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1982〜1986

One On One One On One(1982)
Produced by Roy Thomas Baker
「実にトータル感のある素晴らしい作品」
ユタカ


「パワーのあるRockアルバムで曲も皆カッコ良いんだけど、
何となくリックさんの焦り感みたいのを感じちゃうんだよねぇ」
マンタロウ
Kyota(以下K):
トムが居なくたって俺たちだけでできるさ!やってやらぁ〜!!…みたいなリックの意気込みが炸裂したパワー全快のアルバム。ロビンのヴォーカルも凄いアグレッシヴ!この時期、これほどロックしていたバンドが他にいくつあったのでしょうか? プロデューサーの人選も上手くいってCTらしい音になりましたね。

マンタロウ(以下M):
パワーのあるRockアルバムで曲も皆カッコ良いんだけど、何となくリックさんの焦り感みたいのを感じちゃうんだよねぇ、昔っから。僕だけだろうけど(^-^;

K:
はいはい(笑) いえ、マンさんわかりますよ。勢いは凄くあるんですけれど、整合感は今一歩というかアルバム全体のバランスにはやや物足りなさを感じる部分もあって…。

ユタカ(以下Y):
周囲のそんな評価に反して、実は、僕このアルバム、当時から実にトータル感のある素晴らしい作品だと思ってたんですけど・・?リックが今でもお気に入りの1枚として挙げているのはなぜなのか・・?

それは、楽曲の素晴らしさも勿論ありますが、「ギターの音の録れ方」ではないでしょうか。エンジニアのイアン・テイラーをその後も起用していることが何よりの証拠。実にユニークでありながら、迫力のあるギター・サウンドに仕立て上げています。さらにロビンのヴォーカル。この時期のロビンは最も凄まじいシャウトを聞かせていたのではないでしょうか。

プロデューサーのロイ・トーマス・ベイカーはカーズを担当していた訳ですが、リックはカーズを気に入っていたのでは?「もっと古いバンドになるんだ」という意気込みだったリックにとって、このアルバムの仕上がりは、当時としては「古くて、新しい、ユニークなロックンロール・サウンド」として満足の行くものだったのではないかと推測するのですが・・どうでしょう?


K:
ユタカさんの仰るように、イアン・テイラーをエンジニアに起用した「One One One」はCT史上最もサウンド、特にギターがCTらしい(=CTのライヴの音に近い)音で鳴っているアルバムだと思います。音の迫力がアルバム全編に渡って凄い! 私は「One One One」だけ、という訳でなく、それ以降「Busted」までの全てのアルバムにトータル感でやや物足りなさを感じるのですが、昔はそんなことなかったんです。「Sex, America〜」を聴いてからです、そう感じるようになったのは!(笑) 「One On One」も、"Saturday At Midnight"の代わりに"All I Really Want"が入れば完璧だったのに…という思いがアルバムを聴く度にしてしまって…。リックの「ちきしょ〜こんな曲『書かせ』やがって! その分他の曲でゴリゴリロックしてやる。トムもいないし俺のギターをその分パワフルに鳴らすしかない!」という過剰なまでの意気込みが音を通して何か見えてくるような気がするんです。マンさんの感じる"焦り"…というか、私はちょっとリックへの同情が入ってしまうアルバムなのです(^_^;)

「Sex, America〜」の"All I Really Want"のメンバーの解説"長い間メンバーのお気に入りの曲"…って、何でその曲をアルバムから外すの!(苦笑)

Y:
確かに・・。でも、アルバムのトーンを考えると、外されたのも納得行くような・・。

ところで"Saturday At Midnight"の"There's a lot of things・・・"の部分って、"Lovin' Money"から転用してますね。結構昔の未発表曲のパーツを新しい曲にくっつける、ようなことを彼らはやりますね。"You let a lot people down"のエンディング部分とかは"Violins"から持ってきてるし・・探してみると、他にもありそうですね。

とにかく、この"Saturday〜"はリックが意欲的にディスコ・ソングを作ってみようとした作品なので、"Dancing The Night Away"などのレーベル押し付けソングとはちょっと違う訳ですよね。ロング・ヴァージョンは頂けませんが、アルバム・ヴァージョンはニューウェイヴ、ディスコっぽくもあるけど、ギターの音も良いし、センスも良いし、僕は当時かなり好きでしたけどね。

ただリック自身も発言してましたが「ディスコでこの曲のロング・ヴァージョンを流したら、さっきまで沢山フロアに居た人たちが忽然と消えちまったんだ!」(笑)

K:
ユタカさん、確かに彼らの曲には、過去の曲のパーツを取りいれたものが多いですよね。確か"Dream Police"の中間部も元々は"Ultramental"(でしたっけ?)というインストゥルメンタルが元になっているとか…。


