Music Review
旧譜、新譜問わず、お勧めのCD/DVD作品を紹介します。
新譜(おおよそ3ヶ月以内にリリースされた作品)には
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は管理人のお勧め度で、星5つで最高。
2つで大体平均点と考えてください(
は1/2点)
※2003年9月以前のCDレビューはこちらです
※左にメニューが見えていない方は表紙よりどうぞ

2007年 10月(no.443〜) 
 + no.451 +
Suzy Bogguss/Sweet Danger
Suzu Bogguss/Sweet Danger
(import CD/2007)

★★★★
  1989年にアルバム「Somewhere Between」でデビューした、元々はカントリー畑のシンガー・ソングライター。以前から、ある一定の音楽ジャンルに収まって終わるシンガーではないとは思っていたが、こうして"ワク"から飛び出して、新しいフィールドで持ち味を存分に発揮してくれて感激しきり。ここでは、得意としていたアップ・テンポのポップ・カントリーこそ姿を消しているが、随所にジャジーな要素も盛り込んだシンプルなアコースティック・サウンドの上で、哀感溢れるメロディをうっとりさせるような美声で聞かせる。全てが穏やかなミディアム〜スロウ・ナンバーだが、それがスージーのエモーショナルなヴォーカルの魅力を引き立てている。Chicagoのno.1ヒットのカヴァー"If You Leave Me Now"もオリジナルに匹敵するかそれ以上の出来。スージー・ボガスを知らない人は先ずこのアルバムから!と自信を持ってお勧め出来る内容だ。  (10/19/2007)
「Suzy Bogguss」
Disc Review(2005)
 + no.450 +
Vanessa Carlton/Heroes&Thieves
Vanessa Carlton/Heroes & Thieves
(import CD/2007)

★★★★
  「Harmonium」に続く2年ぶりの3rdアルバム。一聴して、例えば1stアルバムの"A Thousand Miles"  2ndの"White Houses"  "San Francisco"のような即効性のあるキラー・チューンに欠けるかな、という印象であったが、聴きこむ毎楽曲の完成度、アルバム全体の完成度とも過去ベストであると実感した。ふとトーリ・エイモスの"A Sorta Fairytale"を連想させるタイトルの"Nolita Fairytale"からスタートするアルバムは、曲毎に大きく表情を変える多彩なアレンジを施された曲が幹をなすが、ピアノをフィーチュアしたその歌メロはどれも実に親しみやすく、ヴァネッサの伸びやかなヴォーカルも相変わらず実に心地が良い。ドラマティックさが過剰になる手前ギリギリのところで押さえているバランス感覚も絶妙で、プログレッシヴでありながら普遍性の高いポップ/ロック・アルバムに仕上げている。ラスト、重いテーマの"More Than This"までスムースに繋げる構成も見事。前作同様パートナーのスティーヴン・ジェンキンス(Third Eye Blind)をメイン・プロデューサーに起用("Spring Street"と"This Time"はリンダ・ぺリーのプロデュース)  "The One"ではスティーヴィー・ニックスをゲストに迎えている。  (10/19/2007)
「Vanessa Carlton」
Disc Review(2004)
 + no.449 +
Annie Lennox/Songs Of Mass Destruction
Annie Lennox
/Songs Of Mass Destruction

(import CD/2007)

★★★★☆
  アニー・レノックスのアルバムにまともに向き合うのは久しぶりだ(前作ソロ「Bare」(2003)は未聴です)  今回はグレン・バラードをプロデューサーに迎えたということで興味を持ち聴いてみたのだが、これがアニーとグレンのコンビネーションが予想以上にマッチした素晴らしい内容であった。まず何よりそのアニー自らでほとんど手がけた楽曲のクオリティの高さに驚かされるが、力強さと包容力を備えたアニーの凄まじいヴォーカルと、それが持つダイナミズム、表現力を完璧に引き出したプロダクションがまた秀逸。もはやEurythmics時代のような時代と併走する音の斬新さは求めるべくもないが、流行も時代も超越したそのアニーの人間としてのスケールが全てを圧倒している。ネルソン・マンデラの46664活動に捧げた"sing"では、今の音楽シーンを代表する23人もの女性シンガーをフィーチュア。適度に洗練された奥行あるサウンドの上で、アニーは力強いメッセージをストレートに投げかける。  (10/19/2007)
 + no.448 +
Joni Mitchell/Shine
Joni Mitchell/Shine
(Japanese CD/2007)

