Music Review | ||
旧譜、新譜問わず、お勧めのCD/DVD作品を紹介します。 新譜(おおよそ3ヶ月以内にリリースされた作品)には マークがついています。 ★は管理人のお勧め度で、星5つで最高。 2つで大体平均点と考えてください(☆は1/2点) ※2003年9月以前のCDレビューはこちらです ※左にメニューが見えていない方は表紙よりどうぞ |
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2007年 3月(no.380〜) | ||
+ no.390 + | ||
I Trust You To Kill Me 〜starring Kiefer Sutherland and Rocco Deluca & The Burden (import DVD/2007) ★★★★☆ |
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今をときめく俳優キーファー・サザーランドが、友人ジュード・コールと組んで設立したIronworksレーベルの第1弾アーティスト〜Rocco Deluca & The Burdenのヨーロッパ・ツアーにマネージャーとして同行した際のドキュメント。当然主役は、ライブとプロモーションを先頭に立って切り盛り(ドイツではキーファー自ら街でフリー・ライブのビラ配りまで!)するキーファーなのだが、このドキュメントの優れている点は、カリスマティックな雰囲気と新人らしからぬ成熟した音楽と演奏力を持つロッコの魅力によって、大スターと彼がプロモートする新人アーティストという単純な構図でなく、何故キーファーがロッコに入れ込んでいるのか、そして"何故ロック・ミュージック"なのか、という根本を要所にフィーチュアしたライブ・シーンによって音と絵で語ることに成功しているのだ。並みの新人だったらここまでドラマと音楽がバランスのとれた作品に仕上がらなかっただろう。気取りのない素顔のキーファーが見れるのもキーファーのファンにとってはたまらないはず。序盤ではジュード・コールも登場。ボーナスにはRocco Deluca & The Burdenの"Colorful" "Gravitate" "Swing Low"という3曲のPVと、キーファーとロッコの日本におけるプロモーション滞在期を収録。それにしても、ロッコが宣伝なしとはいえ日本でライヴを行なっていたとは知らなかった〜(泣) 英語が聴きとれなくても十分楽しめるが、リージョン1なので出来れば日本版リリースを待ったほうが堅実か。 (3/17/2007) | ||
「Rocco Deluca」 Disc Review July,2005 「Jude Cole」 Jude Cole |
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+ no.389 + | ||
Mary Chapin Carpenter /The Calling (import CD/2007) ★★★★☆ |
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過去多くの名盤を生んできたMCCだが、この新作もキャリアを代表するアルバムとして残っていくことだろう。その楽曲の持つ普遍性をみるに、2001年の「Time Sex Love」と対になる作品といってもよいかも。より幅広いサウンドのアプローチで新たな一面をみせた「Time Sex Love」と比較すると、飽くまでカントリー・ルーツをベースにしているという点で本作は異なるが、穏やかな曲調の中にじわじわ聴いてくるポップ・センスが貫かれているという点では共通する。ポップとはいっても例えば"Down At The Twist And Shout"のような軽快なアップ・テンポ曲は1曲もないわけだが、そのヴェテランらしい成熟した味わい深いメロディと、自然なコマーシャリズムは有無をいわせぬ素晴らしさで、聴いていて中だるみすることがない。"For the Dixie Chicks"というサブタイトルで自らの国(政府)に痛烈なメッセージを発した"On With The Song"を聴けば、MCCがレイドバックという言葉とも無縁であることが分かるだろう。多分、個人的に最も繰り返し聴くMCCのアルバムになると思う。 (3/23/2007) | ||
「Mary Chapin Carpenter」 Disc Review Nov,2003 / May,2004 |
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+ no.388 + | ||
Saxon/The Inner Sanctum (import CD+DVD) ★★★★ |
