Disc Review
旧譜、新譜問わず、お勧めのCD/DVD作品を紹介します。
新譜(おおよそ3ヶ月以内にリリースされた作品)には
マークがついています。
は管理人のお勧め度で、星5つで最高。
2つで大体平均点と考えてください(
は1/2点)
※2003年9月以前のCDレビューはこちらです
2005年
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2006年
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2006年 7月(no.314〜)
 + no.326 +
The Rembrandts/Choice Picks The Rembrandts/Choice Picks
(import CD/2005)

★★★★
 + no.325 +
The Rembrandts/Greatest Hits
The Rembrandts/Greatest Hits
(import CD/2006)

★★★
  曲目をみると、一瞬何の変哲もないベスト・アルバムかと思うが、というか私は最初そう思っちゃったんですが(汗)  昨年リリースの「Choice Picks」はRembrandtsのデビュー作から目下の最新作「Lost Together」(2001)までの代表曲をレコーディングし直した企画ベスト・アルバム。これが予想した以上に素晴らしい。私が最も注目したのは、オーバー・プロデュースで曲そのものの良さが十分に表現されていなかった2ndアルバム「Untitled」(1992)の曲がどうアレンジされているか、にあった。果たして、1992年当時、脳内で勝手に(笑)アレンジし直して聴いていた"Maybe Tomorrow"  "Johnny Have You Seen Her"  "Rolling Down The Hill"といった名曲群は、素材(メロディ)の良さを最高に引き出すナチュラルなアレンジで再現されていた。他の曲も、オリジナルのバージョンを大きく崩さず再構築され、意外性こそないものの、ここに収められた、落ち着きを増したエモーショナルなサウンドはより生のRembrandtsに迫っているのでは、といえるクオリティに達している。デビュー・シングル"Just The Way It Is Baby"から、新曲"Don't Give Me Up"まで、時代順に並べた楽曲の流れには不思議なほど違和感がなく、セルフ・プロデュースによってそのキャリアにおける音楽スタイルの一貫性と、そしてソングライティングのスキルの高さを示したといえる。
  一方「Greatest Hits」はライノ作成の普通の(?)ベスト・アルバム。「Spin This」(1998)から3曲選曲されているのに、「Untitled」から2曲だけ、しかも"Maybe Tomorrow" "Chase The Crowds Away"という名曲が入っていないという、少々バランスに疑問を感じる構成で、さらにブックレットの各曲データがライノらしからぬアバウトさなので初心者の方に心から推薦…とは残念ながらいかない。それでも、ダニーとフィルがRembrandts以前に組んでいたバンドGreat Buildingsの曲が2曲("Hold On To Something"  "Maybe It's You")収録されているのは大きなボーナスだ!  (7/15/2006)
 + no.324 +
The Beautiful South/Superbi
The Beautiful South/Superbi

(import CD/2006)

★★★★
  前作は全曲カヴァーの企画アルバム(「Golddiggas, Headnodders&Pholk Songs」)だったので、全曲オリジナルとしては2003年「Gaze」以来になる新作。キャッチーで美しいメロディと、温かみのある歌。美麗な楽曲アレンジ。そしてウィットに富んだ歌詞。良くも悪くもいつものBeautiful Southである。3代目女性ヴォーカルのアリスンも、堂々とした歌唱ですっかりBSの色の中に溶け込んでいる。プロデューサーをイアン・スタンリーに、ミキサーをビル・プライスに変えたのが大きかったか、基本路線は全く変わりないものの、音の"抜け"が微妙にこれまでと違って聴こえる。洗練と土着の間を自由に行き来するBSのキャラクターがサウンドにしっかり息衝いていて、いい感じだ。曲も聴きこむほどに引き込まれていくし、これは久々にハマるBSのアルバムになるかも。…と書きつつ、本音をいうと彼らにはもっと閃きのあるメロディと、サウンド面での新展開をみせてほしいのだ。自分たちのスタイルに信念をもち、良質の作品を作り続けていることは心からリスペクトするけれど…。  (7/15/2006)
 + no.323 +
Wolfmother
Wolfmother/Wolfmother
(import CD/2006)

