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1977〜1980

Cheap Trick Cheap Trick(1977)
Produced by Jack Douglas
"Hello There"や"Big Eyes"のメタリックなギター・サウンドに
ヤラれてしまった僕には、すんなり受け入れられたと言うか、
一生付いて行きますと誓いそうになったアルバムでした

マンタロウ

「思春期の少年を狂わせる要素が充分詰まってましたね」
ユタカ
Kyota(以下 K):
記念すべき1977年リリースのデビュー・アルバムです。「パワー・ポップの元祖…」と称されることも多いCTですが、この原点のアルバムを聴くとちょっと違う気がしますね。あと、再発に際してA面、B面が反対になったことでも知られています。私はこのアルバムの良さを理解するのに5年くらいかかりました(^_^;) マンさん、ユタカさんは最初聴いたときどうでしたか?

Yutaka(以下 Y):
僕が初めて聴いたチープのアルバムは、ジョージ・マーティンのプロデュース、ということで興味を持った"All Shook Up"、その次が当時最新だった"Next Possishion.."、で"Dream Police"・・という支離滅裂な順番で聴いていた訳ですが、ファーストアルバムを聴いたのはこの後でした。

当時、渋谷陽一の「サウンドストリート」で「渋谷陽一の墓堀り人リクエスト特集」という「渋谷氏がプッシュしたせいで落ち目になったアーティスト」の数々をリクエストで応える、という自虐的な特集があったのですが、そこで採りあげられたのが"Hot Love"だったんです。
この曲を初めて聴いたときの興奮といったら・・当時高校生だった僕をチープの虜にするには充分のカッコよさでした。

で、翌日中古レコード屋に行き、ファーストアルバムを買ったわけです。(84年頃・・チープは既に終わったバンド、という扱いだったので中古レコード店には全タイトル揃ってましたね。)

なんといっても、このファーストで聴けるノリノリにロックしてて、それでいてちょっとダークな部分もあって・・ロビンのシャウトの向こうで不適な笑みを浮かべるリック・・みたいな構図がサウンドの向こうに見えたような気がします。とにかく思春期の少年を狂わせる要素が充分詰まってましたね。もっとも影響力が強いアルバム、と言ってもよいと思います。

K:
"Hot Love"は1stアルバムの中でも最も"即効性"のある曲でしょうね。私も1stアルバムで最初まず痺れたのがこの曲でした。CTのファンは未だに初期に拘る方も少なくない訳ですが、この"Hot Love"と90年代以降の曲を比較するとそれが理解できないこともないんですよね。"Hot Love"ほど難易度が高く、ユニークでアグレッシブなリフが聴ける曲、CTの曲で他にほとんどないですものね。

<<ロビンのシャウトの向こうで不適な笑みを浮かべるリック・・みたいな構図>>
そうなんですよねー。まさにユタカさんが仰られたこの雰囲気が2ndアルバムでは少し薄れていて…。「In Color」がデビュー・アルバムだったら、CTのその後の歴史はかなり変わっていたかもしれませんね。


マンタロウ(以下 M):
In Colorの次に買ったのがこのアルバムでした。「In Color」の"Hello There"や"Big Eyes"のメタリックなギター・サウンドにヤラれてしまった僕には、すんなり受け入れられたと言うか、一生付いて行きますと誓いそうになったアルバムでした。


K:
高校生の時…80年代終わりにこのデビュー・アルバムをはじめて聴きましたが、当時はこのアルバムに凄く「危険な」匂いを感じていました。メンバーの写真が醸し出すムードといい、サウンドといい、歌詞といい…この何か見てはいけないようなものを見てしまったようなドキドキ感は、何故かCTの他のアルバムからは感じることはありませんでした。

In Color In Color
Produced by Tom Werman
「ジャケットのデザインから収録曲みんな好き」
マンタロウ

「いい曲が一杯だけど、僕もメンバー同様
"サウンド的に最も弱いアルバム"という位置付けかも」
ユタカ

K:
CTを聴きはじめた時は、このアルバムは特に好きな1枚でしたが、実際の彼らのライヴを観たあとでは少々音が軽く感じられて、メンバーが後に録音し直したのも理解できる気がします。楽曲のクオリティは全曲素晴らしいと思います。

Y:
ファーストを聴いたあとだったので"Hello There"で始まって"Big Eyes"のへヴィな感じはよかったんですけど、"Downed"あたりから「あれ・・?前と違うな・・」というミョーに軽いな的な違和感はありましたね。「甘い罠(スタジオ・バージョン)」はラジオで先に聴いていたんですが、あまりの軽さに耳を疑いましたよ。「・・・これがあのチープ?」みたいな・・。でも彼らの楽曲のポップさ、というのが実によく出ていて、ファーストよりも幅広い層に受け入れられたんでしょうね。