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怪物という言葉を使ったらビフ・バイフォードは怒るかもしれないが、改めてとんでもなくパワフルなオジサン達なのだ。前作「Lionheart」(2004)がキャリア屈指の傑作だったので次は大変だろう…なんて心配もしたが、このヴェテラン・バンドにプレッシャーという言葉は無縁のよう。お得意の荘厳なイントロから雪崩れ込むオープニングの"State Of Grace"〜"Need For Speed"〜"Let Me Feel Your Power"の3曲は何れも、今や希少な一点の曇りもないブリティッシュ・ヘヴィ・メタル。ツーバス・ドコドコ(2005年以来ナイジェル・グロックラーがドラマーとして復帰)のスピード・メタルだ。「Dogs Of War」以降のスタジオ諸作と比較すると、同時代性をあまり意識せず得意なことを思い切りやったという感じだが、それがいい。泣きのバラード"Red Star Falling" ポップ・センスを活かした"If I Was You"とメリハリもつけ、最後少々ゴシック風味も塗した大作"Atila The Hun"で締める構成も良く練られている。限定版CDにはDVDがボーナスでついているが、これには2005年に行なった、最初の5枚のアルバムからの曲のみプレイしたツアー"A Night Out With The Boys"のライヴ映像(7曲)と、メンバーのインタビューを収録している。インタビューではビフが、同じく2005年に自宅を襲った火事について、その夜の状況を生々しく語っている。しかし、多くのバンドが年を重ねるごと多かれ少なかれトーン・ダウンしていく中、Saxonのこのテンションの高さはほとんどミラクルだ。ビフは1951年生まれだそうだが、スタジオでもライヴでも明らかに80年代より声が出てるんだから…。 (3/23/2007) | ||
+ no.378 + | ||
Saxon/Dogs Of War (Japanese CD/1995) ★★★★ |
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Saxonというと未だに80年代初期までのアルバムの評価が高いが、個人的には90年代〜この「Dogs Of War」以降のアルバムの方が断然好きである。この「Dogs Of War」は私が(正直、それまではどちらかというと嫌いだった)Saxonにハマるきっかけになったアルバムだ。本当に良く聴いた。1995年というと、トラディショナルなHMにとってはかなり難しい時代だったといえるが、ここでのSaxonは自らのポテンシャルをフルに発揮し、流行も時代性も超越した実に強固な姿を披露している。オープニングの重くややダークな"Dogs Of War"こそ、モダンな音楽との折り合いをつけた跡が伺えるが、その後スピード・メタル"Burning Wheels" シンプルなギター・リフの上で抑え目のビフ・バイフォードのヴォーカルがメロディアスに響く"Don't Worry" Molly Hatchetを連想させるハード・ブギー"Big Twin Rolling(Coming Home)" 80年代に得たポップ・センスを90年代的なヘヴィネスで再構築した"Hold On" 重く地を這うようなリフが強烈なヘヴィ・ロック"The Great White Buffalo"と多彩な楽曲が並び、飽きさせることがない。日本への思いを馳せた"Walking Through Tokyo"は、アレンジはともかく歌詞が外している感があるけどね(笑) サウンド・プロダクションも良好 (3/24/2007) | ||
「Saxon」 Disc Review June,2004 / Nov,2004 |
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+ no.386 + | ||
Pride Of Lions/Roaring Of Dreams (Japanese CD/2007) ★★★★☆ |
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ジム・ピートリック(ex.The Ides Of March, Survivor)が1977年生まれのヴォーカリスト・トビー・ヒッチコックと組んだプロジェクト・バンドPride Of Lionsの「Pride Of Lions」(2003)、「The Destiny Stone」(2004)に続くスタジオ録音アルバム第3作。いや、これは素晴らしい。過去2作を聴いて感じた完成度は高いけど、ジムならもっと印象的なメロディが書ける筈、という贅沢なもどかしさを一掃する、天才メロディ・メーカーとしての資質が炸裂した傑作である。トビーの伸びやかなヴォーカルを最大限に活かした楽曲群は、まるで天空を駆けるような疾走感を持つ"Heaven On Earth"から、70年代のAOR的風味のある"Faithful Heart"(これはヴェテランならではの味!)、そしてエンディングのドラマティックなバラード"Turnaround"といった曲に至るまでどこまでもメロディアスで、その印象的なフックの生み方は全盛期〜80年代半ばのSurvivorに匹敵。エモーショナルに、表情豊かに歌い上げるトビーの声には心洗われるようだ。"大仰"の一歩手前で抑えたアレンジも素晴らしいし、要所でスパイスを効かせるジムの渋い歌声も実に良いアクセントになっている。2007年の今、自らの音楽センスを凝縮したような決定打をつくるとは、ジム・ピートリック恐るべし。 (3/17/2007) | ||