★★★☆
  既にかなりの話題を集めているオーストラリア出身のトリオ。60〜70年代ブリティッシュ/アメリカン・ハード・ロックからの影響が顕著なサウンドだ。雑誌のインタビューを読むと、メンバーが音がレトロですね、というインタビューアの質問に新しい真っ向から反論するという予想できた展開もあるが(笑)、このロック・クラシックの美味しい部分をぎゅっと盛り込んだ楽曲群からは決して"ありがち"で済ませられない熱い迸りを感じる。特筆すべきは、様々な音楽要素の自然な混ざり具合だ。有名バンドの「決め」部分をつなぎ合わせたような作為さはなく、音楽遺産の良質の部分をしっかり消化し、再構築し、上手く自分たちのスタイルを作りあげていることだ。つまりは"文法"でロックを学んでつくっているのではなく、感覚としてしっかりロックが身についているということ。現在のスタイルを確立するまでにはかなりの時間を要したようだが、なるほどという感じだなぁ。アコースティック・サウンドも要所で取り入れた、メリハリのある楽曲は総じて平均点以上のクオリティだし、ヴォーカル・演奏力も既に貫禄さえ感じさせるタイトさ。次の課題は、これだ!という決定的名曲を書くことと、パワフルでアグレッシヴなライヴの感覚をどうCDに持ち込むか、ということかな。何はともあれ、顔見せの一枚としては文句なしだ!  (7/15/2006)
 + no.322 +
Lostprophets/Liberation Transmission
Lostprophets/Liberation Transmission
(import CD/2006)

★★★★
  ウェールズ出身の5人組(ドラマーのマイク・チプリンがアルバムのレコーディング前に脱退)Lostprophetsの3rdアルバム。正直これまでは曲をラジオ等で聴いても、アルバムを買おうとまでは思わなかったのだが…いや、かなり驚いた。ボブ・ロックをプロデューサーに迎えた本作では、これまで以上に様々な音楽要素を内包しつつ、更に磨きがかかったメロディ・センスをダイナズム溢れるサウンドで披露している。自分がそうだから、というわけではないが(笑)この情報量の多いアルバムを最も楽しめるのは今30代のロック・ファンではないか。メンバーがインタビューでも語っている通り、Def Leppard等80年代を彩ったメジャーHRバンドに通じるキャッチーなメロディとビッグなサウンド、Duran Duran、Police等イギリスのニュー・ロマンティック/ニューウェーヴを連想するゴージャスで磨かれたアレンジ。過去の遺産をモダンなロック・サウンドに巧みに融合した楽曲を、テンポ良く最初から最後まで聴かせる。オリジナリティという点でやや物足りなさを感じさせる部分もなくはないが、これだけキャッチーな良い曲テンコ盛りだと敬服するしかない。普遍性とモダンさ、進化する意思が一体となった素晴らしいアルバムだ。  (7/21/2006)
 + no.321 +
Avenged Sevenfold/City Of Evil
Avenged Sevenfold/City Of Evil

(Japanese CD/2006)
★★★★
  残念ながら私の観に行く組とは別の日の出演だが、今年のサマソニ出演の為来日が決定しているロサンゼルス出身の5人組。Iron Maidenに通じる美麗なツイン・リードを配したピュアなメタル・ギターの方法論。"やや軽め"の心地よく響くスネアの音と、ドカドカいうツーバスのドラムスは北欧〜ドイツのメロスピ系バンドを容易に連想させるが、疾走するだけでなくテンポを遅くしたり、アコースティックで静かなパートや多声コーラスを用いたプログレッシヴ・メタル的な展開もみせる。さらに、そのハスキーで男くさいヴォーカルによって歌われる叙情歌メロと荒くれたギター・サウンドとの調和は時にBad Religion他のメロコア〜パンク風味さえ漂わせ、まるでオールド・スクール・メタルとオルタナティヴ/パンク・ロックの境界線上を拳を振り上げながら走っているような(なんだそりゃ(笑))見事なミックス具合に思わずほぉ、と感嘆の声が漏れる。長尺の曲も多いんだけれど、最初から最後までメロディのキャッチーさがしっかり保たれていて、飽きさせないんだよね。演奏力も素晴らしく、インスト面のスリルも存分に味わえる。プロデュースはバンド自身とマドロックだが、ミキサーにアンディ・ウォレスを迎えているのがポイント。これは見事な人選だなぁ。20代半ばでここまで"完成"されていてこの後どうするんだ…と余計な心配さえ呼び起こす"古いようでいて新しい"音を持った傑作だ。今度他のアルバムも聴いてみよう。  (7/7/2006)
 + no.320 +
Saigon Kick/Devil In The Details Saigon Kick/Devil In The Details
(Japanese CD/1995)

