Music Review
旧譜、新譜問わず、お勧めのCD/DVD作品を紹介します。
新譜(おおよそ3ヶ月以内にリリースされた作品)には
マークがついています。
は管理人のお勧め度で、星5つで最高。
2つで大体平均点と考えてください(
は1/2点)
※2003年9月以前のCDレビューはこちらです
※左にメニューが見えていない方は表紙よりどうぞ

2007年 9月(no.435〜)
 + no.442 +
Ann Wilson/Hope & Glory Ann Wilson/Hope & Glory
(import CD/2007)

★★★★
  エルトン・ジョン、ルーファス・ウェインライト、ショーン・コルヴィン、アリスン・クラウス、ディアナ・カーター、ワイノーナ・ジャッド etc.、超豪華ゲスト陣を各曲に贅沢に配したHeartのリード・ヴォーカリスト:アン・ウイルソンのキャリア初のソロ・アルバム。ベン・ミンク(このアルバムにも参加しているK.D.ラングのプロデュースで名高い)と共作したラストの"Little Problems, Little Lies"を除き、全てカヴァー曲である。カヴァーの選曲はメジャーなものもあれば、あまり知られていないものもあり、またアレンジも原曲そのままのものもあれば大きく崩しているものもあり。普遍性を出しつつ、要所で趣味(=自己ルーツ)を滲ませた巧みな構成がヴェテランならではの味だ。しかし、曲調がどちらへ傾こうが衰え知らずの圧倒的歌唱で全編を"ヴォーカリスト"アン・ウイルソンの鮮烈な美意識で染め上げているのが何よりスゴい。エルトン・ジョンが参加した"Where To Now St.Peter?"(エルトン・ジョン初期の隠れた傑作「Tumbleweed Connection」(1971)より)こそ御大エルトンの色が強く出ている(やや遠慮している)感はあるものの、他ではアンの強靭な喉が楽曲を支配。またZepですか、と一瞬思わせつつ、風変りなアレンジでオッ!?と良い意味で予想を裏切る"Immigrant Song"にしろ、地味めの名曲にアンならではの艶っぽさを加味した"Jackson"(ルシンダ・ウイリアムズ作)にしろ、やはりアンは究極の女性ロック・シンガーの一人だなぁと唸らされる表現力に溢れている。中でも、真っ向勝負のシンプルなアレンジで歌い上げたジョン・レノンの"Isolation"の凄まじい歌唱には驚嘆。感涙。ベン・ミンクの意向だろうか、カントリー系のゲストが大半を占めているので、もっとアーシーで落ち着いた内容になっているかと思ったが意外なほどロックしたサウンドになっているのも良かった。ナンシー・ウイルソン、Heartの現ドラマー:ベン・スミス、同じくベーシスト:リック・マークマンも参加。  (9/14/2007)
「Heart」
Disc Review(2004)
/ Music Review(2007)
 + no.441 +
Deana Carter/Did I Shave My Legs For This? Deana Carter
/Did I Shave My Legs For This?

(Japanese CD/1997)

★★★★
  ↑で紹介したアン・ウイルソンの「Hope & Glory」にもゲスト参加しているカントリー/ポップ・シンガー:ディアナ・カーターのデビュー・アルバム。父親がミュージシャン(1950年代から70年代にかけて活躍したセッション・ギタリスト、フレッド・カーターJr.)だったこともあり、幼い頃から音楽に親しんでいたディアナであったが、下積み期間は長く、デビュー時既に30代に足を踏み入れようとしていた。しかし、興隆を極めていた90年代半ばのポップ・カントリー・シーンの中でも1歩抜きんでたクオリティを持つ「Did I Shave My Legs For This?」からはいきなり5曲のヒット(うち2曲〜"Strawberry Wine"と"We Danced Anyway"はメジャー・チャートでもヒット)が生まれ、ディアナはいきなりトップ・アーティストとしての地位を得る。ベースとなっているのは確かにカントリーであるが、ディアナのキュートでちょっと舌っ足らずなヴォーカルをフィーチュアした楽曲群の感触は実にポップ。ジャンルを超越した普遍性を持ちつつ、ディアナ独特の一風変わった歌メロを持っているのがよい。ところで、来月リリースされるディアナの新作「The Chain」も何と「Hope & The Glory」と同じくゲストを多数迎えたカヴァー・アルバムのようだ。  (9/14/2007)
「Deana Carter」
Disc Review(2003)
 + no.440 +
Melee/Devils & Angels
Melee/Devils & Angels
(Japanese CD/2007)

