June 2008(no.489~)

 + no.496 +
Jason Mraz/We Sing, We Dance, We Steal Things Jason Mraz
/We Sing, We Dance,
We Steal Things

(Japanese CD/2008)
★★★★
  大ヒットした1stアルバムに対する意識の強さが、音楽性の閉塞感を生んでいたように思えた2nd「Mr.A-Z」(2005)は、ジェイソンの思慮深さこそが生んだ失敗作といえるものであった。しかし、長いツアーから離れ、生活を変え自己と向き合った結果生まれた新作は、計算高さから距離を置き、リラックスしたムードが反映された、メロディアスでソウルフルな名曲・佳曲集に仕上がっている。前作までの弾けるようなポップ感覚こそないものの、これまで同様多様なジャンルの音楽を取り入れ、ゆったりしたリズムでジェイソンの美声をフィーチュアした楽曲群は心地よく身体を揺らしてくれる。独自性は薄れたが、ジェイソンのメロディ・センスと声が新たな土台の上でこれまで以上の輝きを放っているのは明らか。ジェイムス・モリソン、コルビー・キャレイがゲストで参加。(6/20/2008)
「Jason Mraz」
Disc Review(2004) / Live Review(2004)
Disc Review(2004) / Live Review(2006)
 + no.495 +

Rick Springfield
/Who Killed Rock'n Roll(Live)

(i-tunes download/2008)
  7月にニュー・アルバム「Venus In Overdrive」がリリースされるヴェテラン・ロッカー:リック・スプリングフィールドの既にライヴで披露されている新曲。現在放送されているリック出演のドラマ「General Hospital」の劇中でも本人によりプレイされていたそう。ギターが非常にアグレッシブで、シャウトするリックのヴォーカルも迫力満点。近年のリックの好調さを反映するクールなハード・ロック・チューンなのだが、残念ながら「Venus~」には収録されないようだ。(6/7/2008)
「Rick Springfield」
Disc Review(2004) / Disc Review(2005) / Disc Review(2005)
Live Review(2005) / Disc Review(2006)
 + no.494 +
Muse/HAARP Muse/HAARP
(Japanese CD+DVD)
★★★★★
  その昔、フランク・ブラック(Pixies)が雑誌のインタビューで、もし宇宙人にロック・バンドをひとつだけ紹介するならRamones…と答えていたのを覚えているけれど、今もし私が同じ質問をされたら、このバンドの名前を挙げるかな。昨年6月16日・17日にウェンブリー・スタジアムで行われたライヴを収録したDVD(17日)とCD(16日)のカップリング。「Absolution Tour」(2005)のスケール感も凄いものがあったが、これは更に凄まじい。永遠に続くのではないかと思える観客の波。まるで要塞のような巨大なステージ・セット。過剰であるほどに映えるMuseのダイナミックなサウンドが詰め込まれた、文句なしのパッケージだ。(6/20/2008)
「Muse」
Disc Review(2006) / Live Review(2006)
 + no.493 +
 The Hoosiers/The Trick To Life
The Hoosiers
/The Trick To Life

(import CD/2008)
★★★★
   1stシングル"Worried About Ray"、2ndシングル"Goodbye Mr A"が立て続けにイギリスで大ヒットを記録したトリオのニュー・バンド。XTC、Supertramp、The Beatlesといった、ブリティッシュ・バンドの美点を折衷した、ポップでキャッチー、そしてちょっとひねりの加わったメロディを、ロジャー・ホジソンを連想させる特徴的なヴォーカルが爽やかに聴かせる。楽曲のパーツごとを見ると、それほど特筆すべき新奇な要素はないのだが、どんな曲のパターンにおいても独特のスピード感を備えているのが前述したクラシック・バンドとの違いで、しかもパンク~パワー・ポップ系譜のパワー・コードで押すそれでなく、芸の細かい独特のリフ・パターンを持っているのが特徴。コーラス・ハーモニーやキーボードを効果的に使ったアレンジも絶妙で、聴くほどにハッとさせられる部分が出てくる。(6/20/2008)
 + no.492 +
Def Leppard/Songs From The Sparkle Lounge
Def Leppard
/Songs From The Sparkle Lounge