+ no.385 + | ||
The Ataris/Welcome The Night (Japanese CD/2007) ★★★☆ |
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私は、前作フル「So Long, Astoria」(2003)をお友達にダビングしてもらって聴いたことがあるだけの人間なので、バンドにほとんど思い入れがなかったのが良かったのかもしれない。この、バンドにとって5枚目のアルバムである「Welcome The Night」での音楽性の劇的な変化にすんなり入り込むことができた。前作のツアーの後、ベーシストとドラマーが脱退。暫く音楽から離れていた、フロントマンのクリストファー・ロウ(ヴォーカル/ギター)は、ギタリストのジョン・コウルラが書いた曲にインスピレーションを受け、再び自身も曲を書き始めたという。果たして、長いブランクをおいてAtarisが完成させた音楽は、これまでのポップでキャッチー。明るくも切ないメロディ・ラインを持った疾走感のあるロック/パンク・ロックでなく、荒々しいギター・リフ、様々なエフェクトやピアノ、キーボードを配したサウンドの上で、クリストファーがダークなメロディを、言葉をかみ締めるように歌う全く別のかたちであった。ブリティッシュ・ロック趣味が色濃い(特にThe Cureからの影響を強く感じる)音楽の方向性は良いとして、低音重視のクリストファーの新しい歌唱がまだ板についておらず、何よりメロディの練り込みが甘いのでアルバム全体がかなりフラット気味に感じる。それでもついリピートしてしまうのは、随所でクリストファーのポップ・センスと、メッセージの力強さに引き込まれてしまうからだ。その歌詞の内容は〜曖昧に書かれている部分も多いので断言はしないが〜半分以上が宗教的なことのように思える。といってもクリストファーの宗教観を単に押し付けているのでは決してなく、ストーリー性を重視しながら、人間と宗教との関わりについて書いているのだ。ベスト・トラックは"Whatever Lies Will Help You Rest" この曲のメロディ・センスと才気に満ちた言葉の素晴らしいこと。特にその歌詞の内容には背筋が震えるほどのショックを受けた。今、シーンを見渡してもこれだけの歌詞を書けるアーティストはそういないのではないだろうか。課題は多いが、バンドがこのアルバムをきっかけに大きくステップアップする…"未来の傑作"を期待させるだけの新たに得たアイテムがここには沢山詰っている。 (3/10/2007) | ||
+ no.384 + | ||
Natalie Merchant/VH1 Storytellers (import DVD/2005) ★★★★☆ |
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最初、値段が安いからという理由だけでリージョン1のアメリカ/カナダ版を買ってしまった(泣) もし購入するならリージョン2〜5k"オーストラリア版"を買いましょう。これなら日本のDVDプレイヤーで普通に見れます。オーストラリア版を入手すべき理由はそれだけではなく、こちらには英語、ポルトガル語、スペイン語の中から字幕を選択できる(勿論字幕Offも可)チャプターがついているのだ。これは、この「VH1 Storytellers」というプログラムを楽しむ上で実に有難い。1998年の9月に、マッハッタン・センターで収録されたライヴ。ボーナス・トラック(オリジナルのTV放送ではカットされていた映像)の"These Are Days"(full performance) "Life Is Sweet"を含めソロの曲が5曲、10.000Mainacs時代の曲が3曲。曲毎にその曲の背景にあるエピソードを穏やかに語るナタリーの言葉が、最高のイントロダクションとなってリスナーを曲の世界に引き込んでゆく。"Kind And Generous" "Life Is Sweet"に込められた、シンプルな、しかし尊いメッセージ…涙がこぼれる。ストリングス、トランペットを加えたバンドの演奏、ナタリーの歌、照明、カメラ・ワーク、全てが素晴らしい。 (3/10/2007) | ||
「Natalie Merchant」 Live Review(1999) Disc Review Oct,2005 |
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+ no.383 + | ||
10.000 Maniacs/Blind Man's Zoo (Japanese CD/1989) ★★★★ |
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思えば、これが10.000maniacs、そしてナタリー・マーチャントとの最初の出会いであった。当時私は高校生。MTVで"You Happy Puppet"のPVを見て気に入り購入したのだが、最初は音も歌詞も難解で理解するのに相当時間がかかった。方向性としては出世作となった「In My Tribe」(1987)同様、ナタリーの特徴的なメロディと歌を配したフォーク・ロックを基調としたサウンドなのだが、更に鋭い視点で語られる社会的な歌詞に合わせる様にサウンドは陰りを増し、ナタリーの歌声も「In My Tribe」より明らかに力強く響いている。楽曲の普遍性という点では「In My Tribe」 「Our Time In Eden」(1993)に一歩譲るが、1曲1曲が完全に独立した個性を持ちながらも、アルバム全体のトーンが一定し、且つ構成(曲順)が秀逸なので、通して聴きこむ度アルバムとしての色が鮮やかに広がってゆく。 (3/10/2007) | ||
