろうか?  (10/13/2004)
The Storm/The Storm <134>The Storm/The Storm
(import CD/1991)

★★★☆
  いよいよJourney来日間近、ということで、気分を盛り上げるため様々なJourney&その周辺の音源を聴きあさっている今日この頃ですが、関連アーティストといえばこんなバンドを思い出した。元707のヴォーカリスト、ケヴィン・チャルファントとギタリストのジョッシュ・ラモスがJourneyの黄金期を支えた3人のヴェテラン〜グレッグ・ローリー(ヴォーカル・キーボード)、ロス・ヴァロリー、スティーヴ・スミスと組んだThe Stormのデビュー・アルバム。"グランジ"の嵐が吹き荒れるまさに前夜、1991年にスマッシュ・ヒットした(ここ日本でもFM曲を中心にかなりオンエアされた)"I've Got A Lot To Learn About Love"を初めて聴いたときは、元メンバーが在籍しているとはいえなんとまあJourneyちっくな曲だこととの印象を持ったが、今になって聴いてみるとそうでもない。勿論グレッグが全面的にソングライティングに関わってるのだからして、メロディ、サウンドの随所にJourney的な色が感じられるのは当然なのだが、アルバムを聴き終えた時に残るのは腰の据わった上質のメロディアス・ハード・ロックという印象だ。プロデューサーであるボー・ヒルの重厚且つ独特のエコー感を持ったサウンドは好き嫌いが分かれるところだろうが、この泣きのメロディといい、ケヴィンの力強くも独特の哀感を持った歌唱といい、ビッグなコーラス・ハーモニーといい、ジョッシュの"押し引き"の効いたHR然としたギター・ワークといい…実はJourneyよりも日本人受けする音でしょ、これ(笑) 「Escape」に匹敵とはいわないが、少なくとも私は「Frontiers」よりはこっちだなー。ちょっと実験に色気をみせた"In The Raw"をはじめ数曲弱いが、他は秀逸なメロディを持つ佳曲揃い。1996年にリリースされた2ndアルバムの「Eye Of The Storm」もなかなか良い出来だった(CD無くしちゃいましたが…)  (10/10/2004)
Donny Hathaway/These Songs For You, Live!
<133>Donny Hathaway
/These Songs For You, Live!
(Japanese CD/2004)

★★★★☆
  ダニー・ハサウェイを聴くたびに思う。"プログレッシヴ"とはこういう音楽にこそ使われる言葉なんだろうと。'71年の「Live」  '80年の「In Performance」から寄り集められた7曲に、未発表のライヴ音源を7曲プラスしたいわばダニーの「ライヴ・ベスト」作。恐ろしくタイトなバンド・アンサンブル。そしてダニーの圧倒的なヴォーカル・パフォーマンス。太く伸びやかで、エモーショナルに語りかけるダニーの声は30年という時を越えて聴き手の胸を深く打つ。目を閉じて聴いていると、私のぼろいラジカセでも、目の前で演奏しているような錯覚さえ覚える……大袈裟かも(笑) でも、本当に凄いんだダニー・ハサウェイは。ダニーを知らない人にも、死ぬまでに一曲でいいから彼の歌を聴いて欲しいな。  (10/31/2004)
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