いい曲が一杯だけど、僕もメンバー同様「サウンド的に最も弱いアルバム」という位置付けかも。


K:
私は昔は専らCTのポップな部分を愛していたので、このアルバムが大好物、1stと「All Shook Up」は嫌いだったのですが(^_^;) 5年くらいしたら1stの方が好きになってしまいました。一度生でCTのライヴを見ると、このアルバムの音はやや軽く感じますね。

でも"Big Eyes"とか"You're All Talk"あたりは結構パワフル。

M:
My Firstチープトリック・アルバムなので、悪いとこ無しになっちゃうんだよねぇ(^-^; ジャケットのデザインから収録曲みんな好き(サウンドは置いといてなんだけど)軽さもスタジオとライブの違いがあって面白いかなと全面擁護でごめんなさい(^-^) オープニングの"Hello There"は今でもゾクゾクします。

K:
私も高校生の時に64分のカセットテープ(半面に丁度アルバムが1枚収まる(笑))に入れて半年くらい毎日聴き続けていたので、思い入れは凄く強いアルバムです。1stの方が好きといっても100点と98点の違いくらいで(笑) 無駄な曲が1曲もないですよね。"Big Eyes"のシンプルだけどユニークなギター・リフのセンスとか、"So Good To See You"のメロディの秀逸さとか、再評価してほしいなあー
Heaven Tonight Heaven Tonight(1978)
Produced by Tom Werman
「これは、チープトリックの心地良い暗さがあって良いアルバムだね」
マンタロウ

K:
メンバー自身も認める不朽の名盤。個人的には"On Top Of The World"が特に好きです。


M:
これは、チープトリックの心地良い暗さがあって良いアルバムだね。トムが12弦ベースで録音したのはこのアルバムからでした。"Takin' Me Back"が好きだなぁ。In Colorもそうだけど、もうちょっとギター・バンドらしい音で聞きたいかな。

K:
"Takin' Me Back"は、高校生の時このアルバムのフェイバリットでした。CTのメロディ・センスの素晴らしさが良く出ていますよね(^-^)


Y:
このアルバムはトムもお気に入りみたいですね。


K:
そう言ってましたね(^^) ソングライティングでもプレイ面でも、やっと自分の個性を打ち出せたぞ…という意識がトムに強いのかもしれませんね
At Budokan at Budokan(1978)
 
Originally produced by Cheap Trick and Jack Douglas
「バニーさん曰く、このアルバムの音源は
"コンプリート盤のステージに出る前の声"しか
ブドーカンの音源は使ってないらしい」
マンタロウ
K:
ロビンのヴォーカルの修正のされ方が微妙に違ったり、様々なバージョンが存在することで知られています。演奏は粗い部分も目立ちますが、"I Want You To Want Me"のライヴ・アレンジはリックのセンスが炸裂していますね。

M:

あんなに売れたのか不思議なライブ盤ってのが正直な気持ちなんだよねぇ。このアルバムが無ければ、今のチープトリックはなかったかもしれないけど。

K:
おお! マンさんにそう言って頂けるとちょっと安心します。というのも私、普段このアルバムほとんど聴かなくて専ら「Complete」を楽しんでいるので…。私は、最初買ったときジャケットのセンスがどうしても腑に落ちませんでした。長谷部さん、CTの写真ずっと素晴らしいもの山ほど他に撮っているのに…。


M:
バニーさん曰く、このアルバムの音源はコンプリート盤のステージに出る前の声しかブドーカンの音源は使ってないらしい。


K:
ええええ! そうなんですか!? "ステージに出る前の音源だけ"というのが何とも…。メンバーも、重要作と認めてはいてもクオリティには全く満足していなかったんですね…。


M:
ブドーカン評論家の方々は文句アリだろうけど(爆)
ジャケット・デザイン、確かにって感じですね。やっつけ仕事っぽいよね
(^-^)
そうそう、このアルバムのおまけにリックさんのピックが付いて来たんだよ
(^-^)


K:
それも知りませんでした! 私が中古で買った「Bufdokan」のLPには何も入ってなかったなあ…(笑)
Dream Police Dream Police(1979)
Produced by Tom Werman
「チープの人気が最高潮の時期のアルバムだけに
「お化けアルバム」と言えますね」
ユタカ


「リックの恋愛不器用な男の心情バラードの"Voices"は
僕の一番好きなチープトリックの曲かもしれない」
マンタロウ
K:
タイトル曲に、名バラードの"Voices"、"Way Of The World"といった親しみやすいクラシック・ナンバーから、大作"Gonna Raise Hell" "Need Your Love"と、コマーシャルな部分と実験的な部分のバランスがとれた傑作です。