★★★★
  1991年にアルバム「Saigon Kick」でデビュー。2ndアルバム「The Lizard」からシングル"Love Is On The Way"が大ヒットし知名度を上げるものの、ベーシストとヴォーカリストが相次いで脱退。バンドのブレインであるジェイソン・ビーラーがリード・ヴォーカルを兼任し、アルバム「Water」(1993)を完成させる。しかし、メンバー・チェンジの影響が大きかったのか、「Water」における地味な楽曲群の求心力の弱さは隠しようがなく、メジャー・シーンから一気に姿を消してしまう。しかし、アルバムリリースの翌年、レーベルとの契約を失ったにも関わらず果敢に日本公演を行なうなど意欲的に活動を続けたバンドは、活動7年目にしてついに集大成的なアルバムを作り上げる。「Devil In The Details」…元々音楽のボキャブラリーの幅広さを売りにするバンドであり、ヘヴィ・ロックを貴重にしながら曲ごとに様々に表情を変える多彩さからこのバンド独特の色を発散させていたが、その極彩色の音楽要素がこのアルバムにおいて完璧なまでの整合感をもって構築された。オルタナティヴ、ポップ、エスニック風味、アフリカン風味…etc  これだけの要素を盛り込みながら、無理に詰め込んだような押し付けがましさを全く感じさせず、あくまでコンパクトでキャッチーなロック・チューンを基調にまとめられているのが素晴らしい。線の細さが気になったジェイソンのヴォーカルもここへきて板についてきており、全編に配された美麗なコーラス・ハーモニーと相俟って心地よいメロディを聴かせる。プレイ面で魅せる部分もしっかりあり、ヘヴィ・メタル的なスリルも得ることができる。まさに隠れた名盤であります。  (7/1/2006)
 + no.319 +
Saigon Kick/The Lizard Saigon Kick/The Lizard
(Japanese CD/1992)

★★★☆
  重厚で美しいコーラス・ハーモニーが鮮烈だったバラード"Love Is On The Way"が全米で大ヒットを記録したSaigon Kickの2ndアルバム。ハード・ロックを基本に、フォーク、サイケ、ポップスetc.と多様なサウンドを興味の赴くままに取り入れ、しかし全体的にはキャッチー且つメロディアスなセンスを貫いた楽曲群、雑多でありながらとても親しみやすい。バンドの持つポテンシャルが炸裂し、特異性が頂点に達したのは「Devil In The Details」だが、逆に普遍的なワクの中で独自性を活かしているという点でこのアルバムはSaigon Kick入門にお勧めできる。マイケル・ワグナーがプロデュースした1stアルバム「Saigon Kick」もこのアルバムと甲乙つけ難いクオリティを誇る。  (7/21/2006)
 + no.318 +
Matt Nathanson/When Everything Meant Everything Matt Nathanson
/When Everything Meant Everything

