Disc Review
旧譜、新譜問わず、お勧めのCD/DVD作品を紹介します。
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※2003年9月以前のCDレビューはこちらです
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2004年 9月(no.123〜)
Tears For Fears/Everybody Loves A Happy Ending <132>Tears For Fears
/Everybody Loves A Happy Ending
(import CD/2004)
★★★★
  嫌だな、年をとるって。嫌だな、素直さを失うのって。
  そしてローランドとカートが再び手を組んだ。正直、最初は何かと分析してしまった。詮索してしまった。タイトルが全てを語っているが、それにしても、これほどポジティヴなエネルギーを発散してアルバムがスタートするのはTFFのキャリア上初めてのことだろう。全体的な雰囲気も明るい。Beatlesサウンドを基調にした広がりのあるサウンドはどこまでも瑞々しく、心地良いことこの上ない。このクセの無い曲構成とメロディは、カートのAeroplaneやMayfieldに通じるものがある…なんて思っていたらそのMayfieldに参加していたチャールトン・ぺタスがソングライター、プロデューサーとして多大な貢献をしていた。昔あまりにアルバムを聴きこんだバンドだけに、流れで考えるとこの方向性には言いたい事も色々出てくるのだが……やめた。だって一枚のアルバムとして考えれば素晴らしい出来なんだもの。たまには何も考えずに"音"に浸るのもいいものだ。  (10/4/2004)
Mayfield/Mayfield <131>Mayfield/Mayfield
(import CD/1998)

★★★☆
  某ネット友達から、Kyotaさんは音楽を聴くときにヴォーカルをかなり重要視するよね、と言われたことがある。確かに自分の文章は人よりヴォーカルについて触れている部分が多いかも……でも、特に私ヴォーカル偏重主義というわけではないんですけど……。私、自分自身のこもった声が大嫌いなので、きっと無意識のうちに自分の持っていないもの、正反対のものを求めているんだね(苦笑)
  そんな私の声と対極に位置する、艶やかで伸びのある声を持ったカート・スミスのヴォーカルの魅力が最高に発揮された一枚。バンド・メンバーにラス・アーウィンの名前を見つけたのにも驚いたが、そのクオリティにはもっと驚かされた。なにしろ楽曲が粒ぞろい。美しいメロディに満ちたサウンドからは、カートの信念と自信が伝わってくる。これを聴いて、カートの才能を見直した人多いんじゃないかな。  (10/8/2004)
Russ Irwin(Japanese) <130>Russ Irwin/Russ Irwin
(CD/1991)

★★★☆
Russ Irwin(import) ※上のジャケットが日本盤
下がアメリカ盤
  ラス・アーウィン。ご存じない方がほとんどだろう。しかし1990年代末以降、近年のAerosmithやスティングのライヴでフィーチュアされているサポートのキーボーディスト……と言えば、ああ、あの!と顔が思い浮かぶ人もいるのではないだろうか。現在はセッション・キーボーディスト/バック・ヴォーカリストとして、様々なトップ・アーティストから引く手あまたなラスであるが、キャリアのスタートはソロのシンガー・ソングライターであったのだ。↑のジャケットを見ても分かるように、日本ではその美形なルックスをフィーチュアした"アイドル路線"を狙っていたようだが、内容は非常に完成度の高い、年齢(当時23才)を考えると"老成"しているとさえ思える部分もあるAOR〜ポップ・アルバムだ。ホリー・ナイトとグレゴリー・ダーリングが書いた1曲めの"Don't Like The Way You Look At My Love"(1stシングルとしてリリースされたが、この曲だけアルバムからやや浮いている)  ラスとランディ・グッドラムが共作した泣きのバラード"She's Part Of Me"を除いて、他の8曲は全てラス一人で書いた曲。ポップな曲からジャズ・テイストの渋い曲まで、ラスのキーボードを中心に据えた完成度の高い楽曲が、名匠フィル・ラモーンのプロデュースによってきっちり統合されている。唯一「若いな〜」と思わせるのが、伸びやかで、しかし時々引きつったような歌いまわしを見せるそのヴォーカル。3rdシングルとしてカットされ、日本のラジオでも流れた軽快なポップ・チューン"Can't Stop Loving You"(マーヴィン・ゲイ&タミー・テレルの大ヒット"You're All I Need To Get By"のフレーズを引用)  ビルボードのシングル・チャートでTop 30に入ったバラード"My Heart Belongs To You"  ラスの切ない歌声とキーボードの響きとのコンビネーションが絶妙な"Alison-Francis"と、"知る人ぞ知る"存在にしておくにはあまりに惜しすぎる名曲が並んでいる。ビリー・ジョエルやジュリアン・レノンといったアーティストが好きな人は勿論、ポップでメロディアスなアメリカン・ロックが好きな人は見つけ次第即ゲット!  しかしこれだけの才能。Mayifieldではいちおうバンドの一員としてアルバムを出したラスだが、いつか自分自身のアルバムをまた作って欲しいもの。いや、絶対作って。お願い!(笑)  (9/19/2004)
Judas Priest/Painkiller <129>Judas Priest/Painkiller
(import CD/1990)