Y:
おお、そうなんですか!その原曲、聴いてみたいなあ。

K:
"Ultramental"もブートだと聴けるようなんですが、私もまだ聴いたことがないんですー。聴きたい!
Next Position Please Next Position Please(1983)
Produced,Engineered&Mixed by Todd Rundgren
"Dancing The Night Away"
is produced by Cheap Trick and Ian Taylor
「ポップに聞こえるけど、
良〜く聞くとスゴくライブにRockしてると思う」
マンタロウ

「このアルバム全編でのバーニーのドラム、素晴らしいですね。
大活躍しています」
ユタカ

K:
かなりポップですが、気の合うトッド・ラングレンとのコンビネーションは良く、名曲満載のアルバムに仕上がりました。"I Can't Take It"でロビンはソングライターとしての実力を遺憾なく発揮しました。

M:
このアルバムからロビンのソングライター的な存在感が出て来たんじゃないかと思うんだけど。ポップに聞こえるけど、良〜く聞くとスゴくライブにRockしてると思う。


K:
ライヴにRock…なるほど。もう一度ヘッドフォンで聴きかえしてみます。トッドとCTは、今再び組んでやってみてもかなり優れたアルバムを作ってくれるのではないかという気がします。"I Can't Take It"はロビンの…というよりCTを代表する名曲の1曲ですね!

ユタカ:
TVKの番組「ミュージック・トマト」でよくこの"I Can't Take It"のPVを観たなあ・・当時はカルチャー・クラブとかの第2次ブリティッシュ・インヴェンジョン全盛だったから、チープのようなアメリカン・ロック・バンドにとっては厳しい時代でしたよね・・。

K:
"I Can't Take It"のビデオは、メンバー全員かなり演技頑張っていますよね。私リックの演技が結構好きです(^^)

Y:
そうそう、僕がチープ・トリックというバンドを初めてビジュアルで見たのがこのPVでだったんですね。リックのまんまるい目が印象的でしたね。しかし、どうもちょっとホラーっぽいというか、せっかくいい曲なので僕の中では「暗いバンド」みたいな印象になってしまいました。

もうちょっと早めに"If you want my love"のPVかなんかでチープに出会っていれば、もうちょっと良い印象だったんですけど・・。ファースト・コンタクトというのはホント大事ですね。

おっと話がPVのことばかりで・・すみません。

M:
MTVがメジャーになった時代だから、変にウケを狙いすぎったんですかねぇ。DoctorのPVも何だかなぁって感じだし。。あっ、Next〜の話題だった
(^-^)

Y:
その「ライヴ感」についてなのですが・・まず、前作との比較。リックのギターが本来のゴリゴリしたオーバードライブを抑えて、曲の良さを引き立てるべく、各々の曲ごとに工夫がなされている。

そしてリズム隊。ジョン・ブラントのベース(このアルバムが実質ジョンのデビュー作となる訳ですね)とバニーのドラム。やっぱり12弦ベースではないから、ストーンズのような抜けのよい、風通しのよい、そして身軽でソリッドなリズム隊になる訳ですね。今となってはこのリズム隊は実にレアなものになってしまった訳ですけど、このリズム隊をベースにレコーディングされている事が、マンさんの言うライブ感となって聴こえてくる要因ではないかと思うのですが、いかがでしょう?  このアルバム全編でのバーニーのドラム、素晴らしいですね。大活躍しています。かなり個性的なドラムを聴かせていると思うのですが。

あと、トッドがエンジニア、ミキシング、すべて行ったようですが、結構曲のあちこちでコーラスなどで参加しているように思えるのですが・・。


K:
ユタカさん、非常に興味深いご意見どうも有難うございます!  そういえば"Invaders Of The Heart"のバーニーのドラム・ソロ素晴らしいですね。これもマンさんの仰る"ライヴ感"がよく出ていますよね。トッドもCTのメンバーとかなり仲がいいようですし、バンドの魅力の引き出し方を良くわかっているのでしょうね。リックは昔某雑誌でトッドのソロのお勧め盤に「Hermit Of Mink Hollow」をあげていましたが、これと後期Utopiaのアルバムと「Next Position Please」を私は時間のある時に連続して聴いたりします。サウンドの傾向が似ている部分が多いので…(^^)

Y:
"Invaders Of The Heart"は、もうライヴ一発録音でしょうね。途中のカウント(take a rest,123456789....!)の声、あれトッドではないでしょうか・・?"Heaven's Falling"はトッドがユートピア用に書いてあった曲としか思えないですよね。

K:
ああ〜言われてみれば、途中のカウントは意識して聞くとトッドの声としか思えないですね!(笑)