「10.000 Maniacs」 Disc Review Feb,2004 |
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+ no.382 + | ||
Carole King/City Streets (Japanese CD/1989) ★★★★ |
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これ、ずっと探してたんだ、実は。動いているキャロル・キングをはじめて見たのは、このアルバムからのリーダー・トラック"City Streets"だった。大好きだったこの曲が久々に聴けたら、というくらいの気持で、アルバムのクオリティはあまり期待していなかったのだが…これが聴くほどに良い。素晴らしい。80年代的な、シンセ音が散りばめられた洗練されたアレンジこそ時に時代遅れに響くものの、キャロルのメロディ・センスは実に冴えている。前述したアルバム・タイトル・トラックといい、アップ・テンポの"Legacy"といい、ゲスト参加したエリック・クラプトンの泣きのギター・ソロが彩りを添えるバラード"Ain't That The Way"にしろ、その曲調と、キャロルらしいドラマ性を持つ歌詞とのコンビネーションがマッチした名曲ばかりで、キャロルのヴォーカリストとしての多彩さも十二分に発揮されている。それにしても、改めて愛情溢れるキャロルの歌詞は胸に響く。 (3/2/2007) | ||
+ no.381 + | ||
The Christians/Prodical Sons (import CD/2003) ★★★★ |
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手書き風のチープなジャケット・デザインに、歌詞カードのないぺらぺらのインナー・スリーブ。実際は5曲のライヴ・トラックがボーナスとして収録されているのに何も表記されていないアバウトなクレジット。Christiansの音楽シーンでのポジションが昔とは変わってしまったことはこの体裁だけでも十分理解できるが、その音楽のクオリティの高さに何も衰えはない。知らぬ間に再結成していたイギリスのソウル/ポップ・グループChristiansが2003年にインディーズ・レーベル(フランスのレーベルらしい)からひっそりとリリースしていた最新アルバム。1st〜3rdと同様、伝統的なソウル・ミュージックを、イギリス的な湿った、そして洗練されたサウンドで包み込んだ音楽性。ディープなギャリー・クリスチャンの声を活かした、メロディアスでキャッチーさも十分に備えたメロディも、トレード・マークの重厚なコーラス・ハーモニーも変わらず素晴らしい。スクラッチ音の入ったアルバム・タイトル・チューンや、女性コーラスをフィーチュアした"You Can't Have It All"のような新機軸もあるにはあるが、全体的にはヴェテランらしい落ち着きのある音で統一されており非常に心地よい空間を与えてくれる。本当はこのグループの音楽は歌詞カード付きで楽しみたいところだが…。"Close To Midnight" "Words" "Happy In Hell" "Ideal World" "Greenbank Drive"の4曲がボーナスとして収録されているが、前述したようにクレジットにはブックレットにもなんとCDにも記載されていない。 (3/2/2007) | ||
+ no.380 + | ||
The Christians/Colour (Japanese CD/1990) ★★★★☆ |
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Christiansのアルバムは全て好きだが、アルバム全体のバランスの良さと、メロディ・センス他のアルバムより、ごく僅かな差だが抜けていると思えるこの2ndが個人的にはフェイバリットだ。ヴォーカル・グループとしての声の厚みを活かした美しいメロディは、ソウルでもロックでもポップでもない、独特の音楽の中でフィーチュアされ、プログレッシブでありながら普遍性も十分に備えたChristiansならではのスタイルとして完成されている。穏やかなメロディに社会的な歌詞を乗せるという点ではBlow Monleysに通じる面もあるのだが、Christiansの場合、メロディにもっと陰りがあるのが特徴だ。雄大なメロディにストレートな歌詞をのせた"Words"はChristiansを代表する名曲の1曲。 (3/2/2007) | ||
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