★★★★
  カリフォルニア州出身の4人組バンド。この「Devils & Angels」が2003年のEP「Against The Tide」、2004年の1stフル「Everyday Behavior」に続く、ワーナー・ブラザーズからのメジャー第一弾リリースになる。Hoperess Records在籍。The All-American RejectsやMy Chemical Romanceを手がけたハワード・ベンソンのプロデュース等のデータから推測すると当てが外れるであろう、クラシックなアメリカン・ロックのエッセンスとメソッドをギュっと詰め込んだ音楽性だ。ギタリスト/ピアニストでもあるクリス・クロスの伸びやかで優しいヴォーカルをフィーチュアし、コーラス・ハーモニーをふんだんに盛りこんだ美しいメロディが全編で躍動し、心地よいことこの上ない。その音楽のベースは70年代のウエストコースト・サウンド的であるが、カントリー色は希薄で、ドライさよりは憂いのある叙情味が支配的。またボーナス・トラックでHall & Oatesの大ヒット"You Make My Dreams"をカヴァー(ダリル・ホールの声色は勿論節回しも見事にコピーしているのにびっくり!)しているように多様性とそれを表現する力量も備えているものの、本編ではあまり強く打ち出さず、基本はストレートなロックであるとの意思が感じられる。いってしまえばとりたてて新しい要素はない中庸なサウンドなのだが、クリスの抜群の歌唱力によって歌われるキャッチーなメロディは長く聴き続けられる普遍性な魅力に満ちている。聴いていて、Taxirideを何度か連想した。  (9/7/2007)
 + no.439 +
Mitch Malloy/Ceilings And Walls Mitch Malloy/Ceilings & Walls
(Japanese CD/1994)

★★★★☆
  涼しくなるこれからの季節にぴったり(たぶん)なアルバムをご紹介。ミッチ・マロイは1992年、まさにグランジの波がシーンを席捲しようというその時にデビューしたノース・ダコタ出身のロッカー。1stアルバム「Mitch Malloy」から「飛び込み」で"Anything At All"  "Nobody Wins In This War"という2曲のメジャー・ヒットを飛ばしたが、ゲストにデズモンド・チャイルドを迎えBon Jovi〜ポール・レイン系のドラマティックな産業ロックを演っていたミッチのようなミュージシャンにとっては生き残るのが難しい時代。果たしてミッチが2ndアルバムで提示したのは流行に完全に背を向けたAORサウンドであった。1stアルバムでもメロディに対する意識の高さは伺えたが、クリストファー・ニールをプロデューサーに迎え、ミッチのマイルドなヴォーカルの魅力をフィーチュアした洗練されたサウンドは、"ロック"という言葉を使うのが憚られるほどアダルトな魅力に満ちている。ポール・キャラックとのデュエットでしっとり歌い上げる"Ready To Go Home"(アンドリュー・ゴールドとグレアム・グールドマンの共作曲)、ジェフリー・ウイリアムズとモンロー・ジョーンズ作の"Tumbling Down"(ハーモニカのアレンジがスティーヴィー・ワンダー風)や、ミッチとデニス・モーガンがコラボレイトしたアルバム・タイトル曲、ゴージャスなアレンジの施されたChampaignの大ヒット曲のカヴァー"How 'bout Us"等々、抒情的なバラード〜ミディアムの名曲が満載で、最後まで全く飽きさせない。卓越したミュージシャン達を配した演奏面もハイ・クオリティ。7年後にリリースされた3rdアルバム「Shine」では、再びHR色を濃くしたソリッドな音楽を披露するが、1stアルバムのスタイルに回帰するのでなく、この2ndで確立した叙情メロをシンプルなバンド・サウンドで発展させたような音楽性になっている。  (8/31/2007)
 + no.438 +
The Producers/The Producers/You Make The Heat The Producers
/The Producers/You Make The Heat

(import CD/2000)

★★★★☆
  ジョージア州アトランタ出身のバンド。2000年にリリースされたこの1stアルバムと「The Producers」(1981)と2ndアルバム「You Make The Heat」(1982)をカップリングしたCD。情報を集めていたら、2000年にリリースされて程無くして廃盤になったと知って驚いたが、これは埋もれたままにしておくにはあまりに惜しいアメリカン・ロックの逸品である。ヴァン・テンプル(ギター/ヴォーカル)、ウェイン・フェイマス(キーボード)、ブライアン・ホルムス(ドラムス)、そしてベーシスト/ヴォーカリストのカイル・ヘンダーソン(2ndアルバムのリリース後に脱退。後任としてティム・スミスが加入)  4人の卓越したミュージシャンが披露してくれるのは、徹頭徹尾キャッチーでポップなメロディ。爽快なコーラス・ハーモニー。1st、2nd共トム・ウォーマンをプロデューサーに迎え制作したサウンドは、80年代的な煌びやかで洗練されたアレンジを纏いながらも、実に独特なスタイルを備えている。ニューウェーヴ的センスを持った多彩なリズム。パンク的ともハード・ロック的ともつかない疾走感。いわばこの中庸さが大ヒットに繋がらなかった要因なのかもしれないが、色々詰め込みながらも最後の最後まで心地よさをキープするメロディ・センスが時間を超越した普遍的魅力を持っているのは明らかだ。唯一のメジャー・ヒット曲"What Does She To Me"以外にも素敵な曲が一杯。未だCD化されたことのない3rd「Run For Your Life」(1986)と併せて、また再発してくださいよー!  (9/21/2007)
「The Producers」
Sheryl Crow live review(2002)
 + no.437 +
Molly Hatchet/Flirtin' With Disaster: Live
Molly Hatchet
/Flirtin' With Disaster: Live