「Oblivion」はUtopiaの1984年のアルバムですね。考えてみたら私、「Oblivion」はまだ持ってないんです〜。今度買って「Next Position」と聞き比べしてみます!
Standing On The Edge Standing On The Edge(1985)
Produced by Jack Douglas
「低音が無くて軽いんだよね、サウンドが。
でも名曲揃いの良いロック・アルバムだね」
マンタロウ

「もしやチープはこのアルバムを出して解散してしまうつもりなのでは
・・・なんて思ったのは僕だけでしょうけどね」
ユタカ
K:
最初はプロデューサーにDef Leppard等を手がけたジョン・マット・ラングを起用する予定もあったそうですが、これは実現せずジャック・ダグラスがデビュー・アルバム以来久々にプロデューサーとして迎えられました。シングルカットされた"Tonight It's You"がトップ50に入るヒットになりました。


M:
日本では人気低迷期で、なんのニュースも入って来なくなってたよなぁ,この頃。ジャックさんのプロデュースで1stの頃のようなサウンドに戻るのかなぁと思ったんだけど、見事に80年代テイストのチープトリック・アルバムにしてくれたって感じかなぁ。好みは別で。この頃、アメリカのチープトリックのオフィスにマーチャンダイスを注文すると船便で送ってくるので、3ヶ月位かかったなぁ、届くのに。すんません、話がズレちゃって(^-^)


Y:
うわーマンさん、さすがですね!  僕もこの時期のチープのグッズが欲しいよー。

このアルバムが僕にとって初めての「チープの新譜」だったのですが、まずタイトルが気になりました。「崖っぷち」・・・(笑)  ブルーの逆光の照明が美しいジャケット、そしてミョーに気合いの入った楽曲群とアレンジ・・もしやチープはこのアルバムを出して解散してしまうつもりなのでは・・・なんて思ったのは僕だけでしょうけどね。バンド・ロゴもワン・オン・ワンから続いた斜めのハッチングのデザインからかつてのロゴを施したデザインで、ジャケットのデザインでは、僕の中で1・2を争いますね。


K:
ジャケット・デザインは私もCTのアルバムを代表する傑作と思います! "How About You"とか"Little Sister"をライヴでやって欲しい…といっても恐らく無理と思いますが(笑) "Standing On The Edge"はまた日本公演でプレイして欲しいなあ。1992年、CTをはじめて中野サンプラザで観たとき、この曲のイントロが聴こえた時は狂喜乱舞でした!

やはりLAメタルとか産業ロック全盛だったので、ああいった煌びやかなサウンドだったり、重厚でビッグなサウンドに影響される部分もあったのでしょうね。
私はこのアルバム大好きですが、同時にトム不在のマイナスを最も感じるアルバムでもあるのですがお二人は如何ですか?"Little Sister"とか、低音の軽さがちょっと残念で…。


Y:
"Standing On The Edge"はまた日本公演でプレイして欲しいなあ。1992年、CTをはじめて中野サンプラザで観たとき、この曲のイントロが聴こえた時は狂喜乱舞でした!

僕もこの曲のライブは神奈川県民ホールで聴くことが出来ました。なんせこの時の来日公演はそれ以前の来日公演で演奏しなかった曲をかなり演奏しましたよね。"I Can't Take It"もそうだし、"Heaven Tonight"もそうだった・・。そしてこの"Standing On The Edge"...僕も狂喜乱舞でしたね


M:
Kyoちゃんの言う通り、低音が無くて軽いんだよね、サウンドが。でも名曲揃いの良いロック・アルバムだね。

WOWWOWの放送では"Standing On The Edge"がカットされたのが非常に残念だったね。"How about you"は80年代には結構演奏してたから、また演る可能性もあるんじゃないですかねぇ。


Y:
"How About You"のすごいところは、(以下僕の勝手な推測です)  Small Facesの"Whatcha Gonna Do About It"をベースにしていながら、決してそのパクリで終わらないところです。マイナーコードやメジャー7thなどを織り交ぜながら、チープらしい曲に仕立て上げているんですね。そこがやはりU2とは違う訳です。

リック談「俺たちだって、他人の曲から盗むこともあるよ。だけど、それはこっそりバレないようにやるもんなんだ。」・・リックのプロ意識を感じさせますね。

K:
このような、プロによる純粋な楽曲の音楽面でのご意見をお待ちしておりました! そうかーどこかで聴いたことがあるな、と思ったら"Whatcha Gonna Do〜"だったのですね。では、ユタカさんも"How About You"も大好きですね?(笑) もう一度聴いてみよう!