★★★★★
  1990年というと、人生でも最も音楽を聴いていた時期なのだが、このアルバムは完全な後追い。しかしPriestのフェイバリットを挙げるのは難しいな。新たな"ジャンル"が生まれる過程を見せてくれる「Killing Machine」(1978)  「British Steel」(1980)といったアルバムは、時代背景とその楽曲のオリジナリティを考えると偉大としかいい様がないし、へヴィ・メタルのひとつの規範を確立した1980年代前半の「Screaming For Vengeance」(1982)  「Defenders Of Faith」(1984)アルバムの影響力は今更私などが語るに及ばず。個人的思い入れと、アルバム全体の"無駄の無さ"  "構成力"を鑑みて一枚だけ選ぶならこれかな。スラッシュ・メタル等新勢力のHMからの影響をよく指摘されるアルバムであるが、実際はオリジナリティに溢れたPriestサウンド以外の何者でもない。キャリアを通じてアップ・トゥ・デートな音楽の要素を巧みにアルバムに反映させてきたPriestだが、(あからさまにLed Zeppelinの影響を出していた最初期は除いて)2004年の今各アルバムを聴き直してみると、音楽のユニークさが突出している。Priest的なバンドが世の中にゴマンといても、絶対Priestのレベルまで達し得ないのは、元々の"素質"と"変化する意思の高さ"が彼らにはまず及ばないからだ。いや、強力なアイデンティティを備えていたからこそ、普遍性を維持しつつ、また周りから叩かれつつも変化し続けることが出来たというべきだろうか。荘厳なパートのある曲が特に贔屓な私は「Defenders〜」の"The Sentinel"と並んで"A Touch Of Evil"が好きで堪りません。  (9/17/2004)
Slayer/Seasons In The Abyss <128>Slayer/Seasons In The Abyss
(Japanese CD/1990)

★★★★
  同じく1990年にリリースされた名盤。私がメタルを聴くようになったのは1992〜1993年頃なので、このアルバムもやはり後追いだ。Slayerもアルバムを片っ端から所有しているマニアではないけれども、一時期やたらハマって聴きまくっていた。どれか1枚選ぶならこれ。初めて聴いた(Slayerの、そしてスラッシュ系メタルの)アルバムのせいかやたら印象深く、オープニングの激烈な"War Ensemble"から重厚な展開美を見せるラストの"Seasons In The Abyss"まで、1曲1曲が鮮烈に脳に焼き付いている。やっぱり速さと重さのバランスが良いんだよね〜。  (9/17/2004)
Shawn Colvin/Fat City <127>Shawn Colvin/Fat City
(Japanese CD/1992)