(import CD+DVD/2007)

★★★☆
  昨年リリースされた「Live In Hamburg」に続き再びCDとDVDをセットにしたライヴ版。大きな違いは本作がアメリカ・ケンタッキー州で録られた音源であることと、そしてオリジナル・メンバーであり初期の数々の名曲を書いたデイヴ・ハルベック(g)がメンバーとして復帰していることだ! フィル・マコーマックの体形が一層メタボ化を辿っているのも気になるが、それ以上に太って身体が重くなったデイヴは一見して、往年のアグレッシブなサザン・HRを弾きこなせるのかといった趣。しかし、近年の曲をタイトに弾きこなしているのは勿論、ギター・ソロもかなり弾いているのには嬉しくて思わず頬が緩んだ。とはいえ、今のMolly Hatchetの核を成しているのは間違いなくボビー・イングラム(g)とフィル・マコーマックの2人。終始にこやかな表情でバンドを牽引するボビーと、鬚をたくわえ更に貫禄を増したルックスでドスの効いたヴォーカルを轟かすフィルの存在そのものがMolly Hatchetの顔なのだ。それにしても、ライヴの内容はさほど変わらないのに「Live In Hamburg」と比較すると印象がかなり異なるのは、会場のサイズもそうだがファンの年齢層とその反応の違いによるものだろうか。サザン・ハード・ロックのタフでメタリックなイメージが強く伝わってきた野外ライヴの「Hamburg」と比較すると、古風なシアター系の会場で、最近の曲は勿論初期の代表曲でもシートに座ってステージを眺めている年配のファンの姿は、いやがおうにもレイドバックした空気を演出する、の割には特にCDでは"大きすぎる"歓声が気になる…。リラックスして楽しめるけど、Molly Hatchetの本質を知るなら先ずは「Hamburg」から、だね。  (9/1/2007)
 + no.436 +
Molly Hatchet/Beatin' The Odds Molly Hatchet/Beatin' The Odds
(Japanese CD/1980)

★★★
 + no.435 +
Molly Hatchet/Take No Prisoners Molly Hatchet/Take No Prisoners
(import CD/1981)

★★★☆
  1980年、糖尿病の悪化でバンドを離れざるを得なくなったフロントマン、ダニー・ジョー・ブラウンの代わりにジミー・ファーラーが加入。1st、2nd同様、3rd以降ダニーの復帰する5th「No Guts...No Glory」(1983)まで続けてトム・ウォーマンをプロデューサーに迎えたバンドは、基本スタイルを維持しつつも新生面を加味した意欲的なアルバムを出し続ける。元々、他のサザン・ロック・バンドと比較すると楽曲はコンパクトかつキャッチーで、サウンドもHR的なソリッドさを備えつつトムの助力もありポップに聞かせる特徴的なものを確立していたが、そのコマーシャリズムが頂点に達したのがこのジミー・ファーラー在籍時といえるだろう。そのディープな声と男臭いルックスでMolly Hatchetの顔となっていたダニーと比較すると、ジミーの伸びやかなハスキー・ヴォイスはややアクに欠けるのは否めないが、ジミーの器用なヴォーカル・スタイルに同調するように不変性を増したHRは80年代という時代にうまく適応していたと思う。アルバム全体にややアップ・ダウンが欠けており、やや単調なきらいもあるものの、エピックと表現したい壮大なバラード"The Rambler"(全米チャート91位のヒットに)や、現在に至るまでライヴで大切にプレイされているアグレッシブな"Beatin' The Odds"といった代表曲を収録した「Beatin' The Odds」(全米19位)  ポップさが更に増し、楽曲のバラエティも秀逸な「Take No Prisoners」(全米36位)も、Mother's Finestの女性シンガー〜ベイビー・ジーンをフィーチュアしたソウルフルな"Respect Me In The Morning"や、小ヒット(全米96位)を記録したキャッチーな"Power Play"  へヴィ・メタリックといっても良いほどにへヴィ&ファストな"Loss Of Control"等の名曲を収録。ジミーのヴォーカリストとしての器用さが、バンドの潜在能力を引き出した、この時代だからこそ生まれた秀作である。  (9/1/2007)
「Molly Hatchet」
Disc Review(2004) / Disc Review(2006) / Disc Review(2006)
Site Top



SEO [PR] 爆速!無料ブログ 無料ホームページ開設 無料ライブ放送