Y:
"Rock Allnight"は、ものすごく時代に迎合してるような気がしますね(笑)。"Wild Wild Women"とか・・。しかし、このアルバムの時期のライブは凄かったのではないでしょうか・・ブートでいいから聴いてみたい。そして観てみたい・・。

リックがスケルトンの全身スーツを着てたのもこの頃ですよね。まだまだそんなスーツを着ることが出来たリック。今はさすがに無理でしょうね(笑)。


K:
そうですね、"Cover Girl"はまだ時代性とCTらしさがうまく融合している感がありますが…。私もこの時代のブート聴きたいです! "Little Sister"はライヴの方が迫力があるのではないかという予感が…。そういえば、ありましたね、リックのスケルトンスーツ!(笑) あれ、特注でつくったのかなあ(^^)
The Doctor The Doctor(1986)
Produced by Tony Platt
「レコード会社にはどうしても意見出来ない環境だったんじゃ
ないですかねぇ、バンドを取り巻く環境が」
マンタロウ

「曲はいいですよね。確かに…」
ユタカ
K:
「『The Doctor』が悪いアルバムだって?」とリック先生は仰っていましたが、昔のインタビューでは「いい曲もあったけど…」とネガティヴな発言をしていたこともありメンバー的にも微妙な自己評価のアルバム。一般的には失敗作ととられることが圧倒的に多い。個人的には曲そのものは優れた曲が揃っていると思いますが…。

マン:
この頃ってメンバー自身もどうして良いのか試行錯誤してたんじゃないですかねぇ。ライブとスタジオ・アルバムのギャップがありすぎるんもんね。
曲は良いんだよね、いつも。。。当時はいつも車を運転しながら聞いてたなぁ。


ユタカ:
"Standing On The Edge"の直後にどうしてこんな・・おどけたような(当時はそんな印象)アルバムを出すんだろう・・・?未だに理解に苦しみます。

"Standing On The Edge"、あれは背水の陣のアルバムだったのではないのか?メンバーはさほど崖っぷちの心境でもなかったのか?
それは俺のような思い込みが激しいファンの「単なる錯覚」?

曲はいいですよね。確かに・・
でも「マニュリピュレイター」だけは今も好きになれない・・。エピックが「デュラン・デュランみたいな曲をやれ!」とでも言ったのでしょうか・・?キーボードを思い切りフィーチャーしたアレンジもエピックの圧力によるもの・・???


K:
私も"Man-U-Lip-Lator"と"Good Girls Go To Heaven"は未だに好きになれません。トニー・プラットという人はもっとまともなバンド・サウンドをつくれる人と思うのですが、どうしてああいったごちゃごちゃした音になってしまったのか…。

"It's Up To You" "Rearview Mirror Romance" "It's Only Love"等のメロディの冴えは素晴らしいと思いますが、ユタカさん、マンさんはどの曲が好きですか?

ユタカ:
意外と"Kiss Me Red"が好きだった・・(笑)。
エピック押し付けの曲でしょうけど。これって誰が書いた曲でしたっけ?
あと"Name Of The Game"で聴けるロビンのヴォーカルは凄いですね。


マン:
"It's Up To You"かなぁ、好きなの。発売前にプロデューサーがトニープラットと聞いて聞く前は少し期待しちゃったんだよね。レコード会社にはどうしても意見出来ない環境だったんじゃないですかねぇ、バンドを取り巻く環境が。

K:
"Kiss Me Red"はヒット・メイカーのビリー・スタインバーグとトム・ケリーが書いた曲で、Electric Light Orchestra Part 2(ジェフ・リンのいないELO)も1991年のアルバムでカヴァーしています。"Name Of The Game"もなかなかいい曲ですね。ロビンのヴォーカルだけは、楽曲アレンジがどうあれいつも凄い、と思わせます。


私は"It's Up To You"が「私的人生応援歌」なのですが…あの歌詞は、当時リックとロビンが自分たち自身を鼓舞する為に書いたのではないかと…。


ユタカ:
間違いなくそうでしょうね。前作の"How About You"とか"This Time Around"もそうでしょうし・・。

チープのサウンドがデフ・レパードみたいなキラキラのアレンジになったら、どうなるかなあ・・!?・・ということを僕も考えたことあります。リックは「デフ・レパードの連中はチープの曲が大好きなんだ」といったようなことをこないだの「バーン!」でも言ってましたね。


K:
過去のインタビュー等から推測すると、Def Lepppardの中でCheap Trick好きはヴォーカリストのジョー・エリオットだと思います。ジョーならCTの代表曲全部そらで歌えても不思議はありません(笑) オープニング・バンドへの待遇がしっかりしていることで知られるDef Leppardとのツアーが、CTにとって良いプロモーションの場になればよいですね。
1988〜

Through The Night




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