★★★★☆
  5年前に音楽活動を引退し、画家として生きていくことを宣言したジョニが帰ってきた。ここ数年でジョニの音楽にハマった私にとって、リアルタイムで体験できるジョニの音楽はまさに願ってもみなかったプレゼントだが、その内容もブランクと年齢を全く感じさせない、美しいメロディと鋭い表現に彩られた楽曲集だった。"モノ"が違うと重々理解していはいるつもりだが、その時代も流行も超越した個性と力強さには改めて敬服。そのヴォーカルだけは、流石に往年の伸びやかさを失いラフな質感が圧倒しているが、それとて社会派の歌詞によりパワーを加味しているといったら贔屓目に見過ぎだろうか?  厳かで絵的な美しさを持つインストゥルメンタル"One Week Last Summer"でスタートする構成も秀逸で、土着的な"This Place"からエレクトロニックな"Hana"まで、様々な音楽を内包しながら最後までじっくり聴かせる。ジョニが自ら全てのインストゥルメンツをプレイした"Big Yellow Taxi"の再録も、単なるリメイクではないハッとさせるアレンジが施されておりアルバムの流れにも自然にハマっている。素晴らしいのひとこと。  (9/29/2007)
 + no.447 +
Joni Mitchell/Hejira Joni Mitchell/Hejira
(Japanese CD/1976)

★★★★★
  一見地味でインパクトに欠ける感があるが、その実音楽的にはバラエティに富み、キャッチーさも備えている。陰影のあるメロディと謎かけを含む深い歌詞は、敢えて比較するならSteely Danの「Aja」に通じるものがあるが、意外なほどすんなりの世界に入り込めたのは、単に自分の音楽経験値が増したからだろうか?  いや、このアルバム・ジャケットも含め、トータル面で音の旅を演出するジョニ・ミッチェルの個性と能力には言葉では言い表せないような不思議な魅力を備えていると思う。オープニングの"Coyote"  ピックング・ハーモニクスをアクセントに配し、まるで生き物のようなエモーショナルな響きを持ちながら駆け回るジャコ・パストリアスのベースと、それに絶妙に絡みつくジョニの変則チューニング・ギター。そして歌詞の世界を半分語りかけるように響かせるジョニならではのセンス溢れる節回し。この静かな"うねり"  "ひねり"を持つ静的で美しいメロディはアルバム全編で孤高の存在感を放ち、一度ハマりこんだら抜け出せない。"灰色"がこんなに美しい色だったとは!  (9/21/2007)
 + no.446 +
Status Quo/Ain't Complaining Status Quo/Ain't Complaining
(import CD/1988)

★★★★
  既にキャリア40周年を数える英国の超大御所Status Quo。最近、今更ながらはじめて彼らのアルバムを聴いて楽しんでいる。Quoのこの国での過小評価というと尋常でなく大手CDストアでさえQuoのコーナーに5、6枚アルバムが陳列されていれば優秀。数枚あればでかしたもんだ(?)というレベルだが、やはり未だにQUO=ブギー・ロック/ハード・ブギーという印象が根強いのであろうか。しかし、この「Ain't Complaining」はそんな(私も抱いていた)固定観念を一掃するに十分の普遍的魅力を備えた快作である。ひとつ前のアルバム「In The Army Now」(1986)がQuoの代表作の1枚と見なされるのに対し、これは世間では"失敗作"とみなされているようだが、「In The Army Now」で絶妙に統合されていたギター・サウンドとキーボードの洗練されたサウンドが、洗練とポップに傾きすぎて"軟弱"ととられてしまったからだろうか? 確かに、この柔らかなサウンドは70年代に彼らが確立したハードでタフなそれとは程遠いが、"ブギー"というタームに拘りが全くなく、純粋に楽曲の良さを楽しみたい音楽ファンからするとキャッチーでメロディアスな名曲の宝庫なのである("Magic"なんてまるでNew Englandみたい)。メロディに集中したことでルーツのサウンドとは剥離したが、バンドの隠されたメロディ・センスが露になった影の重要作といえるのではないか? まだ、これからQUOを聴き進めていく上で、キャリアにおけるこのアルバムの別の側面が見えてくると思うが、はっきりしているのはこのアルバムが整合性のある優れたメロディック・ロックであるということだ。やや装飾過多気味のアレンジ、いかにも80年代なスネア・サウンド等気にならないこともないが、曲が良いので大した問題ではない。いやーしかし、QuoはKinksやStonesを後回しにしてももっと早く聴くべきだったよ!(sumaさんに感謝!)  (10/6/2007)
 + no.445 +
Status Quo/Back To Back Status Quo/Back To Back
(import CD/1983)