(import CD/2008)
★★★★
  これはカッコいい!ライヴ感と、楽曲のバラエティが絶妙なバランスで同居しているという点でDef Leppardの作品中随一ではないだろうか。コンパクトにまとまったキャッチーな名曲、佳曲が軒を並べ、多彩でありながら全編通して勢いと躍動感が継続するのがとても良い。 各メンバーが単独で書いた曲を持ちよったのが、間違いなく功を奏していると感じる。また、メンバーもインタビューで語っているように、前作「Yeah!」で、様々なロック・クラシックに触れた影響も大きかったのであろう。それ以外の過去のアルバムの美点も要所で活きており、ベテランならではの計算高さと自己プロデュース力の高さが伺える。クラシックな楽曲のストラクチャーにモダンな要素を塗したサウンドは、ラフさも残し実に躍動感がある。ジョー・エリオットのヴォーカルも、これまで以上に表情豊かで耳を惹かれる。(6/7/2008)
「Def Leppard」
Live Review(2002) / Misks(July,2002)
 + no.491 +
B-52's/Funplex The B-52's/Funplex
(Japanese CD/2008)
★★★★
  まさかここまで素晴らしいアルバムを作ってくるとは驚き!  B-52's、オリジナル・アルバムとしてはなんと1992年の「Good Stuff」以来16年振りだが、長いブランクなど全く感じさせない、これまで築いたバンドのスタイルを2008年型にアップデートさせた内容である。「Cosmic Thing」(1989)以降の、コンパクトでポップなメロディの魅力はそのままに、モダンなエレクトロ/ダンス・ミュージックを取り入れ、且つ重いビートとパワフルなギターをフィーチュアしたB-52's史上最も硬質なサウンドを持ったアルバムに仕上がっている。ケイト・ビアーソンとシンディ・ウイルソンの伸びやかなヴォーカルと、美麗なコーラス・ハーモニー。唯一無二の個性を持ったフレッド・シュナイダーのヴォーカルも"枯れる"という言葉とは無縁の張りに満ちたもので、最後まで楽しく躍らせてくれる。メンバー全員若い!(6/7/2008)
 + no.490 +
Martina Mcbride/Live In Concert Martina Mcbride/Live In Concert
(import CD+DVD/2008)
★★★★☆
   カントリー界の歌姫・マルティナ・マクブライド初のライヴ作。CDが本編でDVDがボーナスとのことなのだが、何故かDVDの方が12曲も曲数が多いという不思議な構成。私がマルティナを聴はじめたのは3rdアルバム「Wild Angels」リリース後~洗練されたメロディとアレンジで、コンテンポラリーなアプローチを推し進めようという時期であった。ルーツ音楽とコマーシャリズムの融合の巧みさという点で、他の女性シンガーより頭一つ抜けているという印象があったが、実は最大の魅力はパフォーマンスとその特A級の歌唱力にあるということをこの作品は気付かせてくれた。いきなりロック・モードに突入するアンコールの"Don't Stop Believin'"(Journeyのカヴァー)、"Hit Me With Your Best Shot"(パット・ベネターのカヴァー)を聴くと、音楽のバラエティを増すというより、この強烈なヴォーカルが必然的にジャンルを超越したと思えてくる。(6/7/2008)
「Martina Mcbride」
Disc Review(2003)
 + no.489 +
Dan Wilson/Free Life Dan Wilson/Free Life
(import CD/2007)
★★★★☆
  元(といって良いのか…?)Semisonicのヴォーカリスト/ギタリストによる1stスタジオ・フル。Tr.1、2、6は2002年にリリースされたミニ・アルバム「"Sugar"e.p.」に収録されていた曲のセルフ・リメイク。またTr.13はDixie Chicksの「Taking The Long Way」(2006)に収録されていた曲であり、純粋な新曲ばかりではないのだが、ダンのメロディアスなヴォーカルの魅力をフィーチュアしたAORアルバムとしてかっちりまとまっている。キャリアを通じ、プログレッシブなセンスと普遍的ポップ・センスを共存させていたSemisonicの音楽性と比較すると、オーセンティックで土着色も加味したアメリカン・ロックはどうしても地味に感じるが、その楽曲のクオリティは、他アーティストとの共作も数多い"メロディ・メーカー"ダン・ウイルソンの本質を捉えた強力なもの。シンプルなアレンジのうえでダンのヴォーカルがエモーショナルに響き、実に味わい深い。(6/7/2008)
「Semisonic」
Disc Review(2005)


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