(import CD/2002)
★★★☆
 + no.317 +
Matt Nathanson/Still Waiting For Spring Matt Nathanson
/Still Waiting For Spring
(import CD/1999)
★★★★
  ハイ。「Beneath These Fireworks」でガツンとやられたマット・ナサンソン、結局いっぺんに全カタログ揃えてしまいました…(汗)   「Still Waiting For Spring」はUniversal移籍前、インディーズ・レーベルAcrobat Recordsからの最後のフル・アルバム。これと「Beneath These Fireworks」を比較すると、ロン・アニエーロをプロデューサーに迎え、プロダクション面で一皮向けた「Beneath These Fireworks」の完成されたアレンジに改めて驚かされるが、ではこのアルバムが物足りないかといえば勿論そんなことはない。暖かなマットのヴォーカルによって歌われる美しいメロディ。そして、12弦ギターをフィーチュアしたアコースティックなロック・サウンドは既に完成の域に達しており、軽快に疾走する"Lucky Boy"(「Beneath These Fireworks」で再録)のような曲から、メロトロンを配したバラード"Everything You Say Sounds Like Gospel"のようにじっくり聴かせる曲までアルバムは全10曲、30分ちょっとの時間の中で様々な表情を魅せる。どの曲も素朴なサウンドながら実に濃密な味わい。決して"レトロ"なロックだけに寄り掛からず、モダンな感覚もしっかり持ち併せているのも良い。「When Everything Meant Everything」は、「Still Waiting For Spring」と「Beneath These Fireworks」のブリッジ役を果たす全5曲収録のミニ・アルバムで、"Fall To Pieces"を除く4曲は「Beneath These Fireworks」において再録される。「Still Waiting For Spring」においてもがっちりタッグを組んでいたマーク・ウェインバーグ(プロデューサーであり、ソングライターであり、プレイヤーでもある)との相性はばっちりのようで、メリハリのあるキャッチーなメロディを、躍動感に満ちたプレイで聴かせる。"Fall To Pieces"も、「Beneath These Fireworks」に収録されていたとしても全く違和感のないメロディアスな名曲。たった5曲ながら、マットの才能とセンスは十二分に伝わってくる。  (6/24/2006)
 + no.316 +
Matt Nathanson/Not Colored Too Perfect Matt Nathanson
/Not Colored Too Perfect

(import CD/1998)

★★★☆
  このアルバムもいいですねぇ〜。シンプルなバンド編成で聴かせる、アコースティックでエモーショナルな音はどこまでも優しく、エレクトリック・ギターもマットの艶のあるヴォーカルと調和し常に柔らかく響く。「Beneath These Fireworks」のようなかっちりした音ではないけれど、その程よい粗さがまた良く、すかすかした音の隙間が、程よく力の抜けた心地よい空間を生んでいるのだ。"All Been Said Before" "Church Clothes" "New Coats And New Hats" "Miracles" "Somewhere To Hide"と、収録曲の半分は前作「Ernst」(1997)アルバム収録曲のフル・バンド・バージョン。2曲はビル・フォアマンというアーティストのカヴァー。残り3曲は未発表曲である。  (7/1/2006)
  + no.315 +
Matt nathanson/Ernst Matt Nathanson/Ernst
(import CD/1997)

★★★☆
  1997年にリリースされたマット・ナサンソンの2ndアルバム。4年の間にかなりツアーを重ねたのだろうか。マットのヴォーカルは力強さを増し、併せてサウンドのダイナミズムが増し、よりライヴ的なパワフルさが楽曲に表れてきた。メロディの印象度も増し、"Church Clothes"  "New Coats And New Hats"  "All Been Said Before"といったマットならではのナイーヴなメロディ・センスが活きた名曲も生まれている。現在のマットの音楽性に直結するスタイルがここで定まったといってよいだろう。「Please」と同じく全編アコースティックなのだが、こちらの方がプレイとアレンジにメリハリがある。  (7/21/2006)
 + no.314 +
Matt Nathanson/Please Matt Nathanson/Please
(import CD/1993)

★★★
  1993年、インディーズ・レーベルのAcrobat Recordsよりリリースされた、マット・ナサンソンのデビュー・アルバム。12弦ギターとマットのマイルドなヴォーカルをメインに、美麗なチェロをアクセントに使ったアコースティック・ロックという基本形はこの時点で既に明快に示されており、メロディも良く書けているのだが、まだ"これ!"というマットのアイデンティティは確立されていない。ヴォーカルも現在のそれと比較するとやや線が細く、歌いまわしも地味めだ。それでも、聴くほどにメロディが訴えてくるのは曲が良いということだろう。  (7/21/2006)
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