★★★★
  このアルバムを最後にオリジナル・メンバーのアラン・ランカスター(ベース/ヴォーカル)が脱退。バンドは翌1984年にフェアウェル・ツアーを行って解散する。といっても翌1985年には主催者ボブ・ゲルドフの依頼でライヴ・エイドに出演、1986年にはアルバムのリリースと、完全に活動を止めてしまった時期はなかったのであるが。そのアランが置き土産に残したキャッチーで快活な"Ol' Rag Blues"(ヴォーカルはフランシス・ロッシとリック・パーフィットが分け合っている)  エルヴィス・プレスリーのカヴァー"A Mess Of Blues"  フランシスの繊細なメロディ・センスが発揮されたバラード"Too Close To The Ground"  産業ロックよりの豪快な ハード・ロック"No Contract"  フランシス以外のメンバーはアルバムに収録することを拒んだが、シングルカットもされ大ヒットしたポップな"Marguerita Time"と、バラエティに富んだ楽曲が収録されている反面、やや散漫に感じる部分もなくはないが、何しろ楽曲のクオリティが粒ぞろいのため内容は実に濃い。購入するなら昨年リリースされたボーナス・トラック入りバージョンをどうぞ。  (10/13/2007)
 + no.444 +
The Kinks/Think Visual The Kinks/Think Visual
(import CD/1987)

★★★★
  Kinksというのは私にとっては少々微妙な存在のバンドで、好きな曲(アルバム)と嫌いな曲の差が極端に分かれている。全然Kinksのことを分かっちゃいないのでは?と言われるかもしれないが、好きでないアルバムは数回聴いてすぐ売り払ってしまったほど(汗) 逆にいえば、その時代ごと、アルバムごとに大きく変化を遂げてきたKinksの性格が、アルバムごとにリスナーを選ぶのは当然といえるのだが、時代性も伴い、コンセブト重視でレイ・ディヴィスのプログレッシブ(といってもサウンドの観点ではない)なセンスが前面に出た70年代のArista、80年代のMCA時代のアルバムはストレートで実に分りやすい内容のものが多い。80年代のアルバムだと、大ヒット・シングル"Come Dancing"を収録した「State Of Confusion」(1983)の名前がまず挙がるが、私はスタジオ作としてはトータル面でのバランスの良さ、そして勿論楽曲の良さでこの「Think Visual」をお勧めしたい。レイのほろ苦い歌声が映えるミディアムの"Lost And Found"  シングル・カットもされたメロディアスな"How Are You"  抜群にノリのよい"Think Visual"  そしてレイのミュージシャンとしてのスタンス…というよりポリシーそのものが詰まった名曲"Working At The Factory"  ソリッドで適度に洗練されたプロダクションも心地よく、今聴いても新鮮だ。  (10/13/2007)
 + no.443 +
Cheap Trick/Cheap Trick97 Cheap Trick/Cheap Trick
(Japanese CD/1997)

★★★★★
  Cheap Trickというのは、ストレートにロックすることの素晴らしさと難しさ、そして"継続は力なり"との言葉を体現しているバンドだ。そして同時にその真っ正直さ故に最も誤解されているロック・バンドともいえるかもしれない。リリースから早10年を迎えた1997年リリースのこのアルバム。そのささくれ立って重いギター・サウンドとポップながら陰りも帯びたメロディは、グランジとの接触を指摘されたが、これは実際はこの時代の音がCheap Trickが血肉として持っていた音楽性・サウンドに近づいたといった方が適切であろう。80年代に外部ライターを使いサウンドの洗練化を推し進めたのとは分けて考えた方が良い。追い風に武器を持って突き進んだのが80年代〜90年代初頭なら、追い風に乗って本来の持ち味と経験を遺憾なく披露したのが90年代半ば以降であったのだ。Cheap Trickのへヴィ・サイドが強調された1枚として知られているが、一方でアコースティック・ギターが上手く活用されたメリハリの効いた作風が印象的なアルバムでもある。名曲満載。新しいより、決して古くならないことの方が本当は凄いことなんじゃないかな。  (10/13/2007)
「Cheap Trick」
Cheap Trick / Disc Review(2003)
Disc Review(2006) /
Disc Review(2006)
 
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