Y:
チープの人気が最高潮の時期のアルバムだけに「お化けアルバム」と言えますね。やはり高校時代、何度も繰り返し、狂ったように聴きました。"The House Is Rockin'"がノリノリで好きですね。あと"Voices"を聴いては、好きな女の子をイメージし、酔いしれておりました(笑)。ホントいい曲。青春って感じです。"Need Your Love"も最高。"Gonna Raise Hell"はライブの方が断然良いですね。


M:
リックの恋愛不器用な男の心情バラードのVoicesは僕の一番好きなチープトリックの曲かもしれない。"The House is Rockin'" "Need Your Love"  "Gonna "Raise Hell" ライブでは鳥肌が立つ程のパワーがある曲だすね。バニーさんが調子良くないと"Need Your Love"は演らないのが残念なんだけど。


K:
"Dream Police"は、アルバム・バージョンと違って、リックはライヴではノリ重視の少し簡略化したアレンジにしていますよね(特に中間部のアルペジオ上昇フレーズ。ライヴでリックがステージを駆け回るところ) ユタカさん、マンさんはスタジオ・バージョンとライヴ・バージョン、どちらが好きですか?…って、それぞれに良さがあるから難しいですよね(笑)

M:
"Dream Police"はライブ・バージョンのが好き。ボーナストラックのストリングス無しも良い。このアルバムもトム・ワーマンさん色が強いのが残念かなぁ、今聞くと。

K:
そうなんですよね。メンバーはインタビューで「Heaven Tonight」「Dream Police」は実際は自分たちでプロデュースした部分が多いことを強調していますが、トム・ワーマンがプロデュースしたCT以外のアーティストのアルバムを聴くと、かなりトム・ワーマン色が濃いことがわかるんです。トム・ワーマンて、凄く個性の強い人なのでしょうね、きっと…。


Y:
「ストリングスのアレンジは俺がやった」というリックの発言がありましたね。また「(トムは)ワインをたしなむのに夢中で、プロデュースなんて全然してなかった」というロビンの発言もありましたが、実はしっかり仕事してた、ということでしょうか・・(笑)

K
近年のCTのアルバムは、間違いなくメンバー自身のプロデューシングだと思いますが、70年代のアルバムはトム・ワーマンの色が強く出ているように感じます。例えばMolly Hatchetの初期作品を聴くと、CTと非常に近いサウンドですし、後にPoisonがトムにプロデュースを頼むのも、CTにただ憧れていたというだけでなく、トムのあのブライトでポップな音作りが好きだったのがあると思うんですよね。
All Shook Up(1980)
Produced by George Martin
「これは過小評価されすぎ第一位のアルバムだね」
マンタロウ

「リックとしてはさほど意識的にバンドを変えた、というつもりは
なかったのではないでしょうか?」
ユタカ

K:
正直申し上げますと、私昔このアルバム嫌いでした。"Stop This Game"と"Just Got Back"と"World Greatest Lover"ばかり繰り返して聴いていました(^_^;) 何故リックはこのアルバムをそんなに気に入っているのかと…。
理解するのに5年はかかりましたが、今では大好きな一枚です。これだけオリジナルな音を出しているハード・ロック・アルバムは他にないと思っています。世間の過小評価があまりに悲しい1枚…です。


M:
これは過小評価されすぎ第一位のアルバムだね。ポップでアイドル的なチープトリックを求めてしまうファンにはキツイ音作りかもしれないけど。最近は「Rockford」よりこっちばかり聞いてます(^-^)


Y:
僕はこのアルバムからチープを聴き始めたのですが、ロビンのヴォーカルが印象的でした。「こんなすごいヴォーカル聴いたことないぞ・・!」  A面はまだポップな感じがありますが、B面がさらにへヴィになっていきますね。やけっぱちな感じのロックンロール"I Love You Honey"も今ではサイコーに好きな曲。

「変わりばえのしない君にはもう飽き飽きしたのさ」と"Stop This Game"の歌詞にありますがリックとしてはさほど意識的にバンドを変えた、というつもりはなかったのではないでしょうか


K:
そうなんですよね! ファンは「変わった」という人が多いように思いますが、リックの"音を変えようとする意思"より、ジョージ・マーティンといろいろなことを試みて楽しむ雰囲気と、ロック魂の方をより強く感じるアルバムと思います。"I Love You Honey"のロビンのヴォーカルは他の誰にも真似できない個性があります。
1982〜1986

Through The Night




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