★★★★★
  久々にヘッドフォンでこのアルバムを聴いて、あまりの素晴らしさに改めてぶっとんでしまった。あなたがもし女性シンガー・ソングライターのファンなら、繊細で美しいメロディが好きなら、真に心揺さぶる音楽を求めているなら、このアルバムは聴いておかねばならない。90年代型フォーク・ロックの完成形。ショーン・コルヴィンがセールス面で大成功を収めるのは90年代後半になってから〜「A Few Small Repairs」(1996)、「Whole New You」(2001)というアルバムにおいてだが、もし個人的な最高傑作を挙げるなら迷わずこの「Fat City」を選ぶ。シンプルな構造の中に、ショーンならではの独特の歌メロが映える"Tenessee"  ショーンのメロディ・センスここに極まれりという"Round Of Blues"(シングル・カットされヒットを記録)、バラードの"Monopoly"  "I Don't Know Why"をはじめ、ショーンの透き通るような美声と優れたギター・プレイをフルに活かした、バラエティに富んだ名曲がずらりと並ぶ。"Clime On(A Back That's Strong)"に表現されているように、ショーンの楽曲で表現されている主人公は決して幸せに包まれてはいないが、沈んだ中にもひとすじの光を見ている。ただ憂えるのでもなく、全くのポジティヴなのでもない。現状に向き合った上での手のひら大の希望が、私に感動を与えてくれるのだ。 (9/15/2004)
Henry Lee Summer/Way Past Midnight <126>Henry Lee Summer
/Way Past Midnight
(Japanese CD/1991)
★★★☆
  個々の楽曲のインパクトということを考えれば、「ジョン・クーガーちっく」なデビュー・ヒット"I Wish I Had A Girl"をはじめ"Darlin' Danielle Don't"  "Hands On The Radio"と3曲のヒット曲を生んだメジャー第一作「Henry Lee Summer」(1987)だろうし、前作「I've Got Everything」収録の"Hey Baby"(これも全米Top 20ヒットに)ほどのキラー・チューンがないため、地味に感じるかもしれないが、アルバム全体のバランスということを考えればこの「Way Past Midnight」がベストだろう。インディアナ州出身の長身ロッカー・ヘンリー・リー・サマーのメジャー第3弾。小細工なしの豪快でストレートなロックン・ロールを得意とするHLSであるが、本作では曲調の幅も楽曲アレンジも多様化し、アーティストとしての成長を明確に表現した内容になっている。HLSがマイケル・ボルトン、ダイアン・ウォーレンという大物と共作したメロディアスなロック・チューン"Til' Somebody Loves You"(1stシングルとしてリリース)をオープニングに、エイドリアン・ガーヴィッツがソングライティングに名を連ねるポップ・ロック"So Desperately"  HLSが新境地を見せた産業ロック系のドラマティックなバラード"I Don't Want To Live This Lie"(大ヒットしてもおかしくなかった!)  ほのかな哀愁を漂わせるミディアム・テンポ"Low Flying Man"  世間でどんな音楽が流行ろうが、俺はLynyrd Skynyrd、BTO、ボブ・シーガーが好きなんだ、と自らのスタンスを明らかにした"Turn It Up"  エルヴィン・ビショップ1976年の大ヒットのカヴァー"Fooled Around And Fell In Love"(なんとオリジナルでリードvo.をとっていたミッキー・トーマスがコーラスでゲスト参加)  最後を穏やかに締めくくるメッセージ・ソング"Dear Earth"と、バラエティに富んだ名曲・佳曲が揃っている。とっくのとうに廃盤なので(涙)アメリカン・ロック好きの方は、中古レコード店で見つけたらとりあえずゲットしておくべし。このアルバム以降はどんどん活動が地味になっていくHLSであるが、ツアー、レコーディング共精力的に活動を続けている。1999年リリースの2枚組ライヴ・アルバム「Live」もかなりのお勧め。彼のライヴを日本で見ることは今後まずないだろうから…。  (9/11/2004)
Butch Walker/Letters
<125>Butch Walker/Letters
(CD/2004)
★★★★
  「唯一無二」とはブッチ・ウォーカーの為にある言葉なり。そのキャリアを通じて、自分の信じる音楽を追求し続けているブッチが今プロデューサーとして、ソングライターとして各方面で引っぱりだこなのは、決して"時代の音"をつくれるからではなく、アーティストがブッチのパーソナリティと個性に惹かれているからだと私は確信している。1stソロ「Left Of Self Centered」をもう一度聴いてみよう。自らのスタンスを明確に宣言する"My Way" そして、それに続く、ユーモアとちょっぴりの皮肉が込められたロック・チューンの数々も全てが自分自身を切りとっていた。曲調は様々ながら、ラウドなギター・サウンドと、それと鬩ぎあうパワフルなヴォーカルが"その時"のブッチに必要なものだったのだ。レーベルをSony Musicに移籍しての、約2年振りのソロ第2作。正直この変化には"びっくり"した!  先ずはアルバムのジャケット、ブックレットの写真、アーティスト・ロゴをはじめとする'60年代半ば〜'70年代的なデザインが鮮烈だ。CDケース裏の写真を見て、Rolling StonesやKinks、その他様々な名バンドを連想するのは私だけではないだろう。そして勿論サウンドも。Marvelous 3〜1stソロまでのブッチの楽曲は、自分が最も多感な時期に聴いた多くの80年代の音楽に、ほとんど無意識レベルといってもよい90年代的なサウンドをミックスさせたものといってよかった。この2ndアルバムではサウンドも思い切り時代を遡り、60年代、70年代のオールド・スクールな要素満載である。使用されている楽器もメロトロンに、ハモンド・オルガンにムーグ・シンセサイザーと、"あの時代"への明らかな意識がみてとれる。(ゲストでリック・リチャーズも参加) 曲調は"Don't Move"で一瞬「LOSC」的な部分が顔をみせるものの、他はメロウなミディアム・テンポ、バラード調の曲が多く、ギターとシャウト・ヴォーカルが張り合ってダイナミズムを生んでいくこれまでのブッチのお家芸はみられない。どこまでもエモーショナルに、パーソナルで胸打つ歌詞を歌い上げるブッチに呼応し、楽器群も繊細な音を紡いでゆく。しかし何故今このサウンドなのだろう?  私はブッチとほぼ同世代だが、少年〜青年期にあたる80年代は華やかな、色で例えるとパラレルカラーの世界。記憶の薄い70年代は霞がかったセピア色で、郷愁の感がぐっと強まる感じがする。ブッチ本人の言葉を得ないとはっきりしたことはいえないが、今のブッチの心象を表現するのにはこのサウンドが必然だったのだと思う。単に合っている合っていないではない。2004年のブッチ・ウォーカーが生み出すメロウな世界は突き詰めていくと古きよきセピア色のサウンドだったのだろう。しかし、こうやって意のままに装いを変えられる力と勇気を持った人はそう多くないのだ。"ミュージシャン"ブッチ・ウォーカーの宣言が「LOSC」だとしたら、「Letters」は人間ブッチ・ウォーカーの存在証明。キャリアにおける最高傑作でしょう。※輸入版には"Mixtape"と"Don't Move"のPVを収録。日本盤にはPVが収録されない代わりにボーナス・トラックとして"My Best Friend's Magic Girlfriend"を収録しています。 (9/6/2004)
aiko/花風
<124>aiko/花風
(Japanese CD/2004)

★★★
   はいそうです。やっぱりCCCDです。でも買っちゃったよ…欲しいから。新曲はピアノの静かなイントロで始まり、すぐにアップテンポに展開するポップ・ロック・チューン。良いです。aikoの曲を聴く度に、このロックでポップで日本的でアメリカンな独特のセンスがどうしてこうも自然に身についているのか不思議に思う。相変らずメロディ・センスは抜群。カップリングの"洗面所"  "ポニーテール"も素晴らしい出来。  (9/17/2004)
aiko/桜の木の下 <123>aiko/桜の木の下
(Japanese CD/2000)

★★★★★
  私にとってジャンルを超越したBest Of Bestの一枚。完璧という言葉を容易く使いたくはないが、楽曲のクオリティ、演奏・歌唱、アレンジ、歌詞に至るまで全く隙のない凄まじい完成度を誇るポップ/ロック・アルバムだ。どこまで意識的な計算が働いているのかは分からないが、純日本的(=aiko的)なポップ・センス溢れる歌メロと、アメリカンなインスト・パートがaikoの強力無比なヴォーカルによって統合されており、ユニークでありながらも普遍的なオリジナリティ溢れる世界を構築している。この本当の面白さをわかるのは実は洋楽ファンだと思うんだけど…。常に平均点以上の作品を産み出しているアーティストだが、この人は凄い時が「凄すぎる」ので、ファン(というか私)の求める最低レベルも必然的に高くなってしまう(笑)  大好きです。  (10/4/2004)
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